登録免許税って、そんなに知られてない?
登録免許税という言葉を聞いただけで、「それ何ですか?」と首をかしげる依頼人は今も少なくありません。一般の方にとっては、税金というものがそもそも見えにくいもの。しかも「登記」に関する税金となれば、ますます遠い存在になります。私自身、もう何十回も説明してきましたが、そのたびに「説明することの難しさ」に直面しています。
「それ、手数料ですよね?」と言われたときの虚無感
「登録免許税って司法書士の報酬ですか?」と聞かれると、心の中で膝から崩れ落ちるような気持ちになります。いや、手数料ではないですし、むしろ国に納めるお金です。こちらとしては「自分の懐に入るわけじゃないのに…」という思いでいっぱいですが、それを言えば言うほど怪しまれるという矛盾にも苦しみます。説明すればするほど関係がこじれる瞬間もあるのです。
依頼人の「予算感」と現実のギャップ
とくに多いのが「登記費用は3万円くらいかなと思ってました」という予想です。登記内容や物件の規模によっては登録免許税だけで10万円を超えることもあります。金額を伝えた瞬間、「えっ…」と絶句する顔を見るたびに、こちらも気が引けます。「それが現実なんです」と言いたいけれど、どこか申し訳なさもあり、歯切れが悪くなってしまいます。
実際、登録免許税っていくらなの?
税額を説明する際、正直かなり気を遣います。基本的には「評価額×税率」ですが、それを言ってもピンとこない方がほとんどです。「何に対する税金なのか」が分からないと、そもそも話が入ってこない。だからこそ、できるだけ簡単に、でも正確に説明する努力が求められます。
土地・建物・法人…それぞれの計算方法をざっくり整理
例えば、不動産の所有権移転なら「固定資産評価額×2.0%」、法人設立なら資本金×0.7%(最低15万円)などが基本です。でも、この「固定資産評価額」というのがまた厄介で、毎年変わるうえに、路線価とも実勢価格とも違う。依頼人から「どうしてそんな額になるの?」と聞かれると、一つ一つの説明が脱線していき、話が長くなるんです。
評価額×税率=この数字、見せるタイミングが悩ましい
正直、この税額を伝えるタイミングは、いつも迷います。初回面談で言うと「高っ!」と驚かれ、後半だと「聞いてない」と責められる。まるで地雷のような存在です。私は最近、「相続登記の全体費用の中に含まれる税金です」とサラッと伝えて、あまり金額だけにフォーカスされないようにしています。でも、伝え方って本当に難しい。
「そんなに高いんですか!?」の嵐と日々向き合う
一番多いリアクションはやはり「そんなに高いんですか!?」という驚きです。まるでこちらがボッタクリをしているかのような目で見られると、さすがに心が折れそうになります。中には「ちょっと調べたらもっと安い司法書士さんがいました」と言われたことも。登録免許税はどこに頼んでも変わらないのに…。その誤解、ほんとにツライ。
「高い」と感じるのは、何が原因?
どうして登録免許税が「高い」と感じられてしまうのか。実は、税そのものの問題というより、”見え方”の問題が大きいと感じています。司法書士に頼む=書類作成料、という認識が根強く、「手続きに税金がかかる」という視点が抜け落ちているんです。
税金という言葉への反応は想像以上に鋭い
「税金です」と伝えると、なぜかムッとされることも。税金という言葉に、何か漠然とした敵意を感じている方も多いようです。「無駄に取られてる」と感じるのでしょうか。確かに私も、自分の給料から引かれる源泉徴収を見て溜息をつきますから、分からなくもないんですけどね。
行政書士と混同されがちな場面もある
「それって行政書士さんがやるやつじゃないんですか?」というセリフも、割とよく聞きます。たしかに似ている部分はあるけど、登録免許税が発生する登記手続きは司法書士の専門分野。それでも混同されてしまうのは、広報不足も一因かもしれません。もう少し分かりやすく、違いを伝える必要があると日々感じています。
説明しても納得されない瞬間がある
どれだけ丁寧に話しても、なぜか腑に落ちない顔をされる時があります。それはもう、何度経験してもツラい。こちらとしては「ちゃんと説明した」と思っていても、相手にとっては「わからなかった」だったりします。
ちゃんと話しても「司法書士の取り分」と誤解される
これは本当に困るんですが、登録免許税の説明をしていると「で、それは先生の取り分なんですよね?」と聞かれることがあります。そんなわけないんですが…。それだけ専門家=報酬、という固定観念が強いのでしょう。特に高齢の依頼人には、「司法書士が国の名を借りてお金を取ってる」と思われてるんじゃないかというくらいの誤解を感じます。
“自分が損してる”と感じさせてしまう心理的構造
話を聞いていて思うのは、依頼人は「お金を払う=損をする」という感覚を無意識に持っていることが多いということ。つまり、税金であれ報酬であれ、「出費=不利益」なんです。そのせいか、説明の中で“納得感”を作るのがとても難しい。でもそれを放棄したら、結局あとで自分が困る。伝え方の工夫が本当に求められます。
何度説明しても、次に会った時には忘れられてる問題
この問題、もう慣れました。何度説明しても「初耳です」と言われる。記憶に残らないんでしょうね。いや、もしかしたら聞きたくなかったのかもしれません。毎回、「ああ、また一からか…」と内心ため息をつきつつ、同じ話を繰り返します。
こちらの心が折れそうになる時
正直言って、毎回このやり取りがあると、こっちのメンタルも削られていきます。税額の説明一つで、こんなにも消耗する仕事だったっけ?と自問することもあります。
金額に対するリアクションで疲弊する日々
「高い」と言われることに、毎回ちょっとずつ心が削られていきます。まるで、自分の存在を否定されたような気持ちになることすらあります。冷静になれば「税金だから仕方ない」と思えるんですが、毎回それを切り替えるのも一苦労なんです。
正直、説明のたびに気力を削られている
この業務の中で一番「神経を使うな」と思うのが、この登録免許税の説明。言葉選びも、タイミングも、相手の表情も全部気にしながら話すので、終わった後はどっと疲れが来ます。「今日はこの説明だけで1日分の気力を使ったな…」という日も、実際にあります。
それでも「ちゃんと伝える」は、やめられない
それでも、私はやっぱり丁寧に説明することをやめたくありません。嫌がられても、うんざりされても、あとで「聞いてなかった」と言われるよりずっとマシです。司法書士としての責任感…というとキレイごとかもしれませんが、それでも「ちゃんと伝えたい」という思いは、仕事を続ける上での柱になっています。
誤解を放置すると、後からもっと面倒なことになる
一度でも「税金だとは知らなかった」「そんなにかかるなんて聞いてない」と言われたら、信頼は一気に崩れます。その後の関係もギクシャクしますし、下手をすれば報酬未払いなどにもつながりかねません。だからこそ、多少しんどくても、丁寧に説明しておくことが結果的には自分を守ることにもなるのです。
信頼関係の一部は、面倒な説明にあると思いたい
手間のかかる説明も、相手のためを思ってのこと。伝わる時は、ちゃんと伝わります。最後に「丁寧に教えてくれてありがとう」と言われると、それだけで救われた気持ちになります。この一言のために、また次の依頼人にも全力で説明しようと思える。そんな小さなやりがいに、今も支えられています。