「それ、前の司法書士と比べてますよね?」と言われた日のモヤモヤと向き合う方法

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「それ、前の司法書士と比べてますよね?」と言われた日のモヤモヤと向き合う方法

「前の司法書士と違う」と言われた瞬間、心がざわつく理由

「他の司法書士はこうしてくれましたよ?」──この一言、きっと多くの司法書士が一度は言われたことがあるのではないでしょうか。正直なところ、あれを言われた瞬間、頭の中が一気にざわざわして、業務に集中するのが難しくなります。私もつい先日、似たようなことを言われ、しばらく引きずってしまいました。相手に悪気はないのかもしれませんが、「比べられた」という事実だけで、自分のやり方を否定されたような気持ちになるのです。

一言で信頼が揺らぐ怖さ

お客様にとっては軽い一言でも、こちらにとっては「信頼してもらえていないのでは?」という不安に直結します。「前の先生はこうでしたよ」と言われると、こちらの説明が足りなかったのか、それともサービスの質に差があると受け取られたのかと、自問自答が始まります。一度その不安のループに入ってしまうと、次の対応にも影響が出てしまいがちです。

「こうしてくれたのに…」という比較の刃

例えば以前、「登記の進捗をもっと細かく報告してくれた」と言われたことがありました。確かに私は、節目ごとに報告するスタイル。対して前任者は、逐一LINEで報告していたそうです。いや、わかります。安心感ありますもんね。でも、すべてを同じように対応できるわけでもなく、そこには工数や優先順位の考え方もあるんですよ……と、愚痴りたくなります。

過去のやり方が正解とは限らないのに

どれだけ親切だったとしても、すべてのお客様にベストな対応というのは存在しません。にもかかわらず、「前の司法書士の方が良かった」という一言があると、まるで自分が劣っているかのような錯覚に陥ります。比較の対象が個人であるだけに、単なる違いが「優劣」に変換されてしまうのがしんどいのです。

比較されたときの感情整理と対処のコツ

気づかないうちに溜まっていくストレス。その一因が、こうした“他人と比較される”場面です。司法書士という職業は、専門的でありながらサービス業の一面もあります。だからこそ、依頼者との関係性の中で自分がどうありたいかを見つめ直すことが、長く続けるための鍵になります。

まずイラっとする自分を否定しない

私は正直に言います。イラッとします。「なんで自分が否定されたような気分になるんだろう」と考えて、さらに自己嫌悪に陥る悪循環。そんなとき、ある先輩がこう言いました。「イラッとするのは、自分の仕事に自信がある証拠だよ」と。ちょっと救われました。そう、自分を守るために自然に湧き出る反応を、無理に抑え込む必要はないのです。

「気にしない」では済まされない気持ち

「そんなの気にしないで」と人は言います。でも、気にします。私は気にしてしまいます。自分が提供しているサービスに対して真摯であるほど、その評価に敏感になるものです。無視できる心の強さがあればどれだけ楽か……とは思いつつ、自分なりの感情の折り合い方を見つけていくしかありません。

感情を脇に置く技術

だから最近は、「これは今すぐ処理する感情じゃないな」と、自分の中で“保留フォルダ”に入れるようにしています。いったん脇に置く。すると、少し冷静に物事を見られるようになります。もちろんその後、感情の棚卸しをする時間も必要ですが、少なくとも業務中に引きずられすぎずに済むようになりました。

「前例」に引っ張られない判断軸を持つ

前任者のやり方に引っ張られて、自分の軸を失いそうになることがあります。でも、大事なのは「自分がどういう司法書士でいたいか」という基準。過去の誰かではなく、自分のやり方を納得して提供できるかどうか。その軸さえブレなければ、多少の比較にも心が持ちこたえられるようになる気がしています。

サービス業としての司法書士、どこまで迎合すべきか

司法書士は、士業という専門職でありながら、ある種の“おもてなし”も求められます。だからこそ、依頼者に合わせすぎて自分を見失う危険もあるんですよね。サービス精神が行き過ぎると、燃え尽き症候群のような状態にもなりかねません。実際、私も一度大きく体調を崩したことがあります。

ニーズに応えることと、自分をすり減らすことの違い

「柔軟に対応してください」と言われること、よくあります。できる限りは応じます。でも、それが“無理をしてでもやるべきこと”に変わってしまったとき、自分の中に疲弊が溜まっていきます。気がつくと、「なんでこんなことまでやってるんだっけ?」と、自問する夜が増えていきました。

「それ、やりすぎじゃない?」と思うとき

たとえば夜10時に電話がかかってきて、「明日の朝イチで書類が必要」と言われたことがありました。昔の私なら即対応していたかもしれません。でも今は、できる範囲でしか動かないと決めています。その結果、多少の不満を持たれても、長期的には自分を守る判断だったと感じています。

断る力を持つという選択肢

断ることに、ずっと罪悪感を持っていました。でも、それが自分を守る手段だと気づいてからは、少しずつ言えるようになってきました。「が、それは対応できません」と。勇気がいる言葉ですが、誠実に説明すれば、意外と理解してもらえるものです。

一人事務所だからこそ、揺らぎやすい基準

私は地方で一人事務員さんと細々とやっています。大手のようなマニュアルもなければ、相談できる同僚もいません。だからこそ、自分の中の基準が揺らぎやすく、孤独に迷子になることもあります。そんなとき、どうやって立ち直るか。それが一人事務所経営者としての大事なスキルだと思っています。

マニュアルもない、相談相手もいない

大きな組織なら「こういうときはこう対応する」といったマニュアルがあります。でも、個人事務所ではすべて自分判断。だから、ちょっとしたことで「これでよかったんだろうか?」と悩み続ける羽目になります。その繰り返しで自信が削がれていくのが、またつらいんですよね。

事務員さんの視点に救われることも

あるとき、事務員さんに「先生、それ言われてショックだったんですか?」と聞かれたことがありました。その一言で、張りつめていたものが緩みました。「あ、自分、結構堪えてたんだな」って。誰かに気づいてもらうだけで、救われることってあるんですよ。

孤独が判断を鈍らせる瞬間

孤独だと、判断が偏ります。「これで合ってる」と思い込んで突っ走ったり、「自分が間違ってる」と過度に落ち込んだり。そんなときは、一歩引いて「誰かならどう判断するか?」と想像してみるようにしています。それだけでも、少し冷静になれます。

「前の司法書士」ではなく「今のあなた」に目を向けてもらうには

結局のところ、依頼者に「この人に頼んでよかった」と思ってもらえるかどうかは、目の前の小さな信頼の積み重ねだと思います。どれだけ過去と比較されようとも、「この人にはこの人の良さがある」と感じてもらえれば、それでいいんです。そう思えるようになるまでに時間はかかりましたが、ようやく少しだけ、そう言えるようになってきました。

説明の丁寧さが信頼の鍵

意外と差が出るのが説明の仕方。私は専門用語をなるべく噛み砕いて、図解や例え話を交えて話すようにしています。「わかりやすかった」と言ってもらえたときは、本当に嬉しい。そこでようやく、「自分のやり方にも価値がある」と思えるようになります。

小さな気配りが安心を生む

郵送物に一筆添える、電話の最後に「何かご不明な点があればいつでもご連絡ください」と声をかける──そんな些細なことでも、「この人はちゃんと見てくれている」と思ってもらえるものです。自分なりの気配りを積み重ねていけば、「前の人」ではなく「今のあなた」として、信頼を得られるはずです。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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