手続きが止まる日。依頼人が音信不通になる恐怖

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手続きが止まる日。依頼人が音信不通になる恐怖

連絡がつかない、それだけで業務は止まる

司法書士という職業は、書類を作って提出するだけと思われがちですが、実は「連絡がつくかどうか」が生命線だったりします。特に、登記のような期限が絡む手続きでは、一つの連絡がつかないだけで全てがストップしてしまうのです。音信不通になった依頼人によって、他の業務まで影響が出る…そんな日常の恐怖を今回は綴ってみたいと思います。

「電話がつながらない」の始まりはいつも突然

それまで普通に連絡が取れていた依頼人が、ある日を境に突然沈黙。電話をかけても出ない、LINEも既読にならない。最初のうちは「忙しいのかな」と思ってこちらも様子を見ますが、数日経っても何の音沙汰もないと、さすがに胃がキリキリし始めます。

不穏な予兆:メールの返信が来ない

連絡が取れなくなる前兆として、まずメールの返信が遅くなります。内容確認の返信が2日後、3日後になり、そのうち「既読スルー」状態に。こちらとしては重要な判断を仰いでいるわけですから、返信がないと本当に困ります。

携帯も家電も沈黙…もう勘弁してくれ

最後の手段として家電にも電話してみますが、留守電のまま。郵便を出しても返送されないだけマシ、というレベル。こちらは仕事で動いているのに、相手が動かなければどうにもなりません。

スケジュールが崩れる恐怖と焦り

ただでさえスケジュールがカツカツなのに、ひとつの案件が止まると芋づる式に他の案件にも影響が出てきます。特に、役所関係は期限がシビアで、こちらの都合では延ばせないのが辛いところです。

登録免許税の納付期限が迫るプレッシャー

登録免許税の納付を前提に手続きが進んでいる場合、こちらが支払えないわけにもいかず、かといって勝手に動くこともできません。そんな板挟みでストレスだけが蓄積されます。

他の案件との兼ね合いで発生する負の連鎖

一件の遅れを取り戻そうとすると、他の案件の処理が雑になるか、残業が増えるかのどちらか。結局、全部のクオリティが下がっていくのが現実です。

「依頼人が音信不通」問題のリアルな背景

なぜ依頼人は突然連絡を絶つのか。こちらに非があるのか、それとも…?実際のところ、その理由は多岐に渡りますが、予測不能であるというのが一番の問題です。

よくあるパターン:実は事情が深いケースも

依頼人が病気だった、家族が倒れた、急な転勤で連絡が取れなかったなど、やむを得ない事情で連絡が途絶えるケースもあります。ただ、そういう説明が一切ないまま時間だけが過ぎるので、こちらもどう動いていいか判断に困ります。

家庭の事情、健康問題、金銭的理由

相続手続きでは、家族間で揉めてしまったり、支払い能力がなくなったりすることも。こちらには何も伝えず黙ってしまう依頼人が多く、善意で待っていても空振りすることも少なくありません。

ただの「面倒くさくなった」だけの人もいる

もっと厄介なのが、やる気がなくなった人。「やっぱり今は必要ないかも」と勝手に自己判断して放置する。こちらは準備もして時間も使っているのに…正直やりきれません。

悲しいけど本当にある「逃げ得」なケース

着手金を払ったら満足してしまう人、またはそれすら払わず、見積もりだけ取って音信不通になる人。数年に一度、います。結局、時間と労力だけが無駄になっていきます。

着手金だけ払って満足してしまう依頼人

中には「もう払ったから後はよろしく」と完全に他人事モードの人も。業務進行には確認が必要だということを、何度説明しても伝わらないことがあります。

連絡不能が与えるメンタルへの影響

連絡が取れない状態が続くと、次第にこちらの精神も消耗していきます。疑心暗鬼と自己否定のループに入り、他の仕事にも影を落としていきます。

「自分のせいかも」という無意味な自己反省

何かミスをしたのか?対応が悪かったのか?と自己反省し始めるのですが、結局原因がわからず悶々とするだけ。精神衛生上、よくありません。

事務員にも迷惑が波及…チームとしての限界

小さな事務所では、ひとつの案件の遅れが全体に影響します。事務員さんも無駄な作業が増えたり、不安が募ったり。結果的に士気も下がります。

再連絡のためにできる対策はあるのか?

すべてを防ぐことはできませんが、再発を防ぐためにできる工夫はあります。事前の説明と契約の工夫が、後のトラブルを減らす鍵になります。

最初の段階で「逃げ道」を塞ぐ契約と説明

依頼時に、連絡義務や進捗確認の重要性を明記しておく。口頭だけでなく書面にしておくと、後々の証拠にもなります。多少堅苦しくなっても、そこは譲れません。

書面での「連絡義務」明記とペナルティ

一定期間連絡が取れなかった場合は契約解除とする、などの条項を盛り込んでおくことも有効です。現実的には使いづらいですが、心理的な抑止力にはなります。

連絡先を複数取っておく意味と限界

本人の携帯以外に、家族や職場の連絡先も控えておくようにしていますが、そもそもそこにかけるのも躊躇われる。結局、根本的な解決にはならないことも多いです。

それでも消えた依頼人に向き合う覚悟

最後には、こちらが腹を括るしかありません。一定のところで見切りをつける勇気、そして淡々と次に進む力。小さな事務所には、そんな現実との向き合いが必要なのです。

「待つ」しかできない時間に何を考えるか

待っている間、ただ時間を浪費するのではなく、他の業務に集中する、自分の心を整える。そういう工夫で、何とか心の平穏を保っています。

同業者の経験から学ぶ乗り越え方

同じような経験をしている司法書士は少なくありません。定期的に情報交換をすることで、自分だけじゃないと気づけることが救いになります。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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