えっ、父の土地じゃなかった?──相続登記で突きつけられた意外な真実

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えっ、父の土地じゃなかった?──相続登記で突きつけられた意外な真実

まさかの一言「これ、あなたのお父さんの土地じゃないかも」

ある日、相続登記の依頼で来られたご家族とのやりとりの中で、不動産の名義について確認したところ、「え?これ、父の土地じゃないかも」と言われました。正直、耳を疑いました。ずっと父が使っていた土地。家庭菜園にしていて、近所からも「◯◯さんの畑」として知られていた場所。でも登記簿を見ると、名義は父じゃない。まさに、見なきゃよかった事実。こういう場面、実はけっこうあります。

登記の相談中に浮かび上がる違和感

最初の相談時点では、土地の場所、固定資産税の納税証明、すべて「父のもの」と思い込んでいる方がほとんど。でも法務局で登記簿を確認すると、見たこともない名前が出てくることがあるんです。その時点で「これ、うちのものじゃなかったんですか?」と不安そうに聞かれる。いや、こちらが聞きたいくらいです。そんなとき、司法書士としては説明しつつも、内心「またか…」とため息ついてます。

他人事だと思っていた所有権トラブル

所有権のトラブルなんてドラマやニュースの中の話だと思っていませんか?でも、地方ではよくあるんです。昔の口約束で譲られた土地が未登記のまま、何十年も使われている。親も子もそれを疑っていない。でも、登記簿は正直です。相続のタイミングでそれが白日のもとにさらされる。もはやトラブルの火種は、ずっとそこにあったんです。

相続登記、やれば済むと思っていたけど…

最近の法改正もあって、「相続登記は義務です」と広報されるようになりました。でも、じゃあ「やれば済むのか?」というと、それは全然別の話です。必要書類をそろえて、申請書を出せば終わる…そんな甘いものではありません。むしろ、やるからこそ判明する問題の方が多い。まるで、フタを開けたら中からトラブルが出てくる玉手箱のようです。

書類が揃えば終わりじゃないのが現実

登記のための書類――戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明など、確かに多い。でも、それが全部そろっても、土地の名義が父でなければ意味がない。しかも登記簿の内容が古すぎて、父の名が出てこないケースもしばしばあります。「全部あります!」と自信満々に来られても、最初の登記簿を見た瞬間に振り出しに戻るんです。

固定資産税の名義と登記名義のズレ

これ、本当に多いです。市町村からの納税通知が父の名前になっているからといって、登記簿もそうとは限らない。実際は祖父のまま、ひどいと曾祖父のままなんてこともあります。「税金払ってるから自分のものだと思ってました」という言葉、何度聞いたかわかりません。税と登記は別物なんです。

法務局の公図を見て愕然としたこと

「ここまでがうちの土地だと思ってました」――測量図も境界杭もない古い土地にありがちな言葉。いざ公図を見ると、隣の土地まで使っていたことが判明したり、逆に思ったより狭かったり。司法書士としては淡々と説明しますが、心の中では「また公図と現況が合ってないよ」とぼやいてます。

本当にその土地、父のものだったのか?

人の記憶なんて曖昧なものです。とくに「うちの土地」という感覚は、実際の登記よりも生活の中で築かれていくもの。でも、登記上の事実は冷たく動かせません。「父がずっと使ってたから」という理由だけで相続登記を進めると、足元をすくわれることがあります。

名義の確認が甘かった昔の相続

昔は「とりあえず使ってる人が持ち主」みたいな空気がありました。特に親族間では「長男が継ぐ」的な文化も根強く、ちゃんと名義変更しないまま世代交代してる土地が山ほどあります。そういう土地が、今になって相続登記の義務化で一気に問題化してる。言ってしまえば、今まで放置してたツケが回ってきたんです。

