せっかくの休日なのに…事務所の電話が頭から離れない日

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せっかくの休日なのに…事務所の電話が頭から離れない日

せっかくの休日、気持ちが休まらない現実

「ようやく休める」と思っていたはずの休日。天気も良いし、家族でちょっと遠出しようかと計画していた。けれど、気持ちはどこか落ち着かない。ポケットの中のスマホが、たとえ無音でも重たく感じる。結局、どこにいても「電話が鳴るんじゃないか」と思ってしまう。これじゃ、体は休んでいても心はまったく休まっていない。

電話が鳴らなくても気になる“音の幻聴”

正直な話、電話が鳴ってないのに鳴ったような気がすることがある。「あれ?今、振動した?」とスマホを取り出して確認。何も来ていないのを見て、少しホッとしつつも、「また来るかも」と思ってしまう。これはもう職業病なのか、条件反射なのか。せっかくの温泉旅行中も、結局、スマホをチラチラ見ては気が散ってばかりだった。

「今日は休みです」と言えない性格がつらい

休みの日にかかってくる電話。出なきゃいいだけなのに、出てしまう。相手の声が困っていそうだと、つい「今ちょっと出先なんですが…」と話を聞いてしまう。自分の中で、「困っている人を無視できない」という気持ちがあるのは分かってる。でも、それで自分の休息が削られていくことに、どこかでモヤモヤしてしまう。

なぜ司法書士はこんなにも休みにくいのか

この仕事、思ったよりも“代わりが効かない”のがつらいところだ。業務の性質上、最終判断や署名が必要な場面はどうしても本人である自分がやるしかない。さらに「どこに頼んでいいか分からないから、まずはあなたに聞くね」というパターンも多く、案件以外の相談も容赦なく舞い込んでくる。

業務の属人性と「自分がやらなきゃ」の呪い

例えば、遺産分割協議書の文案を作るとき。法的な解釈だけでなく、家族間の感情のバランスまで読む必要がある。そうすると、「この人のケースは前も担当したし、自分じゃないと分からない」と感じてしまう。結果、他の人に任せる選択肢が自分の中で消えてしまい、仕事を抱え込む悪循環に陥る。

事務員さんがいても結局“全部自分に戻ってくる”構造

ありがたいことに、事務員さんは本当に助けてくれている。ただ、判断を求められる場面、例えば登記原因の確認や相続人調査の抜け漏れチェックなど、最終的な責任はどうしても自分に戻ってくる。電話を代わりに取ってくれても、「折り返しお願いします」とメモが増えているだけで、休み明けに倍のタスクが待っているのが現実だ。

地方だからこその“顔が見えるプレッシャー”

都会と違って、地方では人と人との距離が近い。スーパーで買い物していても、以前依頼を受けた方と出会うことは日常茶飯事だ。「この間の件、どうなりました?」と聞かれたら、つい仕事モードに戻ってしまう。完全にプライベートな時間というものが、ほとんど存在しない。

「あの人なら電話一本で出てくれるはず」の期待

地元の方からすれば、「あの司法書士さんは頼りになる」と思ってもらえるのは嬉しい。でもその“期待”が、こちらの首をしめることもある。「いつでも対応してくれる」という印象を持たれてしまうと、逆に「出なかった」ことに軽い不満を持たれてしまうことすらある。

断ることが“冷たい人”の烙印に繋がる

一度だけ、休日の対応を断ったことがある。その後、その方からの紹介がピタッと止まったのを覚えている。「冷たい人」と思われたのかもしれない。すべての人がそうではないけれど、「断る」という選択が、自分の仕事の未来に少なからず影響する可能性があると思うと、気楽には休めない。

心と体の限界ラインに気づく瞬間

ある日、休日に子どもと遊園地に行ったときのこと。アトラクションの列に並んでいる間、ずっと案件のことを考えていた。「あの書類の期限、間に合うか?」「あの人、連絡なかったけど大丈夫か?」と、頭の中は仕事だらけ。子どもが「パパ、見て!」と言った瞬間、ハッとした。完全に、心が“今ここ”にいなかった。

休みのはずが、頭は「次の案件」でフル稼働

日曜の朝、「今日は何もしないぞ」と決意しても、脳内ではすでに来週の予定が再生されている。「〇〇さんの戸籍、取り寄せたっけ?」「月曜の打ち合わせ、資料準備してたかな?」と、自動的に脳内チェックリストが動き出す。休みって、ただの“作業がない日”になってしまっている。

家族との時間も“半分は上の空”になっている

妻にも何度か言われた。「またスマホ見てたでしょ?話聞いてた?」と。自分では“仕事してるつもり”はなくても、意識が仕事に向いてしまっている。心から「休めている」と言える休日は、もう何年も経験していない気がする。

司法書士が“本当に休む”ための仕組みづくり

結局、意識だけで「休もう」と思っても無理がある。仕組みを作っておかないと、結局どこかで「対応せざるを得ない」状況が生まれる。自分の性格に頼らず、環境を変えていく必要があると痛感している。

まずは自分の中の「罪悪感」を疑ってみる

仕事を断ったり、電話に出なかったときに感じる“申し訳なさ”。それ、本当に必要な感情なんだろうか?と考えるようにした。「ちゃんと営業時間内に対応してます」「緊急時以外は休みの日は出られません」と伝えてもいいはずなのに、なぜか言えない。それは、自分の中の“いい人でいたい”気持ちが邪魔してるのかもしれない。

自動応答・転送・事務員対応の線引きを再考する

思い切って、休日の電話は事務員さんにすべて任せる日を作った。自動応答で「本日は休業日です」と流れるようにもした。その結果、9割の連絡は翌営業日で問題なかった。こちらが「出ない」と決めても、意外と世界は回るんだと分かった。それだけでも、心の荷が少し軽くなった。

それでも休めないあなたへ、ひとつだけ言いたいこと

もし、ここまで読んで「それでもやっぱり不安で休めない」という方がいたら、伝えたい。「あなたが倒れたら、もっと迷惑をかける」と。自分も体調を崩して、初めてそれに気づいた。休むことは、自分のためだけじゃなく、仕事を続けるための投資でもある。だから、どうか自分を責めずに、堂々と休んでほしい。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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