朝から準備万端…のはずだった
あの日は朝から「今日はスムーズにいくはずだ」と信じて疑わなかった。書類の確認も済ませ、必要な印紙も前日夜にコンビニで買っておいた。時間もきっちり見積もり、有休を取ったのも久しぶり。天気も良く、どこにも不安材料はなかった。むしろ「今日はひと仕事終えたら帰りにコーヒーでも飲んで帰るか」くらいの余裕があったのだ。まさか、あんな形で出鼻をくじかれるとは…。
限られた時間をやりくりして
自営業だからって、自由に時間を使えるわけじゃない。相談者との面談、登記申請の締切、役所との調整…。やるべきことは山ほどある。だからこそ、こうやって法務局に自分の足で向かう日は、他の予定をすべて後ろにずらして臨んでいる。スタッフに任せられることは任せる。でも、登記の本申請となればやはり自分でやるしかない場面も多い。
事務員に任せられない手続きはやっぱり自分で
うちの事務員さんはよくやってくれている。でも、法務局に行って申請するのはまだちょっと難しい。正確性が問われる場面では、最後の詰めは自分でやらざるを得ない。だからこそ、今日の申請は「絶対に片づける」と心に決めていたのだ。
車を走らせて法務局へ
朝の渋滞を避けるために少し早めに出発。窓を開けて走らせると、少し涼しい風が入ってきて気分も上がる。助手席にはクリアファイルに入れた申請書類。何度も確認したし、忘れ物もない。準備は完璧だった。
片道30分、地味に遠い
地方の司法書士あるあるかもしれないが、法務局がある市まで車で30分はかかる。高速に乗るほどでもなく、下道でちまちま走る感じ。これが意外と疲れる。運転中は「もし今日中に終わらなかったら…」と最悪のケースも頭をよぎるが、「いやいや、ちゃんと予定確認してるし」と自分に言い聞かせる。
駐車場が空いているとちょっと嬉しい
いつも混んでいるイメージがある法務局の駐車場が、今日は珍しくスカスカだった。ラッキー!と思ったのも束の間。その理由にまったく気づかなかった自分を、数分後に恨むことになる。
そして、あの貼り紙を見た瞬間
自動ドアをくぐって正面にある掲示板。そこにでかでかと貼られた白い紙。「本日、登記情報システムの定期メンテナンスのため、申請受付はできません」…。言葉を失うとはこのことだった。心の中で「嘘だろ?」と叫びながら、3秒くらい立ち尽くしていた。
「本日、システムメンテナンスのため…」
大きく太字で書かれたその文言は、まるで「帰れ」と言われているかのようだった。横には「事前にお知らせしています」とも書いてある。してたか?本当に?という疑念と、確認しなかった自分への怒りがぐちゃぐちゃに混ざる。
膝から崩れ落ちそうな虚無感
せっかくの準備、段取り、有休、全部が無駄になった感覚。誰も悪くない。でも、とにかく悔しかった。虚無感というのは、こういうときに使う言葉なのかもしれない。
怒りでもなく、ただ脱力するしかない
誰かに怒る気も起きなかった。システムメンテナンスは必要だし、それはわかってる。でも、事前にチェックしなかった自分が一番悪い。でも、それにしても…と思ってしまう。
誰も悪くない。けどやるせない
怒りの矛先がないからこそ、しんどい。せめて「〇〇が悪い!」と叫べたら楽になるのに。自分のミスであり、でも完全に自分のせいとも言い切れない、そんな中途半端な状況が一番疲れる。
“事前確認”の文字が胸に刺さる
掲示の下の方に小さく「公式サイトで確認を」と書いてある。うん、まあ、そうなんだよね…。でも、誰がいつもあのサイト見てるんだよ…って心の中で毒づいた。
なぜチェックしなかったのか
言い訳するならいくらでもできる。でも本音を言えば「忙しすぎて忘れてた」が真実。業務と家のこと、その他諸々に追われ、確認するというシンプルな行動すら飛んでしまっていた。
メール通知?あるのか?
