「補正って何…?」法務局の窓口でフリーズした、あの日の自分へ

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「補正って何…?」法務局の窓口でフリーズした、あの日の自分へ

補正って何?──最初にぶつかる司法書士の壁

司法書士としての初期の業務で、ほぼ確実に誰もが通るのが「補正対応」。あの日、法務局の窓口で「こちら補正になります」と言われて、頭が真っ白になったのを今でも覚えている。補正という言葉の意味は知っていたつもりだったが、実際に自分の提出書類がそれに該当すると言われると、なぜか脳が理解を拒否する。まるで試験本番で真っ白になる受験生のように、私も固まってしまった。

「補正してください」と言われたあの日のショック

法務局の窓口で担当者から「こちら、補正ですね」とサラッと言われた瞬間、時間が止まった。え? 何を? どこを? と頭の中で疑問がぐるぐる。事務員さんもいなかったその日、一人で対応していた私は、何から聞けばいいかも分からなかった。

頭が真っ白。あの沈黙の10秒間

「補正ですね」という言葉の後、私が返した言葉は「……あ、はい」。そこから10秒くらい、無言のまま。心臓の鼓動だけがやたら聞こえてきて、自分がとてつもなく無能に感じられた瞬間だった。

まわりの視線が痛かった

窓口の列には他の来訪者もいた。そんな中で固まっている自分。担当者の無言の圧も、後ろの視線も全部がプレッシャーだった。「早くどいてくれ」と思われている気がして、ますます言葉が出なくなった。

「補正=修正」じゃない?用語の罠にハマる

私は「補正」という言葉を“書き直し”くらいにしか捉えていなかった。だが実際は、登記の実務において「補正」はもっと具体的で、正確で、そして厳しい意味を持っている。それを知らずに提出した私の書類は当然のように返され、恥ずかしさと悔しさが混ざった感情だけが残った。

素人っぽさが一瞬でバレる瞬間

補正が必要な書類を出した時、担当者が少し鼻で笑うような雰囲気を出した気がした。それが本当にそうだったかどうかはわからない。でも、その一瞬の空気で「こいつ新人だな」と見透かされたようで、やけに自尊心が傷ついた。

「意味が分かれば簡単」なのに、そこが遠い

補正内容を冷静に見れば、「この欄が抜けてますね」「ここに記載が必要です」といった初歩的な話がほとんどだ。でも、最初はそれが分からない。どこを直せばいいのか、どんな意図で指摘されたのか、分からないから怖いのだ。

そもそもなぜ補正になるのか

補正が発生する背景には、大きく分けて2つの原因がある。ひとつはケアレスミス、もうひとつは制度や書式ルールの理解不足。どちらも経験の浅さから来るものだが、最初のうちはその“浅さ”を自分で自覚できないのがまた厄介なのだ。

凡ミスが補正の8割──実は自分の確認不足

登記原因日が一文字ずれていた、委任状の押印がなかった、添付書類の不足など、後で見返せば「ああ、やっちゃってる」と分かることばかり。でもその時は確認したつもりだった。それが“つもり”でしかなかったと、後から気づく。

ケアレスミスと書類の見落とし

私は今でも提出前に声に出して確認する癖がある。最初のころ、補正を何度もくらった反省からだ。音読すると、意外とミスが見つかる。あのとき、提出前に5分でも見直せていたら…と思うことは、今でもある。

「それ、書式違反です」──法務局の世界のルール

民間では通じる理屈や形式が、法務局ではNGになることがある。たとえば、提出書類に“見やすいように”工夫をしたつもりが、却ってルール違反になるケース。初学者にはこの“法務局ルール”が見えにくい。

独特のローカルルールがある現場

同じ登記内容でも、法務局によって指摘される箇所が微妙に違うことがある。「前は通ったのに、今回はダメ?」と思うことも。現場の空気や担当者の判断に左右される要素もあるから、余計に難しい。

補正指摘された時にやるべきこと

補正を出されたら、落ち込むよりもまずやるべきことがある。それは「落ち着いて状況を整理する」こと。そして、分からないことは聞く勇気を持つことだ。自分だけで抱え込むと、補正地獄から抜け出せない。

焦らない、まず深呼吸

補正と言われた瞬間、頭がパニックになる気持ちはよくわかる。でも、そこで焦っても何も解決しない。私も何度も深呼吸して、冷静さを取り戻すようにした。それだけで見え方が変わるから不思議だ。

聞ける人がいない時の対処法

一人で動いていると、聞ける相手がいないことも多い。でも法務局の職員さんの中には、質問すれば丁寧に答えてくれる人もいる。最初は勇気がいるけど、「素直に聞く」ことで次に同じミスをしなくて済む。

受付の人との“距離感”に悩んだら

法務局の受付って、冷たく感じることもある。でも「この人も忙しいんだろうな」と思えば、少し気が楽になる。こちらから挨拶する、丁寧にお願いするだけで、応じ方が変わることもある。感情のやり取りは思っているより大事だ。

法務局との関係性が仕事のしやすさを左右する

登記の仕事は、法務局とどれだけスムーズにやり取りできるかで効率が大きく変わる。つまり、彼らを“敵”ではなく“味方”にできるかどうかが、補正対応の成否にも関わってくるのだ。

雑談できる担当者がどれだけありがたいか

ある程度顔を覚えてもらえるようになると、少し雑談を交わせるようになる。その関係性があると、「これはこうしておいた方がいいですよ」とアドバイスももらえる。信頼は地道に積むしかない。

敵に回すと面倒、味方につけると最強

書類の不備を厳しく指摘する担当者でも、こちらの態度次第で関係性は変わる。ムッとした対応をされても、こちらが丁寧に接していれば、ある日から柔らかくなることもある。人間関係は登記にも影響する。

あの失敗があったから今がある

今振り返ると、最初の補正でフリーズした体験は貴重だった。恥ずかしくて、悔しくて、でもそれがあったからこそ、今の自分がいる。補正は通過儀礼。誰もが一度は立ち止まり、そこから学ぶものだ。

恥ずかしかったけど、誰でも通る道

私だけじゃない。誰もが最初は同じように戸惑い、固まり、反省している。今ではそんな話を笑って話せるようになったが、当時の自分は本気で「向いてない」と思っていた。でも、それが普通だったのだ。

新人司法書士の“壁”を越えるための一歩

補正対応で泣きたくなったら、それは一歩前に進んだ証拠。壁にぶつかったということは、前に進もうとしていたということ。だからこそ、立ち止まっても、また進めばいい。

過去の自分に言いたい「誰も最初からできない」

今の私が、あの日の窓口で固まった自分に声をかけるとしたら、「お前だけじゃないぞ」と言ってやりたい。恥をかいた分、強くなる。だから安心しろ。

次に固まる人がいたら、あなたが助けてあげて

後輩が同じようにフリーズしていたら、ぜひそっと声をかけてほしい。あなたが通った道を、これから誰かも通る。あの時の自分を救うような気持ちで、そっと支えてあげてほしい。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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