えっ、他にも相談してたの?―司法書士として心がザワついた瞬間

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えっ、他にも相談してたの?―司法書士として心がザワついた瞬間

その一言で、全部が色あせた気がした

日々、丁寧に対応しているつもりなんです。それなりの覚悟と責任感をもって、ひとつひとつの相談を受けています。でも、ある日ふと投げかけられた一言が、胸に引っかかりました。「実は他の司法書士にも同時に相談してまして」――笑顔で言われたその瞬間、頭が真っ白になりました。別に怒ることでもない。よくあることかもしれない。でも、自分の中ではなぜか大きく響いてしまったんです。

「実は他にも相談してまして…」の破壊力

まるで恋人に「他の人とも会ってるんだ」と言われたような、そんな気持ちでした。こちらは、時間をかけて資料を読み込んで、丁寧に説明していたつもりです。でも、それが「選択肢のひとつ」として扱われていたんだと知った瞬間、自分の存在が急に軽くなったように感じました。誇張じゃなく、目の前の書類が急に意味のない紙切れに見えてしまったんです。

なんでそんなにショックを受けたのか

たぶん、僕自身が「誠実に向き合えば、相手も誠実に返してくれる」と信じているからです。それが、ただの幻想だったとしても、その幻想を支えに仕事をしている部分があるんです。なのに、「他にも相談している」という事実は、その幻想をあっさり壊してくる。思っていたより、自分は繊細だったんだなと、しみじみ思いました。

自分に非があったのか?という迷い

あのとき、説明が足りなかったんじゃないか。料金の提示がわかりにくかったのか。対応が事務的すぎたのか…。夜になってからも、いろんな仮説が頭をぐるぐる回りました。結局、自分を責めてしまうんですよね。「あの人が悪いわけじゃない、自分がもっと頑張ればよかった」って。こんなふうに悩むから、損な性格なんだろうなとも思います。

同時相談、よくあること…なのかもしれないけど

改めて考えてみると、「同時に相談する」というのは、現代の情報化社会では当たり前の行動なのかもしれません。比較サイトや口コミが溢れていて、みんな慎重になっている。でも、それでもやっぱり、現場にいる側の心はそんなに割り切れないんですよ。人間って、論理だけじゃ処理できない感情の生き物です。

冷静になって考えてみた「他の士業との違い」

弁護士や税理士と違って、司法書士は知名度もそこまで高くない。だから、相談者側から見たら「比較検討して当然」と思われがちなんだと思います。僕たちがどれだけ準備して、事前調査して、先回りして動いていても、それはあくまで「候補者のひとり」。こういう立場の弱さというか、報われなさを感じる瞬間でもあります。

信頼の積み上げって、こうも脆いのか

信頼って、何なんでしょうね。1時間かけて築いた信頼が、たった一言で崩れてしまう。その脆さに、自分でも驚きました。日々のやりとりは小さな積み重ねで、まるで砂の城みたいに脆い。それでも、その城を積み上げていかないと仕事にならないんです。だからこそ、余計にこたえる。

「選ばれる」立場の切なさ

僕らの仕事って、基本的に「選ばれる側」です。求人広告じゃないけど、比較され、検討され、最終的に選ばれる。そのプロセスの中で、誠意が届くかどうかは相手次第。これが地味にしんどい。どんなに頑張っても選ばれなければ、何も残らない。切ないですよ、本当に。

案件じゃなくて、人として選ばれたい

欲を言えば、「この人なら信頼できる」と思われて選ばれたい。料金表の比較だけじゃなく、対話の中で何か伝わって、「この人に頼もう」と思ってほしい。でも現実は、数字と条件で比べられることのほうが圧倒的に多い。自分が人として否定されたような感覚になることもあります。

相談者の気持ちも、ちょっとわかる

相談者の立場になればわかります。司法書士なんて人生でそう何度も関わるものじゃないし、失敗したくない。その不安を減らすために、複数人に相談するのは理にかなっている。でも、わかってはいても、納得はできない。この“わかるけど納得できない”という感情が一番厄介です。

誰だって失敗したくないのが本音

相続や不動産登記なんて、人生で一回あるかないかの出来事。だからこそ、間違えたくない。お金も絡むし、時間もかかる。だったら、よりよい選択をしようとするのは当たり前のこと。でも、その「当たり前」が、相談される側にはじんわり痛い。これが現実なんですよね。

でも、なんか割り切れない気持ち

冷静に理解はしてる。頭では。でも心がついてこない。わかるけど、やっぱり悲しいし、悔しいし、自分の存在意義ってなんなんだろうって思ってしまう。特に、こちらが全力で向き合っていた場合ほど、その落差が激しい。割り切るのって、本当に難しいです。

実務への影響と、こちらのメンタル

一見すると小さなことのようですが、メンタルへの影響は大きいです。仕事に直接的なミスが出るわけじゃない。でも、心のどこかに引っかかって、気が散る。集中力が削がれる。これが積み重なると、地味に効いてきます。疲れが倍増する感じです。

モチベーションの落ち込みは地味にくる

「どうせまた選ばれないかも」と思いながら相談に応じるのって、しんどいです。気持ちが乗らない。声に張りが出ない。そうなると相手にも伝わって、ますます悪循環になる。頭では「切り替えよう」と思っても、心がなかなか追いついてこないんですよね。

それでも仕事は回し続けなきゃいけない

でも、事務所は止まりません。登記は待ってくれません。事務員もいるし、生活もある。感情がどんなに揺れていようが、僕が手を止めたら終わりなんです。だから、どこかで感情を押し殺して、いつも通りのフリをしないといけない。これが地味に辛い。

事務員の前では気丈にふるまうしかない

一人雇っている事務員には、あまり気を遣わせたくないんです。彼女にとっても、ここが働きやすい場所であってほしい。でも、だからこそ、弱音を吐けない。たまにトイレにこもって、静かに深呼吸する時間が必要です。

一人事務所の「孤独な現場」

所長は孤独です。相談できる相手もいないし、愚痴を言える場所も少ない。士業仲間がいる人はうらやましい。僕はそういう繋がりが少ないので、こうして文章にして吐き出すことで、なんとかバランスを保っています。

どう向き合うか、割り切るか

今回の件は、小さなことかもしれません。でも、僕にとっては「またか」と思わせるには十分な出来事でした。毎回そうやって心が削れていく。だけど、それでも向き合わなきゃいけない。そんな気持ちと日々闘っています。

割り切れなかったから書いている

こうして言語化することで、自分の気持ちを整理したかったんです。誰かに読んでもらいたいというより、自分に対して「こんな気持ちだったんだ」と確認したかった。割り切れないことがあっても、それを無視しないで受け止める。それも、仕事のうちなのかもしれません。

でも、少しずつ鈍感力を育てようと思った

全部を真に受けていたら、心が持ちません。だから最近は「鈍感力」という言葉を意識しています。少しずつ、気にしすぎない自分になれたら、もう少し楽になるかもしれない。そう信じて、今日もまた一件一件、丁寧に仕事を続けています。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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