それ、スマホで全部できるって本気で思ってる?

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それ、スマホで全部できるって本気で思ってる?

「スマホ一台で士業はできる」幻想を抱いているあなたへ

最近、「スマホさえあれば士業もいけるっしょ」という声をちらほら耳にする。SNSで流れてくる「ノマド司法書士」とか「どこでも登記できます!」という言葉に、つい心が揺らぐ人も多いのではないだろうか。でも現実はそんなに甘くない。田舎で細々と司法書士事務所を営んでいる私からすると、「それ、どこの異世界の話?」と思ってしまう。もちろん技術の進化はありがたい。しかし、それに頼り切るのは、ちょっと危ない橋を渡るようなものなのだ。

デジタル化の波に押されて焦る気持ちは分かるけれど

司法書士業界もデジタル化が進み、法務局のオンライン申請システムやクラウド管理など、便利なツールが増えてきた。でも、それに伴って「自分も全部スマホでできるようにならなきゃ」みたいな焦りが出てくるのも事実。特に開業したての若い司法書士や、目指している学生なんかは、「これからはスマホ一台の時代!」と信じがち。でも、現場ではまだまだ紙とハンコが主役なのだ。

まず、スマホだけで完結しない業務って何なのか

一度、全部スマホでやってやろうとチャレンジしたことがある。が、結果は惨敗だった。書類の郵送、原本の保管、クライアントとの対面、予想外の電話対応…どれもスマホじゃ完結しない。スケジュール管理や地図アプリでの移動確認くらいなら使えるが、それ以外は結局「机」と「紙」と「人間の対応力」が必要になる。スマホ万能説に酔ってしまうと、足元をすくわれる。

スマホじゃ詰む“現場の泥臭さ”

現場で実際に動いていると、スマホの限界を痛感する。システムは便利でも、それを活かすための“人間の足”と“目”と“勘”が必要なのだ。特に、地方で一人事務所を運営していると、移動も多く、対応範囲も広い。スマホが役立つ場面もあるけれど、それ以上に“泥臭さ”が物を言うのが現実。

書類の原本?紙と印鑑がまだ主役です

例えば、登記に使う書類。原本提出が必要なケースはまだまだある。印鑑証明も、原本確認が基本。スマホにPDFを表示して「これでお願いします」なんて通用しない。郵送された原本を確認して、照合して、間違いがあれば即連絡…これが日常だ。印刷とスキャンのルーティンが日々繰り返されている。

登記識別情報通知書をスマホで受け取れるわけじゃない

法務局から届く登記識別情報通知書は、普通郵便で送られてくる。紙で。しかも開封したらシールが破れる仕組み。つまり、再発行もきかない一発勝負だ。スマホでの再取得なんて夢のまた夢。この重要書類ひとつとっても、「紙の現実」を実感する。

郵便局に通う頻度、なめないでほしい

平日の午前中、必ずと言っていいほど郵便局に行く。特定記録や書留、レターパックで送る書類が山積みなのだ。スマホで全部送れる? 送れたらどれだけ楽か。でもこの現実は、Googleマップにも載っていない。天気が悪くても行かねばならない。それが司法書士の現場。

クライアント対応はAIより空気を読む力

「LINEで済む話じゃん」と思われがちだけど、そう簡単にはいかない。クライアントとの信頼関係は、会話の“間”や“声のトーン”で築かれることが多い。チャットでは伝わらない微妙なニュアンスが、実は仕事のキモだったりする。

電話の一言で相手の温度を感じることもある

電話が鳴った瞬間、こちらの手は離せない。でも、電話口での相手の声のトーン、間、呼吸で「今、ちょっと焦ってるな」とか「逆に余裕ありそうだな」って分かる。そういう温度感は、スマホの文字からは読み取れない。現場対応の中で鍛えられる感覚だ。

スマホで全て管理?いや、それは無理筋

スケジュール、連絡先、メモ、ToDoリスト…スマホで管理しようとすればするほど、逆に煩雑になっていくことがある。紙とアナログの良さって、意外とバカにできない。

タスク管理アプリを導入したけど、それでも漏れる

有名なタスク管理アプリを導入した。最初は便利だったが、慣れてくると「登録するのが面倒」になってくる。結果、重要なタスクがメモされず、後でヒヤッとする。これはもう、私だけじゃないはず。紙のメモ帳に書いて机に貼ったほうが早い、という原始的な結論に戻った。

紙の付箋が手放せないリアルな理由

電話中にパッと手に取れる。急ぎの用件を赤字で書いて、PCのモニターに貼る。こうした物理的な存在があるからこそ、忘れずに対応できる。スマホアプリじゃこのスピード感は出ない。ITよりも、見える化のほうが強いことだってある。

「一人で何でもできる」は妄想、むしろ危険

「スマホ一台=一人で全部できる」は、実は孤独の始まりでもある。一人で全て抱えると、どこかで無理が来る。そして誰にも頼れない状態に、心が摩耗していく。

事務員さんのありがたみは失ってから気づく

うちの事務員さんが体調を崩して休んだ日。電話、郵送、データ入力、書類チェック…すべてを一人でやったら、半日で頭がショートした。いつも通りの仕事量なのに、圧倒的に手が足りない。結局、人の手というのは、スマホ以上の価値があるのだ。

結局“人”の力に支えられてる

人は、人にしかできないことがある。クライアントの気持ちを汲む、急な予定変更に柔軟に対応する、手書きの一言で安心を与える…。どれもスマホじゃ再現できない。士業は、人の生活や感情に寄り添う仕事。だからこそ、“人”が中心であるべきなのだ。

技術を使いこなす“頭”がなければスマホも宝の持ち腐れ

いくらスマホが高性能になっても、それを活かす“使い手”のリテラシーが低ければ意味がない。使い方を間違えれば、逆にトラブルを招くだけ。

操作ミスで全部パー、よくある話

クラウドに保存したつもりの書類が、実は同期されていなかった。お客様との打ち合わせ中に「ファイルが開かない」という冷や汗もののトラブル。便利さは、使い方を誤れば一瞬でリスクに転じる。結局、最終確認は人の目が必要なのだ。

トラブル時に頼れるのは結局アナログ人脈

急ぎの登記でトラブルが起きたとき、結局頼りになるのは、スマホでもアプリでもなく、昔ながらの“あの先生”。電話一本でつながる関係性が、最後のセーフティネットになる。デジタルよりも人の信頼のほうが、士業には効くのだ。

まとめ:「スマホは道具。人間が主役」って当たり前だけど忘れがち

スマホは確かに便利。でも、それに頼りきってはいけない。士業の根っこには“人”がいる。現場で動く、人間の判断と対応力があるからこそ成り立つ仕事だ。スマホでできることはあくまで補助。主役になるのは、自分自身だ。

便利さに溺れないために意識していること

「便利すぎると、手を抜くようになる」—これが私の持論。だからこそ、自分で動く、自分で見る、自分で判断する。この3つをスマホに丸投げしないよう、日々意識している。スマホは使うもの。使われないようにするのが大切だ。

スマホの外にある“士業の価値”とは

結局のところ、スマホにできないことが、士業の価値なのかもしれない。信頼、気遣い、現場感、そして責任。こうした“スマホの外側”にあるものを丁寧に守っていくことが、士業としての本当の価値につながっていく。スマホは便利。でも、それだけじゃ足りない。それが、現場の本音だ。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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