「明日こそ休もう」と3ヶ月言い続けた結果、心と体に起きた異変とは?

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「明日こそ休もう」と3ヶ月言い続けた結果、心と体に起きた異変とは?

「明日こそ休もう」と言い続けたまま、3ヶ月経った今の気持ち

気づけば3ヶ月、口癖のように「明日こそ休もう」とつぶやいてきた。朝起きるたびに「今日は無理せずに」と思うのに、気がつけば深夜にデスクの前に座っている。司法書士として独立して15年、休みが遠ざかる理由はいくらでも並べられる。けれど、そんな言い訳すらもだんだんと疲れてきた。忙しさの中で、少しずつ何かがすり減っていく感覚があるのだ。

気づけば、カレンダーに「休み」の文字がない

ふと事務所のカレンダーを見たとき、愕然とした。予定がびっしり書き込まれていて、「休み」と書いた日が一日もない。むしろ、休もうと思っていた日ほど「登記締切」や「立会い」と赤字で書かれている。もはや自分の時間は“予約が入っていない時間”というだけで、それを休みとは呼べなくなっていた。

今日もまた、郵便受けには新しい依頼が詰まっていた

朝、事務所のポストを開けると、封筒が何通も入っていた。すべて登記や遺言の相談。誰かが困っていて、それに応えるのがこの仕事。そう思って手を伸ばすけれど、手のひらに伝わる書類の重みが、最近やけに重たく感じる。事務員さんに任せればいいのに…と思いつつ、気づけば自分で全部開封していた。

なぜこんなに休めないのか?

司法書士という仕事は「自分がやらねば回らない」部分が多すぎる。特に地方では、細かい案件が多く、融通も求められる。頼られるのはありがたい。でも、それが「断れない」につながっているのが現実だ。

「この案件だけは」と思ってしまう司法書士の性

「これだけは自分で確認しないと」「この書類は一度目を通してから」と思ってしまう。それが日々積み重なる。特に信頼関係が築けているお客様ほど、なおさら手を抜けない気がしてしまう。そうして、一日がどんどん濃密になっていく。

事務員さんに任せきれない現実

事務員さんは本当に優秀で、よく支えてくれている。でも、最終的な判断や法的責任はすべてこちらにある。ちょっとした書類の不備が後々のトラブルになることもあるため、どうしても確認に時間を割かざるを得ない。信頼しているからこそ、余計に神経質になってしまう。

地方だからこその“なんでも屋”状態

都市部と違い、地方の司法書士は業務の幅が広い。登記だけでなく、相続、成年後見、遺言、公正証書、果ては近隣トラブルの相談まで。「ちょっと困ったら稲垣先生に相談してみたら?」という声がありがたくもあり、プレッシャーでもある。

体の異変、心の声

3ヶ月も休まず働き詰めていると、さすがに身体にも異変が出てくる。最初は軽い疲れだと思っていたが、だんだんとそれが蓄積されて、無視できないサインになっていた。

肩こり・耳鳴り・微熱…それでも止まれない

寝ても疲れが取れない。肩はずっと重いし、耳鳴りがする日もある。熱がないのに身体がだるくて起きられない朝もある。でも「今日だけは頑張ろう」と自分をだまし続けてきた。気づけば、休むこと自体が“罪”のように感じていた。

「このままじゃ倒れるかも」という小さなサイン

ある朝、目覚めた瞬間、動けなかった。何かの拍子に「このままだと倒れるな」と思った。でもその30分後には、スーツに着替えて出勤していた。その“自己無視”こそが一番危険だと、今になって思う。

家族との距離感、友人との疎遠

家族と同じ屋根の下にいながら、まともに会話できていない日が続いた。夜遅く帰ると、食卓は片付けられ、リビングは真っ暗。友人からの誘いも、「また今度ね」と言い続けて、いつしか連絡も来なくなっていた。

「日曜くらい休めばいいのに」と言われてムッとする自分

妻や友人から「日曜くらいは休めば?」と言われると、ついムッとしてしまう。こっちは好きで働いているわけじゃない、そう言いたくなる。でも、言い返した後に、言葉にできない罪悪感が残るのだ。

友人のLINEにも返せなくなっていた

久しぶりに来た友人のLINE。既読スルーするつもりはなかった。でも、返信する余裕もなくて、3日…1週間と過ぎていった。気がついたら“既読つけるのも怖い”状態になっていた。これって、もう異常だと思う。

他の司法書士はどうしてる?