父の代での「口約束」が残す地雷

「この土地は◯◯にやるからな」――口ではそう言っていても、登記してなければ意味がありません。ところが、そういう口約束を信じて生きてきた方々が本当に多い。いざ登記しようとして、「あれ?登記簿に名前がない…」ということになる。司法書士としては、こうした地雷をどう処理するかが悩みの種です。

登記簿の「名義人不明」がもたらす面倒さ

登記簿を開いてみたら、昭和初期の人物の名前。住所もすでに存在しない地名。これが「名義人不明」と言われるケースです。こうなると、調査から始まり、法定相続人を洗い出して…と、登記どころではなくなります。「これ、誰の土地なんですか?」と聞かれても、即答できないのがつらいところです。

昭和の名義がいまだに残っていた話

とある相談では、名義人が大正生まれの方で、関係者全員が他界していました。そこから相続関係を洗っていくのに半年かかりました。戸籍の取り寄せだけで一苦労。しかも法定相続人が20人以上。もはや「相続登記」というより「調査探偵業務」でした。

「一筆」の中に複数の所有者がいる罠

登記上は1つの土地(筆)でも、実際は複数人で分け合っている場合があります。それを一人のものとして登記しようとすると、他の共有者からの同意が必要です。「これ、父のものなんです!」と感情をぶつけられても、法的には共有者の権利も無視できません。こういうときの説明は、ほんとうに神経使います。

遺産分割のつもりが、名義確認の旅に出る羽目に

最初は「父の遺産を分けたい」というシンプルな相談だったのに、ふたを開けたら名義調査、相続人調査、そして権利関係の整理と、やることがどんどん膨らんでいく。司法書士としては想定の範囲内ですが、ご家族はだいたい途中で疲れてきます。

登記より先にやるべきだったこと

まず最初にやるべきは、「土地の登記簿の確認」です。とにかくこれ。誰の名義か、いつから変わっていないか、それだけで全体の難易度が変わります。ところが多くの方が、戸籍から集め始めてしまう。方向性がズレているのに気づかないまま、時間と手間だけが消えていく。もったいないです。

被相続人の戸籍よりも先に見ておくべき登記簿

登記簿を見れば、少なくとも「その人が本当に登記名義人かどうか」がわかります。ここを間違えて進めると、せっかくの戸籍も無駄になります。司法書士としては、まず登記簿確認を依頼時点でお勧めしていますが、実際には「戸籍が先でしょ?」という思い込みが根強い。逆なんですよ、実は。

所有者が曖昧な土地は、そもそも分けられない

「この土地を兄弟で半分こしたい」と言われても、所有者が誰かはっきりしていなければ、分けようがありません。民法的には所有者でないと遺産分割協議に参加できないわけで、「分ける話をする前に、誰のものか確認する」が大前提。なのに、それをすっ飛ばして話し合いだけ進めてしまうケース、あとを絶ちません。

司法書士として思う「もっと早く相談してくれ」

本当にそう思います。もっと早くに登記を見ていれば、もっと早くに確認していれば、トラブルを未然に防げたはずのケースが山のようにある。忙しいのもわかる、感情的になるのもわかる。でも、ちょっとだけ早く、ちょっとだけ冷静に行動してくれれば…。そんな気持ちで日々仕事をしています。

相談が遅れると本当に泥沼になる

相続登記は時間がたてばたつほど、面倒になります。関係者が亡くなっていく、戸籍が取り寄せづらくなる、共有者が増える、話がややこしくなる…。全部、実際に経験していることです。相談が遅れるほど、登記の難易度も、費用も、ストレスも増える。それを伝えるのも、司法書士の仕事の一部なのかもしれません。

「知っていれば避けられたのに」の連続

結局のところ、知識があるかどうか。それだけなんです。土地の名義の重要性、登記簿を見る習慣、口約束の危うさ…。知っていれば避けられた問題に、今日もまた直面する。司法書士として、伝える責任を感じながら、愚痴をこぼしつつやってます。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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