「まだ若いですね」に感じる違和感の正体
「まだ若いですね」——一見、褒め言葉のように聞こえるこの一言。だけど、それを言われるたびに、なぜか心のどこかがざわつく。司法書士として仕事をしていると、依頼者から何度となくこの言葉をかけられる。でもその言葉の裏にある「若いから経験不足」「若いから信頼できない」という空気を、敏感に感じ取ってしまうのだ。年齢というレッテルに、本質を見てもらえない悔しさ。そのモヤモヤは、年を重ねるほどにじんわりと心に染みていく。
その言葉、なぜモヤっとするのか
「まだ若いですね」と言われて気分が良くなるのは、たぶん見た目を気にしている人か、社会的なプレッシャーから逃れたいときぐらいだ。私たちのように、実績や信頼で勝負したい職業の人間にとって、それは時に「評価されていない」という裏返しの言葉にもなる。依頼者にしてみれば悪気のない一言だとしても、受け取る側としては「年齢=未熟」と見られているようで、どうしても引っかかってしまう。
褒め言葉に見えて、実は軽視?
以前、相続登記の相談に来られた方に「え?先生、思ったより若いんですね」と笑われたことがある。その場では笑ってごまかしたけれど、正直なところ「それって、ベテランにお願いしたかったってこと?」と内心では少し傷ついた。経験を重ねてやっと得た知識や感覚より、ただの年齢の印象で判断されることの多さに、やるせなさを感じるのだ。
経験や努力を無視される感覚
司法書士として登録してから20年近く働いてきた。失敗もあれば、必死で勉強した夜もある。だけど、「まだ若いですね」の一言で、そのすべてが無かったことのようにスルーされる感覚になる。若いという評価の裏にある“未熟”という先入観。あれもこれも説明しないと信頼してもらえない状況に、正直うんざりする瞬間もある。
「若い」は本当に武器なのか?
社会では「若さは価値だ」と言われがちだ。でもその若さが、経験職では逆に不利に働くこともある。私は、若く見えることで損をしていると感じることのほうが多かった。体力はあっても、信用はされにくい。皮肉なことに、年齢を重ねるほどに「若いと言われたくない」という気持ちが強くなる。
年齢よりも中身を見てほしいという本音
「若いですね」と言う人には悪気がないのかもしれない。でも、自分が積み上げてきた時間や努力を無視されたように感じてしまう。そのたびに、もっと丁寧に、もっとわかりやすく、もっと丁重に説明しないとと思ってしまい、正直疲れる。年齢じゃなく、中身を見てほしい。そう思っても、それを求めることが“負け”のように感じてしまうのがつらい。
若さを言い訳にされる側の苦しさ
「若いから、しょうがないよね」——これは完全に言い訳扱いされたパターンだ。私が20代の頃、あるミスをしたときに言われた言葉だけど、全然慰めにならなかった。責任を取る覚悟で仕事をしている身としては、若さで免除されることの方がストレスになる。大人扱いされないことが、何よりもきつかった。
司法書士としての「年齢評価」との戦い
司法書士という仕事は、ある意味「見た目の信頼感」がものを言う場面が多い。だからこそ、年齢や外見による先入観との戦いが避けられない。若く見えることは、時に武器であり、時に足かせとなる。その中でどう自分を保ち、どう信頼を勝ち取っていくのか。これは、経験年数ではカバーしきれない難しさがある。
ベテラン扱いされない苦しみ
ある日、登記の相談に来たお客様に「司法書士ってもっとおじいさんかと思ってました」と言われたとき、「またか…」とため息が出た。こちらとしては20年近くこの仕事をやってきているつもりなのに、見た目だけで“ベテランではない”と決めつけられる。自信が砕かれる瞬間だった。
「もっと年配の先生がいい」という依頼者の本音
過去に、一度契約寸前まで行った案件で「やっぱり別の先生に頼みます」と断られたことがあった。あとから聞くと、相手の家族が「若すぎるんじゃないか」と不安を感じたという。力不足だったのは事実かもしれない。でも、年齢だけが理由だとしたら、それはどうしようもない悔しさだった。
年齢と信頼は比例しない現実
年を取れば信頼されるわけではない。若くても信頼される人はされるし、年を取っても頼りない人もいる。結局は中身なんだけど、スタートラインが違うのが厄介だ。若いとハンデを背負っているように感じるし、年を重ねても「若く見える」と言われればまた同じ壁にぶつかる。どこまでいっても年齢に振り回される自分がいる。
年齢に縛られない働き方とは
年齢に左右されるのではなく、実力や信頼で評価される働き方をしたい。そう思っても、現実は簡単ではない。だからこそ、日々の言葉選びや対応にこだわり、小さな信頼を積み重ねる。地味だけど、その努力が年齢バイアスを打ち破る力になると信じている。
外見や数字より“積み重ね”を見せる努力
履歴書の年齢欄を消せたらどれだけ楽か、と思うこともある。でも現実はそうはいかない。だからこそ、日頃のやりとりや信頼構築に全力を注ぐ。特に司法書士という職業では、「この人に任せて大丈夫だ」と感じてもらうことが、最も大事な仕事の一部だと感じるようになった。
「年齢なんて関係ない」と思えるようになるまで
「まだ若いですね」と言われても、いちいち気にしなくなったのは、ここ数年だ。それでも内心イラっとはするけれど、少なくとも「若く見えることも悪くないか」と思えるようになった。誰もが通る道なら、せめて自分だけは、自分を信じてあげよう。そう思って、今日も机に向かっている。
最後に:それでも「若いですね」と言われたときの返し方
年齢にまつわる言葉にモヤっとしても、それを笑い飛ばせる余裕があると少し楽になる。冗談交じりに切り返せば、その場の空気も和らぐし、自分の気持ちも少し軽くなる。とはいえ、無理して笑わなくてもいい。その違和感は、ちゃんとした「自分の大切な感覚」だから。
ちょっと笑えるネガティブ返し例
「まだ若いですね」と言われたとき、最近は「いやあ、年相応に疲れてますよ」とか「老け顔を目指してます」などと、あえて自虐気味に返すようにしている。すると、相手も「そんなことないですよ」と笑ってくれて、場が和む。傷つくよりも、ネタにしてしまう方が楽なときもある。
疲れてる心に効いた、ある依頼者の一言
以前、依頼者から「若く見えるけど、説明の仕方が本当に丁寧ですね」と言われたことがある。それだけで、一週間分の疲れが吹き飛んだ。年齢じゃなく“対応”を見てもらえる。それがどれだけ嬉しいことか。その言葉を思い出すたび、「若いですね」と言われるたびのモヤモヤも、少しずつ癒えていく気がする。