インボイス制度、始まってみれば案の定の混乱
正直な話、「また制度かよ…」というのが本音です。やっと電子申請やらマイナカードの対応やらに慣れてきたところに、このインボイス制度ですよ。しかも、しれっと始まって、しれっと請求書を変えろだの登録番号を書けだの。うちは地方の小さな司法書士事務所。そんなに余力ないんですよ。制度を作る人たち、現場で何が起きてるか、本当に知ってるんでしょうかね。
「また制度かよ…」という疲弊感
ここ数年、マイナンバー対応、改正民法、法務局の仕様変更…。もう立て続けすぎて何が何やら。気づけば“業務のアップデート”が本業の登記より重たく感じる始末。40代後半に差し掛かった今、正直“制度疲れ”という名の倦怠感と向き合っている日々です。なんでこう、士業っていつも“先に動け”みたいな空気になるんでしょうかね。
小規模事務所には“手間”がダイレクトにのしかかる
うちは私と事務員さんの2人でやっているような規模なので、ひとつ制度が増えると、そのまま“自分の仕事”になるわけです。大手なら誰かに振れます。でもうちは、登録も、請求書の様式変更も、全部自分。インボイス制度、誰が見ても「大規模寄りのルール」って印象を受けますよ。もうちょっと、スモールビジネスの事情も組んでくれたらなあ。
最初に直面したのは「登録した?してない?」問題
制度が始まった直後、一番面倒だったのは取引先からの“圧”でした。「登録されてますよね?」って、こっちが説明する前提で連絡くるんです。なんかもう、“登録して当然”ってムードがすごくて。いや、士業なんですけど?って言いたくなることも多々ありました。
取引先からのプレッシャーにうんざり
電話やメールで「インボイス登録番号、いただけますか?」とくるたびに、どこか釈然としない気持ちになります。「発行しないと取引できないんで」とか言われると、まるでこっちがブラック業者みたいな扱い。立場的に断りづらいですし、ただでさえ忙しいのに“確認対応業務”が無駄に増えました。
こっちは士業だってのに、まるで業者扱い
司法書士って、ちゃんと登録して、ちゃんと職責を果たしてる仕事なんです。それでも「制度に従わないと信用に関わる」と言われると、士業の信頼ってそんなに軽いものだったのかとがっかりします。相手からすると「制度に対応してないイコール時代遅れ」と見られる。なんだか、悔しいですね。
経理事務の混乱、うちの事務員もお手上げ
インボイス導入に伴って、請求書の書き方も変えなきゃいけない。最初は私がやってましたが、途中で事務員さんにお願いしたところ「どこをどう直せばいいのか分かりません」とギブアップ。経理ソフトとの連携も不安定だし、確認するにもFAQは読みにくいしで、現場はぐちゃぐちゃでした。
請求書、領収書、どこまで直せばいいのか
日付と名前と金額だけじゃダメ、登録番号も必要、消費税率ごとに区分…。最初はネットでテンプレートを拾ってきましたが、それも微妙に要件を満たしてない。これまでの「見やすさ」と「正確さ」のバランスが崩れました。フォーマット修正するのに1週間かかるって、普通におかしいでしょ。
手書き文化との衝突
地方ではまだ手書き領収書を希望されるお客様も多いんです。「税務署に出すから」と言われたら断れない。でも、手書きで適格請求書の要件を満たすのは至難の業。スペースも足りないし、書き損じも許されない。ひとつ書くのに手が震えることもありますよ。
ひな形を何回変えたことか…
エクセルで作っては修正、またチェックを受けて修正。その繰り返しで、ついにバージョン15までいきました。「もうこれ以上は変えたくない」と思った頃にまた国税庁からFAQが更新されて…。永遠に終わらない作業感、これは本当にメンタルにきます。
「適格請求書発行事業者」に登録したくなかった本音
本当は登録したくなかったんです。うちは免税ではありませんが、「発行事業者にならない選択肢」も理論上はあった。だけど、実際には取引先や顧客からの目線があるから、選択の余地なんてないに等しい。「事実上の強制」ってやつですね。
免税事業者の気持ちが、少しだけわかった気がする
制度開始当初、「免税なのにごねる人がいる」みたいな報道もありましたが、実際にやってみて「そりゃそうなるわ」と思いました。選択の自由がありそうでない。やらなきゃ取引できない。そんな中で声を上げる人の気持ち、今は痛いほどわかります。
なんでも“義務”になるのは本当にキツい
法令遵守は当然です。でも、あまりにも多すぎる。しかも毎年のようにアップデートされる。ついていくのが精一杯で、なんだか「業務の本質」から遠ざかってる気がします。市民のために働く司法書士という立場で、“事務”に追われる現実。なんだか、むなしくなります。
今後も続くインボイス疲れ…どこで折り合いをつける?
この制度、たぶんこれからも改定や追加ルールが出てくるんでしょう。そうなると、また対応に追われる。自分の業務の質や、働く人の負担のことをもっと重視してもらいたい。制度って、現場の声を無視して突っ走ると、どこかでしわ寄せがくるんです。
士業全体の在り方まで揺さぶられている気がする
士業って本来は“安心”を提供する存在のはず。でも、制度に振り回され、業務効率に追われる姿は、安心とは真逆。インボイス制度をきっかけに、もっと“誰のために何をしているのか”を見直す必要があるのかもしれません。
せめて現場の声を聞いてくれ、と言いたい
司法書士だって人間です。全部が完璧にできるわけじゃない。せめて、制度を作る人たちには「一度でも現場で実際にやってみてほしい」。そのひと手間があれば、もう少し違った形になったんじゃないか。そんなふうに思いながら、今日も登録番号付きの請求書を打ち出しています。