そんなにかかるの?って顔をされた日。登記費用の説明って難しい

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そんなにかかるの?って顔をされた日。登記費用の説明って難しい

登記費用を伝えた瞬間の沈黙――あの気まずさ、慣れません

先日、登記の見積書を依頼者さんにお渡ししたときのこと。「こんなにするんですか?」と、ちょっと声のトーンが変わったのを感じた瞬間、あぁまた来たか…と内心ため息。こちらとしては適正な費用を淡々と伝えただけなのに、相手の表情が一気に曇ると、やっぱり気まずいもんです。正直、毎回緊張します。

「えっ、そんなにするんですか?」と言われたあの日

不動産の名義変更でご相談にいらした方に、概算の登記費用を説明したときのこと。軽く20万円を超える金額を伝えたとたん、沈黙。その後の「えっ、そんなにするんですか?」というひと言に、こちらの心臓はドクンと鳴りました。いやいや、全部こっちの取り分じゃないんです…と言いたくなる気持ちをぐっと堪えました。

想定外のリアクションに焦る

私の中では、これはよくある範囲の費用だったのですが、お客様にとっては「予定外」だったようで。慣れてるはずの自分も、思わず「あっ…すみません」と口に出てしまいそうになりました。でも、それって本来おかしいんですよね。こちらが決めた金額じゃないのに、なぜ謝りたくなるのか…。

こちらは見積もり通りでも、相手には「高い」

一応、事前に「税金や登録免許税が大きいので…」と伝えるようにしてはいるのですが、やっぱり「司法書士に20万円払った」と思われがち。その誤解を解くには、時間も言葉も足りません。結果、「なんとなくモヤモヤ」だけが残ることもあります。

なぜ登記費用は高く見えるのか

登記の見積もりを出すと、たいてい反応は二極化します。「思ったより安いですね」と言ってくれる方もいれば、明らかに「高い」と感じる方もいる。その違いの大半は、“登記費用=司法書士報酬”だと思っているかどうかなんですよね。

報酬よりも登録免許税のインパクト

正直な話、私たち司法書士の取り分よりも、法務局に支払う登録免許税の方が圧倒的に高いです。こればかりは国が決めたルールで、私たちは単なる代行者。でも明細を出して説明しても、「じゃあその合計、全部でいくら?」の一言で話が戻ってしまう現実もあります。

「司法書士=手数料全部」だと思われがち

たとえば「手数料は8万円」と言っても、「じゃあ20万円のうち残りは?」と問われると、それをひとつひとつ丁寧に説明するのは至難の業です。相続税や贈与税とはまた違う、ちょっと中途半端に高い金額が、誤解を生んでいる気がしてなりません。

謝ってしまうけれど、本当は謝ることじゃない

本当は「何も悪くない」のに、なぜか謝ってしまう。それが登記費用を伝えるときの不思議な空気です。でもこれ、積み重なると地味に精神を削ってくるんですよね…。まるで、悪いことしてないのに怒られてる子どもみたいな気持ちになる時もあります。

「すみません…」とつい言ってしまう心理

「なんだか高いですね」と言われたとき、私は無意識に「すみません」と口にしてしまったことがあります。でもよくよく考えると、それって逆に「やましいことがある」と誤解されかねない表現ですよね。謝るより、冷静に制度を説明する方が誠実なはず。でもそれが難しいんです。

空気を悪くしたくない気持ち

地方の司法書士は、特に「ご近所付き合い」的な空気を大事にしがちです。険悪になりたくない。でもその結果として、説明が曖昧になったり、立場が弱く見えたり…。登記のプロとしての自信と、地域の人間関係との間で揺れるんです。

でも謝罪が誤解を招くこともある

「すみません」を多用すると、「なんか変なことしてる?」と勘ぐられるリスクもあります。やっぱり、言葉選びって大事だなと感じます。「正しい説明」と「伝わる説明」は、必ずしも一致しない。悩ましいところです。

本音では「国に言ってくれ…」と思っている

これ、声を大にして言いたいんですが――私たち司法書士が登記費用を勝手に上げてるわけじゃないんです!特に登録免許税は、「税」ですからね。金額も仕組みも全部、国の決まり。文句があるなら法務局か国税庁に…と思ってしまうこと、あります。

制度設計の問題と我々の立場

登記制度の透明性はあっても、理解しやすさは別問題。そこを丁寧に咀嚼して伝えるのが司法書士の役割…と分かっていても、いつも同じやり取りに疲れてしまうのも事実です。特に忙しい日には、その説明すら苦行になります。

これって、どこまで説明すべき?

「全部説明するべきか」「端的に伝えるべきか」――これは今も迷うポイントです。丁寧すぎても伝わらないし、雑にすると信用を落とす。相手の温度感に合わせて調整している自分に、ふと疲れを感じることもあります。

「明細を出しても、全部読んでくれるとは限らない」問題

費用の内訳を丁寧に書いても、見る人は見ますが、見ない人はまったく見ません。そして、そういう方に限って「なんでこんな金額になるんですか?」と後から聞いてきたり…。わかってるのに、毎回モヤっとするのはなんででしょうね。

丁寧に伝えるほど伝わらない paradox

「これは○○円で、こっちは△△円で…」と細かく説明すると、逆に混乱させてしまうケースも。結果、「結局いくらなんですか?」と聞き返されて、振り出しに戻るパターンもあります。じゃあどうすれば…?と堂々巡りです。

相手が納得する説明のコツを考える

最近は「ざっくり→詳細」の順番で話すようにしています。最初に全体額を提示して、次に「この中で一番高いのが税金です」と伝える。これだけでも、リアクションがかなり穏やかになることがあります。理屈よりも流れ、なんですかね。

共感から入る vs 事実を先に伝える

「気持ちはわかります。でも…」から始める方がうまくいく場合もあります。ただ、あまりに共感から入りすぎると「怪しい」と思われることもあるので、バランスが難しい。毎回、試行錯誤の連続です。

やりすぎると逆に不信感になるリスクも

下手に丁寧に説明しすぎると「なんでそんなに言い訳っぽいの?」と警戒されることもあります。本当に、どこまで話すべきかは人によって違います。正解がないからこそ、迷いは続きます。

同じ悩みを抱える司法書士さんへ

きっと全国の司法書士の多くが、似たような経験をしていると思います。自分だけじゃない、と思うと少しだけ心が軽くなる。そんな思いで、このコラムを書いています。登記費用の説明、うまくできない日があっても、あなたは悪くない。

ひとりで抱え込まないでほしい

「登記費用の説明に失敗したかも…」と落ち込む夜もあります。でも、それはあなたが誠実に対応している証拠です。相手にきちんと伝えたいという気持ちがあるからこそ、悩むんです。一人で背負い込まないでください。

「あるある」だと気づくだけでラクになる

私もまだまだ迷いながらやっています。でも、「登記費用の話、毎回緊張するよね」という一言で、どれだけ救われるか分かりません。同業同士、もっと弱音を吐ける場があってもいいと思うんです。

理不尽と向き合う日々に意味を見出すために

理不尽だと感じることも、登記実務には多い。でもその中でも、信頼してくれるお客様や、ありがとうと言ってくれる依頼者がいる限り、私たちの仕事には価値がある。そんなふうに、自分に言い聞かせています。

だからこそ、言葉を磨く

結局のところ、最後は「伝え方」なんですよね。相手がどう受け取るかを想像しながら、自分の言葉を研ぎ澄ませていく。司法書士にとって、登記だけじゃなく「説明」もまた、プロの仕事なんだと思います。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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