あとで調べたら、法務局によってはメンテナンス情報をメールで流しているところもあるらしい。でも正直、そんなの知らなかったし、登録もしてなかった。今さらだが、登録しておけばよかったと後悔。
Webサイトの罠:どこに書いてあるのか分かりづらい
役所系のサイトって、なぜこうも情報が見づらいのか。一応書いてあるんだけど、たどり着くまでに3クリックくらい必要。スマホで見る気にもならない構造。もっと直感的にわかる場所に表示してくれたらな…。
このミスの代償は意外と大きい
申請が1日延びるだけ?いや、そんな単純な話じゃない。連動して他の予定もズレていくし、信頼にもかかわる。特に相手が不動産業者や急ぎの案件だった場合、その影響は想像以上に大きい。
有休を潰したことの重み
自営業とはいえ「今日は登記一本に集中しよう」と決めて確保した貴重な日。それが無駄になったダメージは計り知れない。もう一度調整し直す労力を思うと、ため息しか出ない。
予定が全部ずれるドミノ倒し
1つ予定がズレると、その後ろにある予定もガタガタと倒れていく。結局、他の相談や資料作成にも影響が出る。そして、自分の仕事時間はまた夜に食い込む。
結局、誰にでも起こり得る
これは自分だけじゃない。誰にでも起こり得るミスだと思う。特に、毎日がぎっしり詰まっている司法書士にとっては。「自分だけは大丈夫」と思わずに、定期的なチェック体制を整えるしかない。
システム依存の時代のリスク
システムが止まると、もう何もできない。紙だけ準備しても意味がない。今や「人」よりも「システム」が中心にある実務。何とも皮肉だが、それが現実。
「人」が動いても「機械」が止まっていれば意味がない
どんなに完璧に動いても、機械がストップしていれば意味がない。逆に、システムが動いていれば人間がミスしてもリカバリーできる。時代は変わったなと痛感した。
備えは“心の余裕”にもつながる
今回の失敗で痛感したのは、段取りの「余白」の重要性。詰め込みすぎた予定には、ミスが一つ起きただけで崩壊する脆さがある。少しでも余裕を持てるよう、仕事の詰め方を見直そうと思った。
予備日を作ることの大切さ
「余裕を持ってスケジュールを組む」なんて当たり前のことなのに、それが難しいのが現場のリアル。でも、だからこそ、万が一に備えて1日空白を作ることは本当に大事だ。
でも現実はギリギリで動いている
とはいえ、目の前の業務が詰まっていると、「予備日」なんて贅沢な発想に感じてしまう。わかってはいるけど、できない。それが今の正直な気持ちだ。
若い司法書士さんに伝えたいこと
同じ失敗を繰り返さないために、若い人にこそ伝えたい。スキルも大事だが、段取り力と情報収集の習慣こそが、実は業務を支える土台になっている。
小さな「ズレ」が大きなロスになる
今回のようなちょっとした確認不足が、全体に与える影響は大きい。「まぁ大丈夫だろう」が一番危ない。常に「念のため」の視点を持っておくべきだと、身をもって学んだ。
「段取り力」こそが武器になる
段取りがすべてを左右する。経験年数や知識よりも、「どれだけ段取りよく動けるか」が実務では武器になる。これは本当に痛感している。
最後に:今日は早めに風呂に入って寝る
何もできなかった日。そんな日はもう潔く、早く風呂に入って寝るしかない。ムダにあがいても、疲れるだけ。そう自分に言い聞かせて、今日はもう仕事のことは考えない。
そんな日もあると、割り切れたらいいのに
でも本音を言えば、やっぱりモヤモヤは残る。「一日無駄にしたな」という思いが、頭の片隅に残り続ける。これが自営業のつらさでもある。
けど、愚痴くらいは言わせてほしい
誰にもぶつけられないこの感情。せめてこうして、愚痴として言葉にすることで、自分を保っている。もし同じ経験をした人がいたら、「わかる」と笑ってくれたら、それだけで救われる。