相続手続きが台無しに…!“この人相続人じゃなかった”と発覚した後の地獄絵図

相続手続きが台無しに…!“この人相続人じゃなかった”と発覚した後の地獄絵図

まさかの展開「この人、相続人じゃなかった」

相続の手続きも終盤に差しかかり、「ようやく終わる…」とホッとした頃。ふとした確認で、「あれ?この人、相続人じゃないのでは?」という違和感が頭をよぎった。そこから先は、まさに地獄の始まりだった。依頼人も驚き、私も冷や汗。書類を見直し、戸籍を追い、家系図を再構築…。それでも後の祭りということは、本当にある。

一通の戸籍で始まった違和感

ある案件で、依頼人が「兄弟は私だけです」と断言。最初は何の疑いもなかった。ところが、念のために請求した本籍地の戸籍謄本を見ていると、見慣れない名前が…。思わず「誰これ?」とつぶやいた。それが、実は異母兄弟だったわけで、完全に相続人。依頼人も「そんな人知らない」と慌てふためいた。

何がどうしてそうなった?よくあるパターン

この「想定外の相続人」は、実は珍しい話ではない。戸籍を丁寧に追わず、本人の話だけを信じてしまうと、こうなるリスクは誰にでもある。

認知されていなかった非嫡出子の存在

過去の戸籍には、認知の記録がポツンと書いてあることがある。「昭和○○年△月 認知」とだけ記された子ども。依頼人が知らなくても、法的には相続人。後から出てきて、「私も取り分があります」と主張されれば、すべてがやり直しだ。

前妻の子どもを勝手に除外していた

「あの子はもう関係ない」と依頼人が言い切ることがあるが、そんなのは当事者の主観に過ぎない。法的には、戸籍上の子であれば当然相続権がある。話を聞くだけで処理を進めた自分にも非があると思うと、胃が痛くなる。

隠されていた養子縁組や縁組解消の記録

特に戦後すぐの戸籍は読みにくい。養子縁組や縁組解消の記録が見落とされやすく、チェックを怠ると「え?この人、もう縁切れてたの?」となる。そうなると今までの作業が全て無駄に。

実務がグチャグチャに…現場の混乱

一人でも「相続人じゃなかった」ことが発覚すれば、今まで積み上げてきた全ての書類が使えなくなる。登記申請後であれば、補正どころか最初からやり直し。依頼人の信頼も失いかねない、非常にシビアな局面だ。

提出済の遺産分割協議書がすべて無効に

既に相続人全員の実印をもらい、印鑑証明も揃えて提出済だった。なのに、一人足りていないことが分かると、協議書は無効。「え?もう押しちゃったのに?」という依頼人の反応を前に、こちらは「そうなんです…」としか言えない。

法務局への申請後に“相続人じゃなかった”が発覚したら

登記完了通知を待っている間に発覚することもある。その場合、補正通知どころか、取消手続きや再申請が必要。しかも、手数料や登録免許税の払い戻しができるとは限らない。依頼人から怒りの電話が来るのも、このタイミングが多い。

依頼人もパニック、こっちは冷や汗

「じゃあ今までのは全部無駄だったんですか!?」と怒鳴られたこともある。内心「私のせいじゃない」と思っていても、外から見れば司法書士の責任。冷や汗をかきながら、収拾策を考え直すしかない。

司法書士が追い詰められる瞬間

こんな時、「誰も責めないよ」と言ってくれる人は少ない。むしろ、「なんで確認してくれなかったの?」と責められる。事務員がいるとはいえ、最終確認は自分。孤独な責任感に押し潰されそうになる。

「お前が確認しとけよ」と言われた地獄

依頼人にそう言われると、一気に胃がキリキリしてくる。こっちは寝る間を惜しんで対応していたのに…。そういうときこそ、感情的にならず、冷静に「戸籍の全体像がまだ確認できていませんでした」と説明するしかない。

“自分のせいではない”が通用しない現実

司法書士は「説明責任」を問われる立場。たとえ相手の勘違いだったとしても、「先生が確認してくれると思っていた」と言われたらアウト。だから、最初から“疑ってかかる”くらいでちょうどいい。

そもそも、なぜこんな事態が起きるのか

「なんでこんなことが起きるんだよ…」と何度も思った。原因を一つずつ潰していくことで、ようやく落ち着いてきた。実際のトラブルは複数の要因が絡み合っている。

戸籍の読み違いと確認不足のリスク

古い戸籍の判読ミスや、転籍漏れなど。名前の似た人物を見間違えたり、「除籍された」と書いてあるのを「死亡」と誤解したりすることもある。とにかく目が疲れてるときの確認は要注意だ。

依頼人の“勝手な思い込み”が火種になる

「兄弟は○人だけ」と言い切る依頼人ほど、実は違っていたというケースが多い。「その人はもう他人ですから」と言われても、戸籍を見ればバリバリ相続人。主観と法的事実は別物と割り切らないと、巻き込まれる。

役所が原因になるケースもある

戸籍の記載漏れ、除籍のタイミングがズレている、デジタル化前の読み違えなど。役所に確認しても「当時の担当が…」で済まされることも多い。だからこそ、こちらが二重三重に確認しなければならない。

同業者に伝えたい“防衛策”

私はこの一件で、本当に心身ともに消耗した。同じ思いを誰にもしてほしくないから、いくつか防衛策をここに書いておきたい。

最初に「100%はありえない」と言い切る勇気

どんなに聞き取りが丁寧でも、絶対の確証にはならない。だからこそ、最初の面談時に「戸籍を見るまでは確定できません」とはっきり言っておく。それが自分を守る一言になる。

戸籍チェックは“2回読み”が基本

時間がかかっても、1回目はざっと、2回目は詳細に読む。さらに別日にもう一度見ると、見落としていた名前や記載が浮かび上がってくる。焦って処理を急がないこと、それが事故防止になる。

関係図とメモは必ず書面に残しておく

誰がどうつながっているか、図にすると一目瞭然。あとから戸籍を見直すときも、関係図があるだけで理解が早い。誰の言葉をもとに作ったのかもメモに残しておくと、後々のトラブル回避になる。

それでも間違えるときはある

どんなに気をつけていても、人間はミスをする。完璧を目指すのではなく、ミスが起きた時の対応力こそが、プロとしての真価だと最近思うようになった。

司法書士も人間…謝罪の仕方を心得ておく

自分の落ち度があると認めたら、逃げずにきちんと謝る。それだけで信頼を取り戻せることもある。「説明不足でした。」と言う覚悟を持つこと。

信頼をつなぎとめる“正直さ”と“再確認”

結局、依頼人との信頼関係は正直さで保たれる。誠意を持って再確認し、どうリカバリーするかを具体的に提案する。そこでこそ、“この司法書士に頼んでよかった”と思ってもらえるチャンスがある。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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