その仕事、いくらが妥当?誰も教えてくれない報酬のリアル

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その仕事、いくらが妥当?誰も教えてくれない報酬のリアル

「相場」って誰が決めたの?――見えない基準への疑問

「この手続き、いくらくらいが普通なんですか?」と聞かれるたびに、未だに少し身構えてしまう。報酬の「相場」って、誰かがきっちり決めてくれたらどれだけ楽かと思うけれど、実際にはそんなものは存在しない。同じ登記でも状況や顧客によって手間も変わるし、地域差もある。だから結局、「自己判断」に頼るしかない。でもそれが、いちばん怖い。

ネットで調べてもバラバラすぎる

ある時、報酬額の参考にと他事務所のホームページを片っ端から見てみた。すると、同じ相続登記でも金額は数万円単位で開きがある。「どっちが正解なんだ?」と、余計に迷ってしまった。ネットで得られる情報は断片的で、そこに記載されていない「背景の事情」まで読み取ることはできない。結局、自分の業務と照らし合わせても参考にならないことが多い。

報酬規程はあるけれど、実際には…

もちろん司法書士会には報酬規程があるけれど、あくまで「上限の目安」にすぎない。現場では「このくらいなら妥当だろう」とか、「他より安くしないと依頼が取れないかも」といった心理が働いて、実際の金額はバラついている。規程があることで多少の指針にはなるが、それに従っていれば安心というものでもないのが現実だ。

同業者に聞いても「そんなもん」だけ

懇意にしている先輩司法書士に思い切って聞いてみたことがある。「この業務、いくらくらい取ってます?」と。すると返ってきたのは「まあ、そのくらいが普通じゃない?」というふんわりした回答。そう、みんな実はあまりはっきりした基準がないまま、なんとなくやっているのだと気づかされて、逆に不安が増した。

「高い」と言われる恐怖、「安すぎる」と感じるジレンマ

見積書を出すとき、いちばん緊張するのは「高い」と言われること。かといって安くしすぎると、自分の労力が報われない感じがして虚しくなる。報酬設定には、精神的な負担が常に付きまとう。

お客様の「一言」で崩れる自信

以前、「そんなにかかるんですか?」とちょっと驚いたように言われたことがある。その一言で、内心グラグラと自信が崩れていくのを感じた。何度も説明し、業務のボリュームを伝えて納得してもらったけれど、それでも後味の悪さは残る。こちらの正当性を証明することの難しさに、いつも悩まされている。

じゃあ他の事務所はどうなのかが気になる

自分の提示した報酬が妥当かどうかを確かめる手段がないから、他の事務所がどのくらい取っているのか、どうしても気になってしまう。でも同業者との報酬競争は避けたいし、あまり踏み込んで聞くのも気が引ける。結局、自分の中で納得するしかないのだが、それが一番難しい。

値決めは「不安」との戦い――心がすり減る現実

報酬をどう設定するかは、技術や知識だけでは解決できない領域だ。むしろ、自己評価やお客様との信頼関係、そして「怖さ」との戦いでもある。これが毎回のことだから、気持ちは削られていく。

相談のたびに金額の話になるストレス

電話相談や面談で、業務の説明よりもまず「いくらかかるんですか?」と聞かれると、なんだか自分が値段で判断されているようで辛い。料金のことを聞くのは当然なのだが、それが「値切り」のニュアンスを含んでいたりすると、しんどさが増す。

業務の話より、金額の話に時間を取られる

とある相談者に、30分以上かけて丁寧に説明したが、結局「でももっと安いとこありますよね」と言われて終わった。時間と労力をかけたのに、そこに価値を見出してもらえなかったことが堪えた。司法書士の仕事は「価格比較」だけでは測れないのに、現場ではそれが通用しないこともある。

