寝ても疲れがとれない朝。司法書士という職業の現実
司法書士として仕事をしていると、「寝たはずなのに全然回復していない」という朝が増えてきます。特に独立してからはなおさらです。昔は一晩寝れば回復していたのに、今は目覚ましの音が憎らしくて仕方ない。布団の中で「ああ、今日もか」とため息をつくのが日課になってしまっています。そんな状態が続くと、もう自分がどこに向かっているのかもわからなくなるのです。
なぜ毎朝こんなにだるいのか?
眠っているはずなのに休まっていない感覚
寝てはいる。時間もそこそこ確保している。けれど、朝起きても体が鉛のように重い。これ、ただの寝不足じゃないんですよね。正直、体よりも「気持ち」が回復していない。夜中にふと目が覚めて、昨日の依頼人の顔が頭をよぎったり、登記ミスがないか気になって目が冴えたり。そういうのが積もり積もって、深く眠れていないんだと思います。
司法書士特有のストレスが原因かもしれない
司法書士の仕事って、表面上は「書類作って法務局に出すだけでしょ?」って思われがち。でも実際には、依頼人の人生の節目に関わる重大な場面に立ち会うことが多く、プレッシャーが半端じゃないんです。「間違いは許されない」っていう意識が常に頭のどこかにあるから、寝ていても完全にオフになれないんですよね。
疲労が蓄積していく日常業務
「ただの書類作業」じゃない、頭も心も削られる
不動産登記ひとつとっても、確認しなければならない書類の量は膨大で、しかも全部正確でなければいけない。依頼人から送られてくる資料の不備を一つひとつ確認して、場合によっては補正。さらに電話やメールの対応、役所とのやりとり……。この一つひとつが地味に精神力を奪っていきます。事務仕事に見えるけれど、正確さと責任を背負うという意味では全然「ラクな仕事」じゃないんです。
依頼人とのやりとりが予想外に消耗する理由
「登記をお願いしたい」と言ってやって来る依頼人の中には、こちらの説明を全く聞かない人、勝手に思い込んで話を進める人も少なくありません。そういう人に限って後からトラブルになる。説明責任もあるし、言った言わないの問題にもなる。心の中では「お願いだからもう少しだけ落ち着いてくれ」と何度思ったことか…。でも顔では笑って対応。それがまた、じわじわと疲れを積み上げていくんですよね。
体の疲れと心の疲れの複雑な関係
体は動いている。でも、心がついてこない。そんな日が続くと、いくら栄養ドリンクを飲んでも効果がないんです。司法書士という仕事の中で溜まっていく疲れの正体は、どうやら「心の重み」の方が大きいような気がします。そしてそれが眠りの質を落とし、朝の不快感となって現れてくる。自分の経験上、これは間違いないと思っています。
「休めば回復する」は本当か?
肉体よりも脳と神経が悲鳴をあげている
「少し休んだ方がいいんじゃない?」と妻に言われても、結局仕事のことが頭から離れない。カフェでコーヒーを飲んでいても、脳内は「登記原因証明情報」の文言を反復していたりする。これじゃ休めてるわけがない。体は座っていても、脳はずっと稼働中。これが続けば、そりゃ朝もつらくなりますよ。
睡眠の質を邪魔する“仕事の余韻”
寝る直前にスマホで依頼人からのメールを読んでしまう。これが地味に効く。内容が不安だったり、急ぎの対応が必要な場合、そのまま脳が覚醒してしまって眠れなくなるんです。翌朝、体は寝たことになっていても、全然リセットされていない。私の経験では、夜9時以降の業務連絡は睡眠の敵です。
小規模事務所の孤独と責任
相談相手がいない日常がじわじわと効いてくる
同じ事務所内に同業者がいれば、ちょっとした相談や愚痴も言えるんでしょうけど、うちは事務員さん一人だけ。登記実務のことなんて話しても通じないし、かといって他事務所にいちいち電話して聞くわけにもいかない。結局、自分の中で溜め込んで、抱えて、疲れを吸収して、寝ても持ち越してしまうんです。
事務員に頼めない「経営者としての重圧」
売上のこと、広告のこと、家賃のこと、全部自分ひとりで考えなければならない。事務員さんに「今月厳しいですね」とか言えるわけもなく、笑顔で給料日を迎える。この「誰にも見せられない重圧」が、無意識のうちに心を圧迫しているんでしょうね。
疲れが取れないループから抜け出すには
すぐに劇的に変わるような方法はない。でも、「ああ、自分疲れてるんだな」と認識するだけでも、ちょっと楽になります。私は最近、自分の疲れ具合を言葉にしてみるようにしています。「今日は3割くらいしかエネルギーないな」とか。そうすることで無理をしすぎず、自分を労わる気持ちが生まれてきました。
まず「無理してる」と気づくこと
頑張るのが当たり前…その考えが危ない
「仕事なんだから当たり前」「ミスしないのが当然」。そう思って頑張ってきたけれど、それって結局、自分にとってはプレッシャーでしかなかった。もう少し「疲れてもいい」「間違えることもある」と思えたら、どれだけ楽だったか。自分を追い詰めてるのは、案外自分自身だったりします。
実際にやってみて効果があったこと
業務の分断タイムをつくる工夫
1日の中で「15分だけ何も考えない時間」をつくるようにしました。スマホも見ない。書類にも触れない。ただお茶を飲むだけの時間。それが意外とリセット効果があるんです。たった15分でも、ずっと走り続けるよりマシ。これだけでも翌朝の気分が違いました。
朝のルーティンを変えてみる
以前はギリギリまで寝て、バタバタと事務所に行っていました。でも今は、朝一杯の白湯を飲んでから深呼吸してストレッチ。たったそれだけですが、気持ちが前向きになります。朝のスタートを丁寧にするだけで、1日の疲れの蓄積が少しだけ緩和される気がするんです。
それでも無理なときの“逃げ道”を用意しておく
士業だからこそ「心の休暇」の大切さ
1年に1度、強制的に2日間休むと決めました。電話もメールも見ない。その2日間のために準備して、調整して、やっと実現する。でも、それだけの価値がある。司法書士だって、心の休暇がないと壊れます。
辞めたい気持ちとの付き合い方
「もうやめたい」と思うこと、何度もありました。でも、口に出すとちょっと楽になるんです。「やめてもいいかもな」と思える余裕が、かえって仕事を続ける力になったりする。不思議ですが、本音を隠さないことが、疲れと上手に付き合う一歩だと思います。