同時多発トラブル地獄!“なぜか全部一気に来る日”の謎と対処法

同時多発トラブル地獄!“なぜか全部一気に来る日”の謎と対処法

「なんで今日に限って全部!?」という日がある

不思議なもので、何も起こらない日が続いたかと思えば、突然、すべての案件が同時に動き出す日がやってくる。しかも、なぜかそういう日は朝から妙にソワソワして落ち着かない。電話が鳴り、メールが来て、役所からの郵便もドサッと届く。あれもこれも“今すぐ対応”のオンパレードで、気づいたら時計の針が午後3時を指している。トイレにも行けず、昼ごはんもお預け。司法書士として15年やってきたが、いまだに慣れない。

予兆はない。気づいたら全部燃えてる

地震の前兆のようなものがあればいいが、そんなものは存在しない。昨日まで普通だった案件が、突然「急ぎます」「今週中に」「至急確認してください」モードに切り替わる。依頼主同士が打ち合わせしてるんじゃないかと思うくらい、同じタイミングで連絡が来る。ある日、5件同時に相続登記の問い合わせが殺到し、さらに1件、遺産分割協議が破談。パズルのピースが全部ひっくり返されたような感覚になった。

同時多発の依頼トラブルが起きるパターン

同時多発的なトラブルは、何かしらの“外的要因”が重なることで起きることが多い。もちろん偶然もある。でも、毎年同じ季節に起きるパターンもあるのだから不思議だ。

役所系の期限が偶然重なる

たとえば、固定資産税の納付や登記簿の変更期限、補助金申請の締切などが同時期に来ると、依頼者も一斉に動き出す。役所の書類は一通でも遅れるとアウトなので、こちらも神経を尖らせる。以前、法定相続情報一覧図の作成依頼が2件重なり、提出先の法務局が別。片方は郵送、もう片方は持参。その間に別の依頼者から「遺言書が見つかりました」と連絡が入り、対応が3倍に膨れ上がった。

依頼主の「待てないモード」が同期する

不思議なことに、依頼主の“急ぎたいスイッチ”が同時に入ることがある。あるお盆前、4人の依頼主全員が「連休前に仕上げてほしい」と言ってきた。こちらとしては「みんなそれぞれ“急ぎ”と言うけど、同じ人がやってるんだよ」と言いたくなるが、当然そんなことは言えない。結果、3日間ほとんど寝ずに作業し、最後の日は顔色を心配した事務員に「点滴行きましょうか」と言われた。

事務所内の人的リソースに限界がある

そもそも、うちは自分と事務員1人の小さな事務所。業務量が一定を超えると、どうしても手が足りなくなる。誰かに頼めるわけでもないし、マニュアル化された仕事でもない。依頼内容はすべて個別対応。手間がかかるのは当然で、簡単に“回せる”ような作業ではないのだ。

事務員は1人。分身はできない

事務員の彼女は本当によくやってくれている。だが、彼女は司法書士ではないし、できる業務には限りがある。おまけに電話も取らなきゃいけないし、来客もある。私が外出している間は実質ワンオペ状態になる。ときには「あと3人くらいクローンが欲しい」と本気で思う。

自分の頭も手も足りない

一番問題なのは、自分自身の処理能力だ。書類作成、確認、スケジューリング、そして相談対応。すべて自分で判断しないといけない。だからこそ、トラブルが重なると脳のCPUがフリーズする。以前、ある案件で誤って別の依頼者のファイルを開いてしまい、完全に手が止まった。幸い、提出前に気づいたが、あの時は背筋が凍った。

結局、自分が夜中にやるしかなくなる

そうなると、作業時間を“延長”するしかない。夕方の段階で終わらなかった分は夜に。家族が寝た後、22時から書類を開くのがルーチンになっている週もある。24時を過ぎると、誤字脱字のリスクが跳ね上がる。それでも明日までに仕上げなければならない。こうして、翌朝また5件のメールに追われるループに入る。