同業の仲間に聞いてみた。やっぱり、休めている人と、そうでない人に分かれる。どちらが正解というわけではないけれど、ある決定的な違いがあった。

休めている人と、休めていない人の差

休めている人は、「やらないこと」を明確に決めている。「その案件は他の事務所さんに」と紹介することもあるし、スケジュールに“強制休養日”を設けている。自分とは逆の発想だが、だからこそ続けられているのかもしれない。

「仕事を断る勇気」があるかどうか

信頼関係のある依頼主からの仕事を断るのは勇気がいる。でも「全部を自分で抱えることは信頼ではなく、自己満足かもしれない」という言葉にハッとした。断ることで守れるものもあるのだと、少しずつ実感し始めている。

それでもやめられない理由

どんなに疲れても、辞めたいと思えない。そんな矛盾を抱えながら、それでも今日も事務所を開けてしまう自分がいる。

依頼者の「助かった」の一言に報われる矛盾

忙しい中で対応した案件で、「本当に助かりました」と頭を下げられたとき。疲れが吹き飛ぶ感覚になる。これは他の仕事では味わえない種類のやりがいで、だからこそ、やめられないのだろう。

空白のスケジュールが怖いという本音

正直に言うと、スケジュールが空いていると不安になる。「この先、仕事が来なかったらどうしよう」とか、「自分の存在意義って何だろう」とか。だから予定で埋めて安心する。それもまた、休めない理由のひとつだ。

自分を守るために見直したこと

ようやく重い腰を上げて、働き方を少しずつ見直し始めた。小さな改善だが、それが意外と心に効いている。

業務の優先順位を決める癖をつけた

すべてを“即対応”にしない。急ぎの案件、後回しにできる案件、事務員に回せる内容を明確に分類するだけで、頭の中が整理される。これは思っていた以上に精神的負担を軽減してくれる。

事務員さんとの役割の見直し

信頼して任せるべきことは任せる。最初は「自分でやった方が早い」と思っていたが、引き継いでみると驚くほどスムーズに動いてくれた。感謝と信頼があれば、分担は可能だと実感した。

「やらない」と決めたことリスト

例えば「土曜の午後は完全に電話に出ない」「即レスしない案件もある」など、小さな“やらないルール”を決めた。まだ完全には守れていないが、意識するだけで行動は変わる。

司法書士を目指しているあなたへ

司法書士の仕事は、やりがいがある。その分、抱えるものも多い。綺麗事だけで語れないこの職業の現実を、少しでも伝えられたらと思う。

キラキラした独立話だけを信じないで

独立して自由に働ける、収入も悪くない。そういう話は確かにある。でもその裏には、時間・責任・人間関係、あらゆるものを背負う日々がある。その覚悟がないまま開業すると、つぶれてしまうことだってある。

休むことに罪悪感を抱えやすい仕事です

人の人生や財産に関わる以上、軽い気持ちで「今日はサボろう」とは言いづらい。でも、休まなければいずれ判断力も鈍り、大きなミスを招く可能性もある。だからこそ、意識して休む技術が必要なのだ。

だからこそ、「人と仕事」の距離感が大切

依頼者とも、仕事とも、適切な距離感を保つ。これは本当に大事なことだ。人の期待に応えるためには、まず自分の心と体を守らないといけない。それに気づくまでに、僕はちょっと時間がかかりすぎた。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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