久々の出張、久々のスーツ。気合いを入れた朝に起きた悲劇
地方の司法書士として、日々の業務は事務所内で完結することが多く、出張などは滅多にありません。そんな中、数年ぶりに県外の金融機関との面談が入り、久しぶりにスーツを着て出かけることになりました。普段は作業着のようなジャケットとチノパンばかり。今日はビシッと決めて、クライアントとの信頼を勝ち取ろう…そんな気合いで朝を迎えたのですが、まさかあんな結末になるとは夢にも思っていませんでした。
よし、今日は出張だと気持ちを切り替えたつもりだった
朝5時起きで書類を最終確認し、6時過ぎには最寄り駅へ。スーツにネクタイという格好は、いつ以来だったか思い出せないほど。鏡を見て、「まぁ悪くないな」と思いながら、心のどこかで“やっぱり仕事は身だしなみからだよな”と自分に言い聞かせていました。実際、いつものパーカー姿では入れないような場に行くので、緊張と気合いで体が硬くなっていたのを覚えています。
タンスの奥から取り出したスーツにまさかの落とし穴
前日、準備をしているときに気づくべきでした。タンスの奥にしまわれていたそのスーツ、数年前に買ったままクリーニングすらせず放置していたものです。ズボンのウエスト部分も、ボタンがギリギリ止まる感じだったのに、「まぁ大丈夫だろう」と思ってしまった自分の甘さ。それがこの日、人生で最も静かで切ない破損音を招くことになるとは——。
ズボンが…破れた。駅のホームで気づいた絶望
通勤ラッシュ前の静かなホーム。ベンチに腰をかけたその瞬間、尻のあたりで「ピリッ」という音が聞こえました。最初は何の音か分からず、カバンのファスナーかと思っていました。でも立ち上がって数歩歩いた時、背中に冷気が走ったんです。「まさか」と手を後ろにやると、そこには無惨にも裂けたズボンの生地が…。
音もなく、静かに、そして確実に裂けていた
映画ならコメディシーンに使えそうな展開。でも現実は笑えません。会議開始まであと1時間。目的地までは電車で40分。戻るには時間がない。途方に暮れながらも、私は一旦駅のトイレに駆け込みました。鏡を見ながら「この裂け方は…いけるか?」と自問自答。いや、いけない。明らかにパンツが見えてる。
その時、私がとっさに取った行動
スマホで「スーツ 補修 応急処置」などと検索してみたものの、現実的な解決策は出てきません。コンビニで安全ピンを買い、どうにか止めようと思ったのですが、それすら見つからず。結局、近くの衣料品店に駆け込んで、スラックスを1本買いました。サイズが合うか不安でしたが、背に腹は代えられず試着なしで購入。奇跡的にぴったりでした。
駅のベンチでスーツのズボンと向き合う45歳
人生の転機ではないですが、あの朝の駅のベンチで「俺、何やってんだろう」と呟いた瞬間は今も記憶に残っています。自分を律してきたはずなのに、どこかで手を抜いていた。それが一気に噴き出したような出来事でした。何より、破れたズボンを手に持ちながら歩く羞恥心は、なかなかのものでした。
事務員さんに電話しようか真剣に悩んだ話
ふと「事務員さんに電話して、別のズボン持ってきてもらうか…」と考えました。でも彼女は朝から来客対応で予定が詰まっている。結局、そんな頼みもできず、自分で解決するしかないという現実に打ちひしがれることに。日頃から一人で抱え込む癖が、こういう場面でも出てしまったのです。
なぜこうなったのか?——日々の忙しさの中で置き去りにされた“自分”
スーツが破れたのは単なるハプニングではなく、私にとっては象徴的な出来事でした。日々の業務に追われ、自分の体型の変化にも、身の回りの備品の状態にも無頓着になっていた。忙しいという言い訳で、すべてを後回しにしていたツケが回ってきたのです。
スーツも自分も、メンテナンスが必要だった
普段使わない物ほど、意識してチェックすべきなんですよね。スーツもそう、自分自身の心身もそう。車だって点検なしじゃ動かなくなるんです。私自身も、まるで車検切れの車のようになっていたのかもしれません。今回のズボン事件は、自分メンテナンスの必要性を改めて感じる機会になりました。
「今さら買い替えるのもなぁ」と思っていたズボンの末路
思い返せば、何度か「このスーツそろそろ危ないかな」と思ったことがありました。でも「出番も少ないし、まだいけるだろ」と見て見ぬふりをしていたんです。これって仕事でもあるあるで、面倒な案件を後回しにして、大きなトラブルになるパターンと同じ。自業自得とはいえ、痛い教訓でした。
身体も心もパンパン。気づけば体型も変わっていた
おそらくスーツが破れた最大の原因は、私のウエストサイズが変わっていたからです。数年前と比べて、明らかに腹まわりがきつくなっていました。ストレスや不規則な生活で少しずつ太り、気づいたときには“破れる寸前”の状態に。無理にボタンを留めたあの日、私はすでに敗北していたのです。
司法書士という仕事と“ボロ”の関係
司法書士の仕事は、正確さや信頼が求められます。でもその分、自分の内側や生活面が崩れていても、表向きでは気づかれにくい。だからこそ「見えないボロ」がどんどん溜まっていきます。そしてある日、ふとした瞬間にそれが“破れ”という形で表に出てしまうんですよね。
仕事は律儀にやる。でも、自分のことは後回し
お客様の登記には細心の注意を払うのに、自分の服や体調には無頓着。こんなアンバランス、きっと同業者にも多いと思います。日々の書類には漏れがないのに、自分の生活はどこかで綻んでいる。今回の一件で、それを強く自覚しました。
「ちゃんとした格好」も意外とハードルが高い
スーツって、着るだけで何かシャキッとした気持ちになります。でも“着る準備”が整っていなければ、それはただのコスプレです。久々のスーツ姿は、自分にとっては“過去の自分”とのギャップを見せつけられるものでもありました。だからこそ、ちゃんと整えてから着たい。そう思いました。
まとめ:破れたズボンが教えてくれた、小さな自分メンテの大切さ
ズボンが破れたのは恥ずかしい出来事でしたが、それと同時に「ちゃんと自分を見直せよ」というサインだったのかもしれません。司法書士という仕事を続けていくには、何より自分のコンディションを整えることが大切。気づけばズボンのように、ある日“裂けて”しまわないように。
スーツを買い替えよう。自分を見つめ直すきっかけに
この記事を読んでいるあなたも、久々のスーツを着る予定があれば、まずは試着してみてください。そして、ボタンがきつかったら潔く新調しましょう。それが、未来の自分を守る一歩になります。
司法書士の皆さん、ズボン破れてませんか?
忙しい毎日の中で、つい後回しにしてしまう自分のケア。でも、それを怠ると、いつかどこかで“破れ”が来る。私のように駅のホームで立ち尽くす前に、どうか一度、自分自身を振り返ってみてください。