求人を出しても“誰も来ない”…その理由、本当にわかってますか?

求人を出しても“誰も来ない”…その理由、本当にわかってますか?

求人を出しても誰も来ない理由──地方司法書士の現実

「人が足りない」と嘆いているのは、どこの事務所でも同じだと思っていました。でも、いざ自分が求人を出しても、待てど暮らせど応募はゼロ。都会のように司法書士事務所が多くて競争が激しいわけでもないのに、この静まり返った反応には心が折れます。今の時代、求人票に「週休二日」「未経験OK」と書いても、人は来ません。なぜか。それは地方の小さな事務所の“見えにくさ”や、業界全体の誤解、そして現場の声が届かない構造にあるのかもしれません。

人手不足が深刻化しているのは本当か?

世間では「人手不足の時代だ」「人材確保が大変だ」と盛んに言われます。それは間違っていない。でも、その“人手不足”は必ずしも平等に訪れているわけではないんですよね。ウチみたいな司法書士事務所は、むしろ“人手不足”という言葉からも置き去りにされているような感覚です。

「どこも足りない」は本当。でもウチには誰も来ない

求人媒体の営業マンは「今はどこも人が足りないですからね〜」と口を揃えて言います。でもその“どこも”にウチは入ってない気がするんです。実際、うちの求人票には一件の応募もありません。東京の知り合いの事務所では、求人を出すと数名の応募があるそうで……。なんだか、地方は取り残されている感じがします。

都会と地方の応募数の差に愕然

以前、首都圏の司法書士事務所で働いていた知人が、「こちらでは求人を出せば誰かしら来る」と話していて驚きました。田舎では、そもそも司法書士という職業の認知が低く、事務所の存在すら知られていないケースも多いです。知名度の差、アクセスの差、そして何より人口の差が、如実に応募数に表れているのを痛感します。

待遇や条件を見直しても応募ゼロ

条件が悪いのかなと思って、思い切って時給を見直しました。週休二日制、残業なし、ちょっとした福利厚生も付けました。でも、まったく反応がありません。待遇を良くすれば人が来るというのは、幻想なんじゃないかと感じることもあります。

時給を上げても…無反応

事務員さんの時給を近隣の平均よりも高く設定してみたことがあります。にもかかわらず、応募はゼロ。求人票の内容が響いていないのか、それとも司法書士事務所という業態に魅力を感じてもらえないのか。下手したら、コンビニバイトの方が応募が来るんじゃないかと、ふと思ってしまうほどです。

週休二日制、残業なし、でも来ない

働き方改革を意識して、週休二日制を導入し、残業は基本なし。できる限り「働きやすさ」を前面に出してみました。でも、結果は変わらず。もはや“働きやすい職場”というだけでは応募は来ない時代なのかもしれません。そもそも、「司法書士事務所で働く」という選択肢が、求職者の頭の中にないのかもしれません。

「司法書士事務所」という職場の見えにくさ

司法書士という仕事がどういうものか、実はあまり一般の人には知られていません。士業=難しそう、堅苦しそう、というイメージが根強く、求人票を見ても興味すら持たれない可能性があります。うちの事務所は和気あいあいとしていますが、その雰囲気は伝わりにくいのが現実です。

一般の人から見た「司法書士」のイメージ

「司法書士って弁護士とどう違うんですか?」と聞かれることはよくあります。つまり、それくらい知られていないということです。求人票に“司法書士事務所の事務”と書いてあっても、「なんか難しそうだし無理そう…」と敬遠されている可能性は高いです。イメージの壁、これは本当に大きいですね。

専門用語と書類仕事の壁

実際に働いてもらうと、専門用語や手続きに関する知識が求められる場面は多いです。もちろん丁寧に教えるつもりはあるのですが、それが「未経験OK」と言っても伝わりづらく、「難しそう」という印象が先行してしまいます。求人票にそう書いた時点で、門前払いされているような気がしてなりません。

本音で語る:採用活動がつらすぎる

求人を出しても応募が来ないことが、こんなにも精神的に堪えるとは思いませんでした。誰かと一緒に働きたくて、手を伸ばしても誰も掴んでくれない。そんな孤独と空回り感に、ただただ疲弊するばかりです。

一人事務員の限界。辞められたらどうする?

