書類の山に向かうたび、ため息が出る朝
朝、事務所に入ってまず目に入るのは、昨日片づけきれなかった書類の束。ファイル、原本、返信待ちの封筒…。机の上がまるで紙の迷路のようになっていて、どこから手をつければいいのか分からず、深いため息が漏れます。誰に見せるでもないこの姿。自分の段取りが悪いのか、それともこの仕事自体がそういうものなのか。そんな思いが、毎日のように胸をよぎります。
片付けても片付けても減らない現実
一つの案件が終わったかと思えば、別の案件から問い合わせの電話が入る。ようやく整理し始めた書類が、また新しい資料で上書きされていく。まるで流れ作業のように進めているはずなのに、目の前の山はなぜか減らない。むしろ増えてるような気がする…。何かのバグか？と思うほど、減っていかない現実に時折心が折れそうになります。
「効率化」の理想と「実務」のギャップ
司法書士向けの業務効率化セミナーにも参加して、いろんなノウハウは頭に入っているはずなんですが、現実はなかなかそう甘くありません。ITツールを導入しても、紙の原本が必要な案件も多くて結局プリントアウト。顧客によってはメールではなくFAXを好む人もいて、理想と現場のギャップを日々痛感しています。
なぜこんなに書類が溜まるのか
ふと立ち止まって考えてみました。「なぜ、ここまで書類に追われるのか」。原因をいくつかに分解してみることで、少しでも改善の糸口が見つかるかもしれない。そう思って、書類の山の向こう側を見つめてみました。
原因1：登記業務の特性と紙文化
登記申請にはまだまだ紙の文化が色濃く残っています。原本の確認や印鑑証明、添付書類の数々…。しかも、法務局から「やり直し」が返ってくることもしばしば。その度に一式をもう一度整理し直し、再提出。これが積もり積もって、気がつけば机の上に紙の「山脈」ができあがっています。
原因2：急ぎの案件と後回しの積み重ね
急ぎの案件に集中していると、どうしても処理が遅れがちなものが出てきます。特に、不動産の相続など、関係者が多くて調整が必要な案件は、進め方にも慎重さが求められます。その間、他の書類たちは「ちょっと待ってて」と積み上げられ、気がついた頃には手がつけられないほどの山に。
原因3：事務員一人の限界
うちの事務所は事務員さんが一人。彼女はよくやってくれていますが、量には限界があります。僕も実務にどっぷり関わっているため、事務作業のサポートにまで手が回らない日もあります。二人三脚で走っているはずなのに、時にその足並みがずれてしまう。結局、どちらかが過重労働になるという悪循環が生まれてしまいます。
忙しいと感じるのは自分だけじゃない？
「なんでこんなに自分ばっかり忙しいんだろう」と思う日もあります。でも実際は、同じように感じている同業の方も少なくありません。SNSや勉強会で話を聞いていると、みんな書類の山に囲まれて生きているようです。
他の司法書士も書類に埋もれている
ある研修会で会った同業の方が、「書類の山に名前つけてやろうかと思ってる」と冗談交じりに言っていて、笑ってしまいました。でもその言葉、実はすごくリアル。全国の司法書士事務所で、今日も無言の紙の圧力に耐えている人たちがいると思うと、少しだけ気が楽になります。
「自分だけじゃない」と思えたら少し楽になる
「自分だけがしんどいんじゃない」と思えることが、実はすごく大事だと最近感じます。比較して安心するというより、「一人じゃない」という感覚が、孤独をやわらげてくれるんです。たまには愚痴を共有する場も、必要ですね。
書類に追われるストレスが心をむしばむ
書類に囲まれていると、頭だけでなく心も重たくなっていきます。「やらなきゃ」と思っているのに、体が動かない。そんな日もあります。やる気の低下は自己嫌悪に直結します。
疲れが蓄積すると、優しさも消えていく
忙しさに追われると、つい言葉がとげとげしくなってしまうことがあります。事務員さんに「ちょっとこれ、急ぎでやってくれる？」と強めのトーンで言ってしまい、あとで後悔することもあります。優しさは、余裕がないと維持できないのかもしれません。
ついイライラしてしまう自分に自己嫌悪
「また言い過ぎたかも」と反省する夜、ふと鏡を見ると疲れた顔の自分。人のせいにはしたくないのに、状況のせいにしてしまっている。そんな自分にまた落ち込む…。そんなループにハマること、ありませんか？
心の余裕がないときの対処法
一度、思い切って書類から離れてみるのもひとつの手です。散歩でも、コンビニにコーヒー買いに行くでもいい。5分でいいから、自分を「書類の海」から引き上げてあげる。そのちょっとした時間が、気持ちの余白を作ってくれることがあります。
そんな日こそ「見ない勇気」が必要かもしれない
全部完璧に処理しようとするから、しんどくなる。そんな日には、あえて「今日はここまで」と決めてしまうことも、自分を守る選択肢のひとつです。
思い切って優先順位を見直す
重要な案件から手をつける。やるべき順番に迷ったら、一度書き出してみる。意外と、「今じゃなくてもいいこと」に時間を割いていたりします。視覚化することで、冷静な判断ができるようになります。
本当に今日やるべきことは何か
「今日中にやらないと」と思い込んでいたけど、実際は明日で十分なものもあります。全体の納期や優先度を再確認するだけで、今日の負担が半分くらいに感じられることもあるのです。
全部やらないと死ぬわけじゃない
自分の命より大事な仕事はない、と思うようにしています。書類の山に埋もれて倒れるくらいなら、多少先延ばしにしてでも休むべき。誰も責めません。むしろ、ちゃんと休んだほうが仕事も回ります。
司法書士の「忙しい」は誰にも伝わらない
この仕事の大変さって、なかなか外からは見えないんですよね。依頼人からすれば「お願いしたことが終わったかどうか」だけが重要。でも、その裏で僕たちがどれだけ手間をかけているか、伝わらないことがほとんどです。
依頼人には見えない地味な努力
たとえば、一つの登記を出すために何件も役所に問い合わせ、法務局に確認し、関係者の調整をして…。見えない努力の積み重ねが成果につながっているのに、その部分は「当たり前」だと思われてしまう。ちょっと寂しいですよね。
同業者なら分かる、終わらない日常
でも、同じ立場の司法書士には分かってもらえる。この終わりのない書類地獄のつらさ。共感できる仲間がいることが、せめてもの救いです。たまには、そんな仲間とゆっくり話す時間も、大切にしたいものです。
最後に：それでも明日はやってくる
今日はもうクタクタでも、明日はまた朝が来て、書類が待っている。でもそれでも、少しずつ前には進んでいるはず。書類の山にため息をつきながら、それでも毎日をこなしている自分を、時にはちゃんと褒めてやろうと思います。
書類の山は減らなくても、気持ちは整理できる
物理的に片づけられなくても、心の中だけでも整理できると、それだけで少し楽になる。今日もまた山積みだけど、せめて自分の気持ちだけは、ぐちゃぐちゃにならないようにしていたい。そう思いながら、明日もまたこの机に向かいます。
