午前中で終わるはずが…気づけば夜。あの日、時計を見るのをやめた

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午前中で終わるはずが…気づけば夜。あの日、時計を見るのをやめた

午前中に終わる予定だった案件が、なぜか夜になっても終わらない

「今日は午前中で片付くな」と思ったあの日、まさか夜9時まで事務所にいることになるとは思いませんでした。そんな日が、気づけば月に何度もある。司法書士の仕事は段取りがすべてのようで、段取り通りにいかないのが常。しかも、それを「仕方ない」と笑えるほどの心の余裕も、体力も、どんどん削られていくのです。

「ちょっとだけやっておこう」が落とし穴

「次の仕事まで10分あるから、これだけ先に…」と手を出した登記書類。ほんの確認のつもりが、1ページ目で気になる記載を見つけ、そこから依頼人に確認の電話、法務局の照会、過去資料の再確認と、あれよあれよと1時間が消えていきました。結果、もともと集中すべきだったタスクは午後にずれこみ、終業時間はさらに遠のいていきます。

電話一本が1時間の作業に化ける罠

司法書士の仕事では「確認のための一本の電話」が仕事の流れを大きく変えます。たとえば、住所変更の登記。電話で確認したところ、依頼人が「そういえば引っ越しの時に住民票を取りに行ったような気が…」と曖昧な返答。それを裏取りするために役所に連絡、戻ってきた情報がさらに混乱を呼ぶ。午前中の予定が、もう崩れてます。

依頼人の一言で、書類チェックが振り出しに

書類に押印してもらう直前、依頼人がふと「実は、母が去年亡くなりまして…」と口にしたことがあります。それが相続関係に影響を与える内容だったため、全書類がやり直しに。午前中に提出予定だった登記申請は、その時点で白紙になり、事務員と二人でゼロからの再構成。こんなことが珍しくないのが、司法書士の現実です。

「効率よく」は幻想?

効率よく終わらせるために、朝早く来て準備万端にしていたはずなのに、昼過ぎにはすっかり予定が崩れています。そもそも、効率よくという考え方が、仕事量とリスクとヒューマンエラーに囲まれた現場には不向きなのではないかと、最近本気で思い始めています。

朝イチのやる気はどこへ

出勤してすぐはやる気も元気もある。だけど、それが持続しない。電話、来客、予定外の依頼が立て続けに発生すると、10時の時点で「もう午後のテンション」になってしまう。朝のフレッシュさをキープできればいいけれど、正直なところ、昼まで持ったらマシなほうです。

時間が押し始めた瞬間から崩れるスケジュール

一つ予定が5分ずれると、連鎖的に次の案件、事務処理、確認作業がすべて後ろ倒しになります。結果的に、「今日は5件処理できる」と思っていたのに、実際終わったのは2件だけ。しかもそのうち1件は修正が入り、明日に持ち越し。まさにドミノ倒しのように、スケジュールが崩壊していくのです。

予定通り進まない日々が積もっていく

一日だけならまだしも、それが何日も続くと、精神的にも身体的にも消耗していきます。「こんなはずじゃなかった」という感情が蓄積されていくと、ミスのリスクも高まり、結局自分の首を絞める結果になります。

「今日こそ早く帰ろう」が言い続けて半年

毎朝「今日は18時には帰ろう」と決意します。でも、ふたを開けてみれば帰るのは21時。「今日は仕方ない」は甘えだと思っていたけれど、もう甘えすら言い訳にならなくなってきました。半年以上、定時退社というものをしていない自分に気づいた時、なにかがポキッと折れました。

事務員に申し訳ないと思いつつも巻き込んでしまう

うちの事務員は本当に頑張ってくれています。でも、私が遅くまで仕事をしていると、どうしても付き合わせることになる。申し訳ないと思いながらも、「この案件だけ…」とつい残ってもらう。結局、二人とも疲弊するという悪循環です。感謝と罪悪感がいつも背中合わせです。

誰にも怒られない仕事だからこそ歯止めが利かない

会社員だったら上司に「今日は帰れ」と言われるかもしれません。でも個人事務所の司法書士は、止める人がいません。だからどこまでもやってしまう。誰にも怒られないって、自由ではあるけど、危うさもあるんです。

依頼人の都合と感情に振り回される

司法書士の仕事は「人ありき」です。人が絡む以上、予定は未定。特に相続や不動産など感情が絡む案件は、相手の都合だけでなく、感情的な波も計算に入れなければいけません。

午前中に来るはずの方が、午後にひょっこり現れる

「10時に伺います」と言っていた依頼人が現れない。電話をしてもつながらない。仕方なく次の作業に取り掛かると、13時過ぎに「今近くなので行ってもいいですか?」という連絡。対応しないわけにもいかず、全体の予定は再びずれ込む…。これが一日数件重なると、もう予定なんてあってないようなものです。

感情の受け皿になっているだけで一日が終わる

「誰にも相談できなくて…」と始まる電話や来客。司法書士の業務は書類仕事が中心と思われがちですが、実際は「人の不安」を聞いて寄り添う時間が大半を占めます。その時間に価値があるのはわかっているけど、正直、物理的な作業時間はどんどん奪われていきます。

どうにかするには、どうしたらいいのか

こんな日々をなんとかしたい。そう思って手帳を見直したり、業務効率化の本を読んだりしました。でも、劇的な解決にはなりませんでした。なにかを変えるには、自分の考え方を根本から変えるしかないのかもしれません。

スケジュールの「ゆとり」は取っても埋まる

バッファを意識してスケジュールをゆるめに組むようにしました。しかし、ゆとりがあると人は油断します。「まだ時間あるし」と思っていたら、気づけば予定ギリギリ。余裕は「安心感」にはなるけれど、「時間的成功」には繋がりませんでした。

想定外の処理が多すぎる

一件一件が、まったく違う顔を持っていて、マニュアルが通用しない。マニュアル通りにいく仕事なら、時間も読める。でも司法書士の仕事は、9割が「想定外」の対応。だから「午前中で終わる」と思うのがそもそも間違いだったのかもしれません。

タスク管理ではなく“気力”の管理が必要なのでは?

タスクは山のようにあります。でも、それを処理するには「気力」が必要。気力が枯渇すると、集中力も判断力も失われます。最近は、スケジュールよりも自分のメンタルや体力をどれだけ維持するかを意識するようになりました。

「今日は諦める」と決める勇気

やり切るのも大事。でも、「今日はここまで」と割り切る勇気も同じくらい大事。そうしないと、次の日もボロボロになって、結局仕事の質が下がる。自己満足ではなく、長く続けるために必要な判断力。それをようやく意識できるようになってきた気がします。

夜に仕事を終えないと、不安になる自分がいる

「今日やっておかないと不安だ」「今片付けないと忘れそう」…その思いが、私を夜まで事務所に縛りつける。けれど、よく考えると、それって「自分を信用していない」ってことかもしれません。明日の自分に任せてみてもいいのかもしれない。そんなふうに、少しずつ思えるようになってきました。

明日を信じられるかどうかのメンタル勝負

「今日全部やる」より「明日を信じて帰る」。この切り替えができるようになってから、少しだけ日々が楽になりました。未だに夜遅くなる日もある。でも、「時計を見ない夜」は少し減った気がします。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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