「今日も生き延びた。」――仕事に飲まれそうな日々の中で、ふと立ち止まる瞬間

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「今日も生き延びた。」――仕事に飲まれそうな日々の中で、ふと立ち止まる瞬間

朝から晩まで、終わらない「タスク」と「不安」

司法書士という職業は、ひと言で言えば「終わりのないToDoリスト」との戦いです。朝起きてスマホを見ると、未読メールが10件。事務所に出れば机の上は書類の山。電話が鳴り、依頼者が来て、役所に走って、戻ったころにはもう夕方。結局、自分の仕事は夜にしかできない。そんな毎日です。そして心の中には常に「これで大丈夫か」「何か抜けてないか」という不安が渦巻いています。

チェックリストは減らず、電話は鳴り止まない

日々、チェックリストを作っても作っても、達成感というのは得られにくいものです。むしろ、やればやるほど、次の課題が見えてくる。まるで砂漠の真ん中で、ゴールの見えないマラソンをしているような気分になります。午後イチで集中したいときに限って、立て続けに電話が鳴るのもお約束。依頼者には罪はないけれど、「いまじゃないんだよなあ…」と心の中でつぶやくこと、ありますよね。

心の中で「また今日も始まってしまった」とつぶやく

朝、布団から出る瞬間が一番つらい。今日もまた、やることが山積みだと思うと、起きるのが本当に億劫になる。コーヒーを淹れて、ようやくエンジンがかかってくるころには、すでに気持ちは疲れている。以前は「さあ、やるぞ!」なんて意気込んでいた時期もありました。でも今は、静かに「また始まったな」と思うだけ。気合いじゃどうにもならない日もあるんです。

「やるしかない」けど、どこまでやれば終わるのか

「やるしかない」という言葉、司法書士になってから何度自分に言い聞かせたか分かりません。けれど本当に、それで乗り切れる日ばかりではありません。どれだけ頑張っても、次の案件がまたやってくる。そしてその案件にも、当然ながら責任が伴う。どこまでやれば十分なのか、自分でもわからなくなる瞬間があります。

「任される」ことのプレッシャーと孤独

任されるというのは、信頼の証でもありますが、同時にプレッシャーも重いです。特に個人事務所を営んでいると、相談できる相手が身近にいないこともあり、孤独感が増します。どんなに経験を積んでも「これは正解なのか?」と迷う場面はあります。それでも誰かが答えをくれるわけではなく、自分で判断して進めるしかない。その孤独が、じわじわと心を蝕んでくるのです。

依頼者の期待、同業者の目、家族の心配

依頼者の信頼に応えるために、全力で取り組む。そんな気持ちがある一方で、同業者からの評価や、家庭での役割も無視できません。「家でも仕事のこと考えてるよね」と言われたとき、ハッとしました。ちゃんと家族にも向き合えていないことに気づかされるのです。仕事に追われていると、プライベートまで薄くなっていく。誰のために働いているのか、時々見失いそうになります。

事務員さんという名の心の支え

うちの事務所には、事務員さんが一人います。この存在が本当に大きい。たとえば、午前中のバタバタの中で「お茶どうぞ」と差し出されたマグカップ一つで、張りつめていた気持ちがふっと緩むこともあります。仕事の効率ももちろんですが、それ以上に「一人じゃない」と思える瞬間がありがたいのです。

一人いるだけで、救われる瞬間がある

事務所を一人で回していた頃は、トイレに行く間も惜しいくらいでした。それが事務員さんが入ってくれてからは、書類のチェックや電話の一次対応をお願いできるようになり、精神的な負担がずいぶん軽くなりました。何より、ちょっとした会話が救いになります。「この書類、順番おかしくないですか?」という何気ない一言が、ミスを防いでくれることもあり、心から感謝しています。

「ちょっと雑談」が精神安定剤

忙しい合間の、ほんの数分の雑談がありがたいです。「昨日のテレビ観ました?」とか「今朝寒かったですね」とか、そんな他愛もない話が、仕事で疲れた心にじんわり染みてくるのです。効率ばかり追いかけていたら、こういう時間はムダだと感じるかもしれません。でも、私はこういう時間があるから、ギリギリでも持ちこたえられていると思っています。

でも、責任はすべて自分持ち

とはいえ、どんなに事務員さんが優秀でも、最終的な責任は司法書士である私にあります。書類の不備があれば、怒られるのは私。登記が通らなければ、信用を失うのも私。結局は、「信頼の重さ」を一人で背負っている感覚は消えません。だからこそ、ありがたさと怖さの両方を感じながら、日々やっているのです。

「今日は何件登記したか」じゃない、「今日も倒れなかったか」

昔は、1日に処理した登記件数や報酬額が自慢でした。でも今は、「今日、倒れずにちゃんと帰れたか」が自分の基準になりつつあります。歳を重ねるごとに、精神面だけでなく体力の消耗も無視できなくなってきているのです。

数字では測れない仕事の重み

この仕事は「成果」が数字に見えづらい部分も多くあります。ミスをしないこと、クレームにならないこと、書類を遅れずに出すこと。これらはすべて「当たり前」であって、評価されにくい。でも、その「当たり前」を維持するためにどれだけの注意と労力が必要か、やっている本人しか分かりません。

他人に誇れる実績より、自分を保てたか

若いころは、同業者の活躍に嫉妬したこともあります。SNSで目立つ人を見ると「自分は何してるんだろう」と落ち込むこともありました。でも今は、人に誇れる仕事より、自分が心を壊さずに続けていられるかの方が大事だと思っています。結局、司法書士という仕事は「続けられるかどうか」が一番大事なのかもしれません。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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