小さな見落としが命取りになる

疲れていると、ほんの小さなことを見落とす。それが“登記日付の誤り”のような致命傷になることも。とある日、書類の郵送先を間違えて、2日遅れで戻ってきたことがあった。その依頼主は温厚な方だったが、「信頼してたのに…」という言葉が胸に刺さった。あれ以来、二重チェックを紙と声出しでやっている。

精神的に追い詰められる瞬間

この仕事のつらさは、忙しさだけじゃない。すべての判断が自分に委ねられていること。それがプレッシャーになって、どんどん心を削っていく。依頼者に感謝されることもあるが、基本は「ミスしないのが当たり前」の世界だ。

「なんで自分だけこんなに…」と思ってしまう

うまくいってるように見える他の事務所を見ると、「なんで自分のところだけ、こんなにうまく回らないんだろう」と思ってしまうことがある。自分の能力が足りないのか、やり方が悪いのか。そんなふうに自己否定のスパイラルに陥る夜もある。

相談相手がいない孤独

これが一番つらい。愚痴を言える同業者も近くにおらず、事務員にも本音を話しすぎると心配をかける。結局、黙って机に向かう。だから、この記事を読んで「わかる」と思ってもらえたら、それだけで少し救われる。

対処法:火種の段階での発見がカギ

一気に燃える前に、どこかで小さな火種を見つけて潰しておければ、多少はマシになる。だからこそ、普段から“予防線”を張る工夫が欠かせない。

「炎上予備軍リスト」の活用

私はGoogleカレンダーの他に、紙の「今週注意案件」リストを毎週月曜に書いている。これが意外と役に立つ。目に見える形で危険案件を把握するだけでも、気持ちの準備ができる。

Googleカレンダーより、紙の一覧が効く

デジタル管理も便利だが、一覧性では紙に軍配が上がる。付箋を貼ったり、優先度に色をつけたりできる。パッと見て「あ、この案件そろそろか」と思えるだけで、気持ちに余裕ができる。

事務員と朝に5分の情報共有タイムを設ける

最近始めた習慣だが、朝イチで5分だけ、その日の優先順位を確認するミーティングをしている。これだけで1日の混乱がだいぶ減った。事務員も心の準備ができるし、互いのストレスも減る。

それでも「全部来る日」は来る

どれだけ備えていても、完全に防ぐことはできない。それが現実。でも、「またか…」と思うのと、「こういう日もあるよね」と思うのでは、疲れ方が違う。

無理な日は、無理と割り切る勇気

「今日はもう無理」と判断して、1件は明日に回す。そんな“優先順位の変更”を自分に許せるようになったのは、ここ数年のこと。昔は「全部やらなきゃ」と思って潰れていたが、今は違う。倒れたら全部止まるという現実を知ったから。

関係先に事情を正直に話すだけでだいぶ違う

忙しいときこそ、隠さず「今こういう状況です」と話すことが大事だと気づいた。相手も人間なので、誠意をもって伝えれば待ってくれることも多い。逆に、無理して対応してミスをした方が信用を失う。だから今は、無理なときほど素直に伝えるようにしている。

結論:地獄は定期的にやってくる

司法書士という仕事を続けている限り、同時多発的なトラブルは定期的にやってくる。それを“ゼロ”にすることはできない。でも、ちょっとした工夫と、愚痴を言える場があれば、少しは楽になる。それだけでいい。完璧じゃなくていい。今日もまた、誰かの「大変ですね」の一言に救われている。

諦めと備え、どちらも必要

トラブルを完全に防ぐのは無理。だからこそ、起きた時の“心構え”と、起きる前の“準備”が大切になる。両方のバランスをとることで、少しだけ仕事がうまく回るようになる。完璧じゃなくていい、やり過ごせればそれでいい。

同業者同士で「あるある」を共有しよう

一人で抱え込まずに、同業者の知り合いがいれば積極的に話してみてほしい。愚痴をこぼせる場所があるだけで、次の日の元気が違う。私もこうして記事を書くことで、少し心が軽くなっている。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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