自分の「価値」が試されているようでつらい

見積りを出すたび、「あなたにはこの価値がありますか?」と突きつけられている気がする。お客様にとっては金額の問題でも、こちらにとっては「存在価値」に関わる大きなテーマだ。精神的な疲労感が積み重なる理由は、ここにあると思う。

経験や知識があっても、結局は値段で判断される

登記の細かな注意点や、将来トラブルを避ける工夫――そんな努力や工夫をいくらしても、見えない部分には報酬がつかない。結果として、安いところに流れる顧客も多い。どれだけ誠実にやっても、それが報われない感覚は、時に虚しさを生む。

報酬=生活。安くすれば誰が損をするのか

報酬はただの数字ではなく、自分と事務所、そしてスタッフの生活を支える柱だ。だからこそ、値下げは簡単にできない。でもその背景を理解してくれる人は少ないのが現実だ。

自分の時間と労力、どこまで削れるのか

登記一件にかける時間が増えれば増えるほど、時間単価は下がる。そうなると、「このままの料金設定ではやっていけないかも」と不安になる。スピード重視の事務所と比較されることもあるが、丁寧にやろうとするほど自分が損をしているような気持ちになるのがつらい。

「ついで」の依頼が雪だるま式に増えていく

「ついでにこれもお願いできませんか?」という依頼がどんどん積み重なる。断れば印象が悪くなるし、受ければ時間も責任も増す。でも、その追加分に報酬が発生しないことも多い。結果として、割に合わない仕事が増えていく。

事務員にも給与を出さなきゃいけない現実

独り身のときならまだしも、今は事務員さんに給料を払っている以上、赤字では済まされない。固定費があるということは、安易な値下げが直接経営を圧迫するということでもある。報酬を下げるたびに、「これは誰の負担になるんだろう」と胸が痛む。

安請け合いは、自分だけじゃなく周囲も巻き込む

安く仕事を引き受けると、事務員さんの仕事量も増える。しかも、その労力には見合った対価が支払われるとは限らない。自分だけの問題ではなく、周囲の人間をも巻き込んでしまう。それを考えると、気軽に「値下げ」はできないというプレッシャーがのしかかる。

じゃあどうする?納得できる報酬設定とは

この仕事を続けていくうえで、報酬設定の悩みから完全に解放されることはない。でも、「自分なりの納得」を持つことが、少しでも楽にしてくれるのかもしれない。

「自分が納得できるか」で決める勇気

他人にどう思われるかよりも、自分が納得できるかどうか。それを基準にすることで、少しずつ迷いが減っていったように思う。高すぎると思うなら下げればいいし、安すぎてしんどいなら上げる勇気も必要だ。完璧な相場なんてないのだから、自分なりの軸を持つしかない。

説明力も仕事のうち

「なぜこの金額なのか」を、きちんと説明できることも、司法書士の大事なスキルだと思うようになった。ただ金額だけを提示するのではなく、業務内容や背景、リスクなども含めて説明することで、納得感は生まれやすくなる。説明に手間をかけることも、実は自分の報酬を守る手段のひとつだ。

それでもやっぱり怖い「お金の話」

どれだけ経験を積んでも、報酬の話はいつも緊張する。相手の反応を見ながら言葉を選び、こちらの価値を伝えようとする時間は、いつも胃が痛くなる。でも逃げられないテーマだからこそ、少しずつ向き合うしかない。

断られる怖さと戦うしかない

報酬の話をしただけで依頼を断られたこともある。でも、それでいいと思うようになった。無理して安く請けても、長い目で見れば自分も相手も不幸になる。値段で去っていく人よりも、内容で納得してくれる人と向き合いたい。そう思えるようになっただけでも、少しは成長したのかもしれない。

言いにくさはなくならないけれど

お金の話は、きっとこの先も得意にはならない。だけど、それでも少しずつ、伝え方や説明の仕方が上手くなっている気はする。「言いにくいけど、言わなきゃいけないこと」だと割り切れるようになったら、少し気が楽になるものだ。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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