提出したのに却下!? 法定相続情報一覧図でハマりがちな意外な落とし穴

提出したのに却下!? 法定相続情報一覧図でハマりがちな意外な落とし穴

「ちゃんと出したはず」なのに戻ってくるあのストレス

司法書士の仕事で、特に胃が痛くなる瞬間。それは、法定相続情報一覧図をきっちり作成し、必要な戸籍も添付して提出したにもかかわらず、法務局から「不備あり」「却下」といった返戻通知が届いたときです。「えっ、どこが?」と目をこすりながら読み返しても理由がピンと来ないことも少なくありません。しかもそれが続くと、こちらの気持ちも徐々にすり減っていくのです。

提出後に届く「却下」の二文字——胸が痛む瞬間

封筒を開けて、戻ってきた書類の上に無言で貼られた「却下」の赤文字。もう慣れたはずなのに、毎回胸がズキッとします。「どうせまた、余白がどうとか言うんでしょ」と半ば諦めのような気持ちで確認する日々。ミスをした覚えがないのに戻される、これは地味ながらも確実にダメージを食らう瞬間です。

一見完璧な書類に、まさかの不備

あるとき、完璧と思って提出した書類が戻ってきました。確認すると「被相続人の出生から死亡までの戸籍が一部不足」とのこと。え?改製原戸籍も集めたはずなのに?結局、昭和初期の別の戸籍が存在していたことが後から発覚。正直、そこまで求めるかとつぶやいてしまいました。

法定相続情報一覧図とは:制度の基本をあらためて整理

何度も扱っている制度ですが、改めて初心に返って振り返ってみましょう。法定相続情報一覧図とは、戸籍謄本類の束を一枚にまとめる「相続人の一覧図」です。登記や預金の手続きなど、相続関連の場面で使い勝手が良くなるように作られた制度で、原本を提出しても原則として原本還付できない戸籍の代わりとして利用されます。

一覧図の仕組みと目的

法定相続情報一覧図の目的は、煩雑な相続手続きを簡略化し、相続人が同じ資料を何度も提出しなくて済むようにすることです。しかし、現実にはその一覧図の作成自体が煩雑で、「簡略化のための書類に振り回される」という矛盾した状況が生まれています。

誰が使う?何に使える?

一覧図は登記手続きや銀行の口座解約など、相続人が手続きを進める場面で使います。ただ、受け取る側(たとえば金融機関)によっては「戸籍の原本がいい」と言われてしまうこともあり、現場ではこの制度が“理想通りに使えない”ケースもまだまだ存在します。

罠その1:戸籍の“つながり”があいまいだとアウト

一番多いのが、戸籍の収集漏れ。被相続人の出生から死亡までが繋がっていないと、法務局は受け取ってくれません。特に戦前の戸籍や改製原戸籍などは、本籍が頻繁に変わっている人ほど複雑で、どこか一通でも抜けていれば即NG。まさに「綱渡りの作業」です。

「全ての戸籍を集めた」と思ったら一通足りなかった

ある案件で、「これで全部です!」と自信満々で提出したところ、「この間の戸籍が抜けています」とあっさり却下。見返すと、10年前に転籍していた戸籍が見落とされていました。自分のチェックだけでは限界を感じた瞬間でした。

転籍の多さが混乱を招く

転籍が3回以上あると、記載情報のつながりを追うのが難解になります。特に昭和期のものは手書きで読みにくい上に、漢字の字体が微妙に違っていたりして、一瞬「別人か?」とすら思うことも。慎重さが求められる領域です。

改製原戸籍の見落としが命取り

改製原戸籍は、現在の戸籍では追えない情報が入っていることがあります。これが抜けていると「出生から死亡まで」の証明にはならず、一覧図も作成できません。古い戸籍の保管場所が違うことも多く、時間も手間もかかります。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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