気づけば今日も追われてる──“余裕ゼロ”の毎日にさよならを

気づけば今日も追われてる──“余裕ゼロ”の毎日にさよならを

「追われてる気分」の正体とは

毎日がなんとなく「終わらない」「休めない」「逃げ場がない」。そんな感覚にとらわれていませんか?私自身、地方で司法書士事務所を一人で回している中で、いつからか「やらねば」が頭の中を支配するようになっていました。寝ても覚めても何かに追われているような感じ。仕事量の問題だけではなく、心の中で鳴り止まない“急かしの声”が、余裕を奪っていたのです。

終わらない「やることリスト」に潰される日々

タスクは常に山積みです。登記、書類チェック、相談対応、事務員との共有事項…。リストを作っても、チェックを入れる前に次のタスクが増える。永遠に終わらない。まるで砂をかけてもかけても埋まらない穴を掘っているような気分。朝に作ったToDoリストが昼には無効になる。そんな日が何ヶ月も続くと、「自分のやり方が悪いのか」と自分を責め始めます。

精神的に追い詰める“見えない締切”の数々

明確な締切があるならまだましです。司法書士の仕事には、法務局への提出期限や、相続手続きの期日といった明確なものもありますが、「できれば今週中に」や「早めにお願い」という曖昧な圧も多い。これが地味にキツい。どこまでが急ぎなのか分からないのに、放っておくとクレームになるかもしれないという不安で、常に頭の片隅に残り続ける。そういった“見えない締切”が、心をじわじわと削っていくのです。

忙しさの質が変わってきた

昔は「忙しい=充実している」と思っていた時期もありました。でも今は違います。忙しいと感じる中身が、どんどん「雑務」や「調整」ばかりになってきていて、本来の仕事に集中できないもどかしさが大きいのです。そしてその“質の違う忙しさ”は、なかなか他人には伝わらないのもつらいところです。

「昔の忙しさ」と「今の忙しさ」は何が違うのか

開業当初は、依頼があるだけでうれしかった。夜中まで書類を作るのも「おれ、頑張ってるな」と思えた。でも今は違います。やってもやっても“感謝されない忙しさ”になってきて、達成感より徒労感の方が大きい。クレームを避けるために先回りし、念のために書類を二重三重にチェックし、そんな保守的な業務ばかり増えていく。この違いが、心の疲れ方にも影響しています。

事務員1人じゃさばけない“行政対応”の重さ

最近とくに実感しているのは、役所や法務局とのやり取りが煩雑になってきたこと。特にオンライン申請に関する問い合わせや、書類の再提出対応などは、こちらの落ち度がなくても対応せざるを得ない。事務員にお願いしたくても、「判断を伴うやり取り」は結局自分が出るしかない。結局、件数が多くなるだけ、自分の時間が削られていきます。

デジタル対応が逆に首を絞めてる現実

ペーパーレス、電子申請、クラウド共有…。便利そうに聞こえますが、結局それらの導入や管理もこちらの仕事。慣れないシステムに振り回されて、「紙で出した方が早かった」と嘆いたことも一度や二度ではありません。効率化のはずが、管理工数の増加に繋がっている。そんな皮肉を日々感じています。

「忙しい自分」がつくる負のループ

気づけば「忙しいのが普通」になっていて、それが前提になっている生活。少しでも手を抜くと不安になるし、誰かに頼むのも気が引ける。この考え方そのものが、自分を余計に追い込んでいることに、最近やっと気づきました。

休むと不安、休まないと崩れる

たまに丸一日オフをとっても、結局スマホでメールチェック。心が完全に休まることがない。それなら仕事していた方がマシ、という思考回路になる。でも、それを続けていると、ある日突然ガタッとくる。疲れが抜けないどころか、朝から無気力になる日が続くようになります。

結局、全部自分で抱えてしまう癖

人に頼むのが下手です。事務員に説明するくらいなら自分でやった方が早い。そう思って抱え込んでしまう。でも、それが積み重なると、気づけば一人でパンパンになっていて、誰かが手伝おうとしても「もういい」と断ってしまう。この“自分で自分の首を絞める構造”から抜け出すのは、そう簡単ではありません。