現在は一人の事務員さんに助けられていますが、もしこの方が辞めてしまったら──考えるだけで胃が痛くなります。引き継ぎもままならないまま、自分がすべてを抱え込む未来が見える。それでも、求人を出しても人は来ない。八方塞がりとはこのことです。

結局、全部自分でやることになる現実

忙しさに追われる日々。登記、相談対応、裁判所書類、電話応対、郵送手配……。事務員がいなければ、それらすべてを一人でこなすことになります。なんとか回ってはいるけれど、夜中に郵便物を確認している自分にふと「これ、いつまで続けるんだろう」と思ってしまうのです。

ハローワークも求人サイトも焼け石に水

無料だからとハローワークに登録してみたり、有料の求人媒体に出してみたり。でも、応募はゼロ。広告文の書き方を変えてみても、写真を工夫しても、反応は同じ。ただ求人費用だけがかかっていく現実に、やる気もそがれていきます。

「応募ゼロ」の通知メールが地味に心を削る

求人サイトの管理画面にログインすると、「今週の応募:0件」の文字が。何度見ても変わらないその数字に、心が少しずつ削られていきます。期待してはいけないとわかっていても、どこかで「今回は誰か来てるかも…」と思ってしまう自分が情けないような、愛おしいような。

誰も来ないからこそ考える「採用しない働き方」

誰かに来てほしいという願いはある。でも、現実が変わらない以上、発想を変えるしかありません。人を雇うことだけが解決策ではない。そう思い直すことで、少し肩の力が抜けたような気がしました。

無理に採用しないという選択肢

「来ないなら来ないでいい」と割り切ることも必要かもしれません。業務の棚卸しをして、優先順位をつけて、自分一人でもこなせる体制を整える。無理に人を入れてトラブルになるより、スリムに安定した運営を目指すという方向もありなのではと感じ始めています。

業務整理と優先順位の見直し

やらなくてもいいことに時間を取られていないか。日々の業務を棚卸ししてみると、案外「これは今すぐやらなくてもいい」というものが出てきます。逆に、絶対に自分でやらなければいけないことは何か。その見極めができるだけでも、仕事の重さが少し変わります。

外注・クラウドソーシングという手もある

最近では、クラウドワークスやランサーズなどで事務作業の一部を外注できるサービスもあります。名簿入力や資料整理など、オンラインで済む業務は外に出してしまうのも一つの手です。完全な人材確保は難しくても、“分業”という形で負担を減らせる可能性はあります。

自分が壊れる前にできること

誰も来ないからといって、全部自分で背負い続けるといつか壊れます。そうなる前に、「全部やらない」ことを決める勇気も必要です。仕事は大事。でも、自分の体と心はもっと大事です。

“頑張らない”ための発想転換

「もっと頑張らなきゃ」と思ってしまうのが司法書士の性かもしれません。でも、頑張らない勇気も必要です。「できる範囲でやる」「無理はしない」を意識するだけで、少し気が楽になる。最近は、“がんばらない”自分を肯定できるようになってきました。

司法書士として、これからの働き方を考える

この業界で働き続けるなら、人材不足という問題からは目をそらせません。でも、だからこそ、自分の働き方そのものを問い直すチャンスなのかもしれません。今の時代に合った“持続可能な司法書士”のあり方を、模索していきたいと思います。

人を雇うとはどういうことか、もう一度立ち止まる

人を雇うのは、業務の効率化だけではありません。育成や関係性、責任の重さも含まれます。「一緒に働く」ということの意味を、もう一度自分なりに考えてみたい。そう思っています。

小さな事務所だからできる柔軟な未来像

大きな事務所にはない小回りや、柔軟な対応ができるのが、小さな事務所の強みでもあります。その利点を生かして、無理なく、心地よく働ける形を見つけていけたら──応募が来なくても、希望は捨てなくていいのかもしれません。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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