登記簿を見て凍りつく…まさか“あの人”の名前がまだ?相続や売却で起きた予想外のトラブル

登記簿を見て凍りつく…まさか“あの人”の名前がまだ?相続や売却で起きた予想外のトラブル

登記簿に残る“昔の名義人”が引き起こす地味で厄介な問題

登記簿って、普段あまり意識されない存在ですよね。でも、その記録が何十年も前のまま放置されていたとき、こちらの心拍数だけが妙に上がる瞬間があります。ある日、土地の売却相談で登記簿を確認したところ、依頼者の父親の名義のままになっていたんです。依頼者は当然、自分名義だと思い込んでいました。何が厄介って、このパターン、珍しくないんです。

「あれ、なんでこの人の名前が…?」依頼者より先に驚く瞬間

最初に登記簿を開いた瞬間、「あれ?」と目を凝らします。こっちは心の中で“詰んだかも…”と思っていても、依頼者はまだ事の重大さに気づいていません。「え?父の名義のまま?おかしいな」と軽く言われるけど、その“おかしい”が、まさに事態の深刻さを物語っています。

登記簿の“置き土産”がもたらす地雷

名義が昔のままというのは、ある意味、地雷です。見つけた瞬間は静かだけど、あとから大爆発します。しかも、その“爆発音”は他人には聞こえず、自分だけが振動を感じるような…そんな疲れ方です。相続人が多かったり、話の通じない親戚が絡んできたりすると、こっちも胃がキリキリしてきます。

関係者が全員高齢、もしくは故人というケースの恐怖

「これ、まだ生きてるんでしょうか?」と聞いても、返ってくるのは「多分亡くなってます」というあやふやな答え。戸籍を取り寄せるところからスタートですが、亡くなっている人の兄弟が相続人になると、さらにその兄弟の子ども…つまり甥や姪まで芋づる式に登場します。「なんで私たちが関係あるの?」と不機嫌になる人の対応も一苦労です。

放置されたままの名義、なぜ今まで誰も気づかなかったのか

よく言われるのが「ずっと自分のものだと思っていた」「税金は払ってたし、名義も変わってると思ってた」という話。けど、登記ってそういう感覚的なものじゃないんですよね。書類がなければ、何も変わっていない。それを説明するのもまた骨が折れるんです。

「所有権は移ったと思ってた」よくある誤解とその代償

とくに相続の場面では、遺産分割協議をしただけで名義が変わったと勘違いされていることが多いです。話し合いだけで済ませた気になっていて、登記まで気が回っていない。これがトラブルの種で、「いや、そういうのじゃないんです」と何度も説明する羽目になります。

司法書士に依頼されるまで何十年も見られていない登記簿

結局、司法書士に相談が来る頃には、登記簿は“遺物”のような状態です。見た目は紙一枚ですが、その裏には何十年分の人間模様が詰まっている。古い漢字、昔の住所表記、読みづらい筆跡。調べる側のこちらも、精神的に削られます。

相続登記未了の代償は、後からジワジワやってくる

名義変更って、「あとでやればいいや」と思われがちです。でも、その“あとで”が、ある日突然“今すぐ”に変わる瞬間が来るんです。売却や担保設定など、急に必要になってからじゃ遅い。そんな事例に、何度も何度も直面しています。

売却時に判明する“亡霊のような名義”の存在

不動産会社が「ちょっとこれ、名義が違いますね」と言った瞬間、依頼者の表情が一変します。その場で慌てて連絡が来るんですが、手続きには当然時間がかかる。買主は待ってくれません。中には契約解除になったケースもあります。

買主が融資NGになるケースと不動産業者の冷たい目

登記名義が現所有者でないというだけで、金融機関が融資を渋ることがあります。特に都市部ではその傾向が顕著。売主側に非があると見なされ、取引そのものが破談になることも。不動産業者の目も冷たくなり、「何やってたんですか」と遠回しに責められる。こちらも同席していると、何ともいたたまれません。

「急ぎたいのにできない」登記手続きのタイムラグ

「なんとか今月中に」と言われても、相続登記ってそんなスピード感では終わりません。戸籍を集めるだけでも2週間、協議書の作成や印鑑のやり取りにさらに時間がかかる。依頼者の焦りに対して、現実的なスケジュールを説明するたびに「なんでそんなに時間かかるの?」と驚かれます。

家族間で揉める火種にもなりやすい

昔の名義が残っていると、兄弟や親族間での“記憶違い”が露呈します。誰が相続したつもりだったのか、誰が世話をしていたのか。登記が済んでいないことで、封印されていた不満が噴き出すことがあるんです。

「なんで今さら?」感情のもつれと説明のストレス

登記の話をきっかけに「お兄ちゃんが全部やってくれるって言ってたじゃない!」と声を荒げる場面、正直見たくないけど、現場ではよくあります。感情がもつれると、手続きは一気に進まなくなります。こちらとしては事務的に進めたいのに、家庭のドラマに巻き込まれてしまうのです。

相続人の一人が行方不明…そこから泥沼へ

さらに厄介なのは、相続人の一人が連絡不能なケース。「10年以上音信不通」「海外にいるかも」と言われた瞬間、頭の中で「失踪宣告か、相続財産管理人か…」と選択肢をグルグル回す日々が始まります。ここからが本当の意味で“長期戦”です。

司法書士の立場として感じる「もう少し早く相談してほしかった」

本音を言えば、「もっと早く相談してくれれば…」と思う案件が山のようにあります。どうしても“後回しにされがちな手続き”だからこそ、啓発の大切さを日々感じています。

事前確認の重要性を伝える難しさ

「登記って必要なんですか?」と聞かれること、まだまだ多いです。でも、売却の直前になって「名義が違いますよ」では済まされないんですよね。だからといって、あまり強く言っても煙たがられる。このあたりの塩梅が本当に難しい。

お客様は「手続き=すぐ終わるもの」と思っている

テレビドラマのせいか、登記って1日で終わるような印象を持ってる人がいます。でも実際は、紙の世界。戸籍や住民票、収集するだけで手間も日数もかかる。説明しても、「でもなんとか…」と急がれると、こちらの胃もキュッとなります。

見積もり段階で嫌な顔をされる説明ほど大事

相続人が多いと「戸籍10通以上必要です」と言うこともあります。しかも、その分費用も増える。そういうときに限って「他で頼もうかな」と言われる。結局後で戻ってくることもあるんですが、精神的にはすり減ります。

精神的負担の大きい案件に限って報酬は少ない

時間と労力がかかるのに、報酬は基本報酬+実費という構造。家族トラブルの調整や精神的な負担まで含めたら、割に合わないことの方が多いです。何のためにやってるのか、ふと分からなくなることもあります。

地味で手間ばかりかかるのに“当たり前”扱い

司法書士の仕事って、「いて当然」だと思われがち。でも、その“当然”を維持するために、どれだけ見えない時間と労力が費やされているか。報われないとは言わないけれど、ちょっと寂しくなる瞬間はあります。

事務員にも説明しづらく、疲れだけが溜まっていく

事務員さんにはなるべく負担をかけたくないけれど、「この案件、誰も悪くないけど全部ややこしい」というのを説明するのも大変です。しかも、自分も納得できてない。そんな日が重なると、ちょっとしたことで無性にラーメンが食べたくなります。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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