「余裕ゼロ」の原因をあらためて見つめ直す

ただ単に忙しいだけではない。精神的に「余裕がない」と感じる原因には、もっと根本的な“ストレス源”が潜んでいます。それに向き合うには、少し勇気がいりますが、自分の心を守るためには必要な作業です。

依頼者の一言が地味に効く

相談に来た方から、「これ、すぐ終わりますよね?」なんて言われると、内心イラッとします。こちらは法改正の確認や書式の整合性までチェックしているのに、それを“ただの紙仕事”と見なされると、なんとも言えない虚しさが湧いてきます。

「簡単ですよね?」が一番しんどい

こういう言葉が一番メンタルに刺さるのです。「簡単なら自分でやってくれ」と言いたくなるけれど、もちろん言えない。ニコニコしながら、「念のため、きちんと調べますね」と答えるけど、心の中はずっとモヤモヤ。こういうのが一つずつ積み重なっていくのです。

専門家なのに常に疑われている感覚

「他の司法書士さんはこう言ってましたけど…」なんて言われると、信頼されてないのかとガックリきます。こちらは真面目に調べて答えているのに、常に比較や疑いの目で見られていると、自信も萎えてくる。それでも「専門家として毅然とした態度」を求められるという矛盾が、余裕を奪っていきます。

ちょっとした改善で変わったこと

とはいえ、すべてを変えることはできません。だけど、小さな改善で少しだけ心が軽くなることもあります。最近取り組んでいる工夫をいくつか紹介します。

タスクの可視化で“終わらない感”を減らす

Googleカレンダーやタスク管理アプリを使って、目の前の仕事を「見える化」しました。終わらせたタスクが目に見えるだけで、達成感が違います。完璧を目指さず、「今日はこれだけできればOK」と線引きすることも自分を守る方法のひとつです。

事務員の業務範囲を線引きした話

これまでは「できる範囲でお願い」と曖昧にしていましたが、業務の線引きをしっかりすることで、指示がしやすくなりました。「これをお願いできますか?」と素直に頼むことができると、気持ちも少し軽くなります。

「これお願いしてもいいのかな?」の心理的ハードル

お願いしたいけど、「これは本来こっちがやるべき?」と悩む。その曖昧さがストレスになっていたのです。だからこそ、やってもらう仕事の内容と期限を明確に伝えるようにしたら、相手も動きやすく、自分も気兼ねが減りました。

外注できることは早めに外注する勇気

思い切って、手続き案内の一部を外注するようになってからは、心理的にもかなり楽になりました。お金はかかりますが、余裕が少しでも生まれるなら安い投資だと思っています。全部自分で抱える必要はない。そう自分に言い聞かせています。

それでも「余裕ゼロ」な日もある

改善しても、うまくいかない日はある。それでも「もうダメだ」と思う前に、ちょっと立ち止まって深呼吸してみる。それだけで、少し気持ちが戻ってくることもあるんです。

愚痴る場所があるだけで救われる

同業者との飲み会、SNSの仲間とのやりとり、こうして文章を書くこと。愚痴を吐き出せる場所があると、心の中の圧力が少し抜けます。誰かに聞いてもらうだけで「自分だけじゃない」と思える。それだけでも十分救いになります。

他の司法書士もみんな疲れてると知った日

他の司法書士さんと話す機会があり、「あ、みんな疲れてるんだな」と思ったとき、ちょっと気が楽になりました。華やかに見えても、実際は同じような悩みを抱えている。そんな“同志”がいると思うだけで、またもう少し頑張ろうかな、と思えるんです。

まとめ:今日も追われる。でも、ちょっとずつ逃げ道を

完全に「追われない日」は、きっとなかなか来ません。でも、少しずつ「追われ方」を変えることはできる。全部を変えなくても、少しだけ自分を楽にする方法はある。忙しい日々の中でも、自分に優しくなること。それが“余裕ゼロ”から抜け出す、最初の一歩だと思っています。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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