契約立会中、依頼人が30分爆睡――その間に何が起きたのか?

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契約立会中、依頼人が30分爆睡――その間に何が起きたのか?

まさかの居眠り――契約立会の現場で起きた珍事件

司法書士という仕事をしていると、いろいろな場面に出くわすものですが、まさか契約立会の場で依頼人が30分も爆睡するとは思いませんでした。私のように地方で一人事務所をやっていると、1件1件が貴重で、時間の使い方にも気を遣います。そんな中で、緊張感のない依頼人とのやりとりは、正直なところ精神的にもキツい。今回はそんな「事件」の記録と、そのとき私が何を考え、どう対応したのかをまとめてみたいと思います。

静まり返る応接室と、遠のく依頼人の意識

その日は暑い日でした。午後一番、少しエアコンが効きすぎていた応接室で、私は依頼人夫婦を迎えました。ご主人のほうは書類の説明中からすでにまぶたが重そうで、署名前に「ちょっと休ませて」と言ったかと思うと、ソファでぐっすり。最初は少し待てば起きるだろうと楽観していたのですが、5分、10分、15分…完全に夢の中。横で奥さんが気まずそうに笑っているのが、さらに空気をピリつかせていました。

こっちは必死なのに…正直、ちょっと虚しくなった

私たち司法書士は、毎回の契約立会に全力で臨んでいます。書類の準備、内容確認、意思確認、そして本人確認――全部が重要で、どれも怠れません。でも、その緊張感が相手にまったく伝わっていないと感じた瞬間、正直「自分は何をやってるんだろう」と思ってしまいました。

「眠ってしまうくらいなら、来ないでほしい」という本音

疲れていたのかもしれません。仕事帰りで眠気がピークだったのかもしれません。でも、契約って人生の一大事じゃないんでしょうか?30分爆睡されたあの時間、私は契約書を見つめながら「この人、本当に自分の意思で契約する気あるのかな」と、疑念がどんどん膨らんでいきました。

依頼人の緊張感のなさが不安になる瞬間

こちらがどんなに丁寧に説明しても、相手が半分寝ながら「はいはい」と返すような態度だと、登記義務者としての自覚を疑わざるを得ません。責任を背負って書類を作るこちらの立場としては、非常に怖い瞬間です。「この人、後で『そんな契約した覚えがない』とか言い出すんじゃ…?」そんな不安が頭をよぎりました。

なぜ契約立会がこんなに大事なのか

一見、形式的な手続きに見える契約立会ですが、実は私たち司法書士にとって最も重要な「現場」です。ここでのやりとり次第で、後のトラブルを未然に防げるかどうかが決まることもあります。

登記義務者の意思確認の意味

契約書にサインするという行為は、ただの儀式ではありません。自分の財産や権利をどう扱うか、その決断の最終確認です。司法書士はその意思が間違いなく本人のものであることを確かめ、記録に残す役割を担っています。だからこそ、意思が不明瞭な状態での契約は成立しないんです。

「寝てただけで終わった」は通じない世界

後日、万が一トラブルになった場合、「契約時に本人が寝ていた」となれば、それは司法書士の責任問題にもなりかねません。笑い話では済まないんです。立会とは、たとえ無言でも“緊張感”が共有されていないと成立しないものなんです。

でも、怒ることもできないのが司法書士のつらさ

こうした場面で怒鳴るわけにもいかず、文句を言うわけにもいかず、ただ“じっと待つ”。これが司法書士の職業病といっても過言ではありません。依頼人に悪気がないことがわかっていても、どうにもやるせない。

依頼人に合わせる“サービス業”の一面

我々の仕事は、法的な専門職でありながら、実態はかなりのサービス業です。「依頼人ファースト」であるべきという社会的要請に応える中で、内心の葛藤が常につきまといます。正直、依頼人に気を使って疲れる日も多いです。

感情のコントロールが求められる理由

司法書士が感情的になってしまえば、信頼を失うのは一瞬です。だからこそ、どんなに理不尽な状況でも、冷静にその場をやり過ごす力が必要。今回も、イライラする気持ちを抑えて、「寝ている間に何が起きたか」は逐一記録しておきました。

こうしたとき、どう対応すべきだったのか

では、依頼人が契約立会中に寝てしまった場合、どう対応するのが正解なのでしょうか。マニュアルなんてありませんが、私なりに試行錯誤している対処法を共有します。

無理に起こす? 黙って待つ? 判断の分かれ目

基本的には、すぐに起こすことはしません。寝起きで機嫌を損ねられても困りますし、強引に促して意思確認が不明確になったら本末転倒。ただし、時間には限りがあるため、一定時間を過ぎたら声をかけます。

時間で区切って行動を変えるという工夫

私の場合、15分を一区切りとしています。15分以上眠っている場合は、「このままでは今日中に契約が終わらない」とやんわり伝えて、体を動かしてもらいます。起こすのではなく、促すというニュアンスですね。

“記録”と“説明”が後々自分を守る

起きた後には、あらためて最初から契約内容を説明し直します。「さっき説明しましたよね」はNGです。その上で、「この部分についてもご理解いただけましたか?」と一つ一つ確認しながら進め、対応の記録も残しておきます。

事務員との連携が地味に救いになる

こうした場面で、事務員の存在はとても大きいです。場の空気をやわらげるひと言や、ちょっとした雑談のふりをしての声かけなど、私一人ではできない「クッション役」として助けられることが多いです。

外から声をかけてもらう小技

あまりに起きない場合は、事務員に別室から軽く声をかけてもらうことで、場の流れを変えることもあります。私が直接言うよりも、第三者の声のほうがスムーズに対応してもらえるケースが多いです。

仕事の意味を、時々見失いそうになる

今回のような出来事があると、自分の仕事が空回りしているような気分になります。相手のリアクションが薄いと、「自分の存在意義は何だろう」と悩む瞬間があるのも事実です。

形式だけの手続きに見えてしまう瞬間

本当に意味があるのか?これ、ただの確認作業じゃないのか?そう思ってしまう日もあります。でも、私たちがその“形式”を守るからこそ、社会全体の安心が成り立っているんですよね。頭ではわかっていても、心が追いつかない日があるんです。

それでも司法書士を続けている理由

愚痴ばかり書いてきましたが、それでも私はこの仕事が嫌いではありません。というか、やめられない理由があります。それは、やっぱり“誰かの人生に深く関わる仕事”だという実感があるからです。

誰かの人生の節目に立ち会える仕事

契約も相続も会社設立も、すべて人生の大きなターニングポイントです。その節目に、「この人でよかった」と思ってもらえる瞬間が、何よりもうれしいんです。寝てしまう依頼人がいても、それはそれ。そう思えるようになったのは、たぶん年の功でしょうか。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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