それ、本当に合ってますか?と聞かれた瞬間、頭が真っ白になるあの感じ

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それ、本当に合ってますか?と聞かれた瞬間、頭が真っ白になるあの感じ

「合ってますか?」の破壊力──小さな一言に揺れる日常

司法書士の仕事は、言ってしまえば「間違えないこと」が前提になっている。書類一枚、登記情報の一行、押印位置ひとつでもズレれば、すぐに信用問題に発展する。だからこそ、誰かに「これ、合ってますか?」と聞かれた瞬間、その場の空気が変わる。心臓がキュッとなり、頭の中は真っ白になる。たとえその問いが悪意なくても、こちらにとっては一種の“警報”なのだ。

あの一言が突き刺さるタイミングとは

「合ってますか?」は、たいていこちらが少し油断しているときに飛んでくる。仕事のピーク時、確認作業が続いた後、あるいは「これは大丈夫だろう」と気を抜いたとき。それだけに、一言が与えるダメージが大きい。「しまった、見落としたか?」と疑心暗鬼になり、頭の中で過去の記憶を高速で検索しはじめる。

事務所内でのチェック時の緊張

たとえば、事務員さんに「この印鑑証明、日付これでいいんですか?」と聞かれると、ハッとする。自分で何度も見たはずなのに、そう言われると急に自信がなくなる。確認するとやはり合っているのだけど、その間の数秒の緊張感といったらない。うちは小さな事務所なので、ダブルチェックも結局自分がやる羽目になり、疲れた脳に追い打ちをかけてくる。

電話口での確認質問が怖い

銀行や法務局からの電話も同様だ。「この登記の添付書類、これで大丈夫ですかね?」という“さりげない”一言に、背筋が凍る。「何か間違えたか?」「補正か?」「こないだも似たような案件で注意されたし…」と、脳内で不安が駆け巡る。こういうときに限って、他の電話が鳴ったり来客があったりして、さらに混乱する。

お客様や銀行担当者からの指摘

お客様から「これ、合ってますよね?」と聞かれるときも、実はちょっと動揺している。司法書士は“正解を出す人”だと思われているだけに、「えっと…」と詰まるわけにはいかない。でも、人間だから完璧ではないし、時にはミスもある。それを悟られないようにするのがまた一苦労。冷静なふりをしながら、内心はぐるぐると確認作業をしている。

なぜこんなに動揺してしまうのか

「合ってますか?」という質問の裏には、“間違いが許されない空気”がある。もちろん誰も責めているわけではない。でも、この仕事の性質上、ミス=信用の損失なので、敏感になるのは仕方がない。たった一文字の間違いが、依頼人や関係機関との信頼関係を揺るがしかねないのだ。

「間違ってはいけない仕事」だからこそのプレッシャー

司法書士の業務は、正確性がすべてだ。だからこそ、「うっかり」は言い訳にならない。たとえ寝不足だったとしても、体調が悪くても、ミスが許されない。たまに「先生のところなら安心です」と言われると嬉しい反面、それがまた重荷になっていく。このプレッシャーが日々蓄積して、ちょっとした指摘にも過剰反応してしまうのだ。

責任の重さがもたらす慢性的な不安

土地の取引、相続登記、会社設立——どれも一発勝負であることが多い。修正が効かない、あるいは修正に手間と信用がかかる。そういう現場にいると、「自分はいつか大きなミスをするのではないか」と、慢性的に不安がつきまとう。特に忙しいときほど、集中力が落ち、心の片隅で「また『合ってますか?』が来るかも」と怯えている。

事務員さんとのやりとりも気が抜けない

うちの事務員さんはとてもしっかりしていて、本当に助かっている。だが、そのぶん「先生、これ再確認お願いできますか?」の一言が強烈だ。向こうは善意で言ってくれているのはわかっているが、こっちは毎回「どこかミスったか!?」と内心冷や汗だらだらだ。

「これ、先生の確認済みですよね?」のプレッシャー

一度、委任状の日付が1日ズレていたことがあった。事務員さんが見つけてくれて助かったが、「これ、確認してもらったと思うんですけど…」と言われたときの焦りと情けなさ。自分の確認が甘かったせいで、事務員さんに余計な気を使わせてしまったことが何よりも悔しかった。信頼される存在でいたいのに、現実はなかなかうまくいかない。

失敗できない、でも人間だから

完璧を求められる仕事だけど、やっぱり人間なので、どこかで必ずミスはする。もちろん未然に防ぐ努力はするが、ゼロにはできない。だからこそ、自分に対して過剰に厳しくなる。そしてそのストレスが、また次のミスを呼ぶという悪循環になる。

どんなに注意しても見落とすときはある

チェックリストを使い、複数回確認をしても、なぜか抜けてしまうことがある。たとえば添付書類の漏れ。これは何度も経験したが、提出直前に「あれ、これ足りてるか?」と気づいて肝を冷やす。こういうときに限って時間がギリギリで、法務局まで全力疾走する羽目になる。自分を責めても仕方ないと頭ではわかっていても、やっぱり落ち込む。

経験年数を重ねるほど許されない空気

司法書士になって20年近く経ったが、年数を重ねるほどに「先生がそんなミスするとは…」という目線が増える。若いころは「まだ慣れてないんですね」と許してもらえたのに、今はそうはいかない。だからこそ、失敗への恐れが増し、ますます委縮してしまうのだ。

それでも間違いと向き合うしかない

間違いが起きたら、逃げずに向き合うしかない。もちろん恥ずかしいし、情けない。でも、そこから学ばなければ、次も同じことを繰り返してしまう。間違いを報告するのは勇気が要るが、誠実さこそが唯一の信頼回復手段だと思っている。

間違いがバレたあとの対応フロー

一度、登記申請で添付書類を一部間違えて提出してしまった。すぐに気づいて法務局に連絡し、補正手続きを依頼。お客様には謝罪と事情説明。時間も労力も使うが、誠意を持って対応すれば、たいていの方は理解してくれる。逃げたくなるけれど、向き合うことで自分自身も楽になる。

関係各所への謝罪と説明の地味で長い戦い

関係機関への電話連絡、訂正書類の作成、郵送手配など、ミスが起きると地味だけど煩雑な作業が山ほど発生する。そしてなにより、相手の信頼を回復するまでの時間が長い。その間はずっと心がザワザワしていて、正直しんどい。でも、こういう時こそ自分の仕事への向き合い方が問われているのだと思う。

気にしすぎない工夫と心のガス抜き

すべてを完璧にこなそうとすると、心が壊れてしまう。だから最近は、意識して“気を抜く”時間を作るようにしている。間違いをゼロにする努力は必要だが、ミスを過度に恐れすぎるのもよくない。自分を追い詰めないことが、長くこの仕事を続けるコツだと気づき始めた。

ひとり反省会をやめてみた話

以前は何かあるたびにひとりで反省会を開いていた。机に向かって「ああすればよかった」「なんで見逃したんだ」と延々と考える。けれど、ある日気づいた。反省しすぎると、次の仕事に集中できなくなるのだ。最近は反省は30分で打ち切るルールにしている。それだけでも、だいぶ気が楽になった。

「完璧でなくても大丈夫」と思える瞬間をつくる

週に一度は事務員さんと“ゆるミーティング”を開くようにしている。お茶でも飲みながら、「最近ヒヤッとしたこと」をシェアする時間だ。完璧を目指すのではなく、お互いに支え合う感覚ができてきた。司法書士は孤独な職業だけど、ちょっとした工夫で心の余裕はつくれる。間違いを恐れすぎずに、向き合っていきたい。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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