まじめにやってるのに、なぜか空回りする日々
毎日コツコツと一つひとつの仕事を丁寧にこなしているつもりなのに、なぜかいつも追われている。そんな感覚、ありませんか？私自身、朝一番に机に向かっても、気づけば夕方。誰に頼まれたわけでもないのに「完璧にしなければ」と気を張り続けて、逆に自分の首を絞めてしまう。まじめであることが、美徳どころか「自分にとっての罠」になることがあると、司法書士になって十数年経った今、痛感しています。
手を抜けない性格が「効率の敵」になる
登記書類のチェックなんて、二重三重に確認して当然。そう思ってました。でも、一度手を抜く怖さばかりが先に立って、時間配分を見失うことがよくあるんです。結果的に重要度の低い作業に時間を取られ、肝心なクライアント対応が後手に回る。まじめすぎると、自分の中で優先順位がつけられなくなるんですよね。
真面目な人ほど抱え込みやすい「無意識の孤独」
事務所を一人で背負っていると、「これは自分がやらないと」と思い込みがちです。誰かに相談するより、自分で解決したほうが早い…そんな風に考えてしまう。でもそれって、実は誰にも頼れない不安と隣り合わせなんです。気づけば、事務員さんとの会話も必要最低限になり、孤独だけが積もっていく。これ、意外とまじめな人にありがちなんですよ。
「まじめ」は正義じゃない？司法書士業界の現実
司法書士の世界では「まじめに、正確に」が大前提。とはいえ、それだけじゃうまく回らないのが現実です。特に実務ではスピードや柔軟さも求められる中で、まじめ一辺倒だとクライアントからの信頼も得にくいというジレンマがあります。「ちゃんとやってるのに、なんで伝わらないんだ」と思うこともしばしば。
完璧主義が引き起こすミスの連鎖
「100点を目指さないといけない」と思うと、逆にプレッシャーで手元が狂う。私も昔、法人登記で一文字だけ社名を間違えたことがありました。原因は、何度も見直したことで逆に文字の違和感に鈍くなっていたこと。まじめすぎると、安心できるまで何度も見てしまい、逆に疲弊して判断力が落ちるんです。
真面目すぎると「信頼」されすぎるリスク
「この人に任せておけば安心」と思われるのは光栄。でも、それが続くと「この人にしか頼めない」となって、すべての案件が自分に集中する。信頼がプレッシャーになるなんて、まじめな人間ほど抱える皮肉な悩みですよね。しかも、断ると相手をがっかりさせるような気がして、結局受けてしまう。この繰り返しが、心と体の疲労につながります。
人間関係における“まじめすぎ問題”
まじめな人は周囲との関係も丁寧に保とうとします。でも、その丁寧さが裏目に出ることもある。司法書士という職業柄、利害関係のない人間関係の構築が難しい中、まじめすぎる態度は時に壁をつくってしまいます。
同業者との距離感、なぜか縮まらない
勉強会や会合に行っても、なぜか話が弾まない。「きちんと挨拶はするけど、深入りはしない」…それが癖になってしまっているのかもしれません。まじめであるがゆえに、余計なことを言わない慎重さが、かえって距離を生む。ある意味“壁を感じさせる人”になってしまっているのかもしれません。
事務員さんにも気を使いすぎてしまう
気配りのつもりが、実はプレッシャーになっていたりする。私も以前、仕事を任せたあとで「無理だったら言ってね」と言ったつもりが、「やれって意味だと思った」と後で聞かされました。
優しさが逆効果になる瞬間
やんわりした言い方が、かえって相手に気を遣わせる。特に上下関係がある中では、「優しく言われた＝余計に期待されている」と思わせてしまうことも。まじめな人ほど、相手に負担をかけたくないと思っているのに、それが裏目に出るのはなんともつらいものです。
「気を遣う」が「気を使わせる」になる悪循環
お互いが「相手に迷惑をかけたくない」と思うと、気づけば本音が言えない関係になってしまう。私と事務員さんの関係も、ある時期そうなってしまったことがありました。まじめな性格同士だと、どちらも遠慮し合って、肝心な連携が取りにくくなる。仕事が円滑に進むためには、適度な“ゆるさ”も必要なのかもしれません。
クライアントとの対応で感じる“報われなさ”
丁寧に対応しても、返ってくるのは感謝の言葉ではなく、不満の声。そんな経験、司法書士なら一度はあると思います。こちらは誠実に説明しているつもりなのに、相手には「回りくどい」「話が長い」と受け取られることも。まじめすぎると、相手に合わせることすら難しくなるのかもしれません。
真面目に説明しても、雑に扱われる理不尽
相続登記の流れを丁寧に説明しても、「で、結局いくら？」の一言で終わることがある。時間をかけて誠意を見せても、それを「面倒くさい」と思われた瞬間、こちらの気持ちはどこへ行くのか…。そんなことが何度もあると、心がすり減ってしまいます。
期待に応えすぎて、自分が壊れる前に
期待に応えたい。その気持ちが強すぎると、自分を見失う。以前、休日も返上して登記の準備をしたことがあります。でもその後に体調を崩して寝込んでしまったとき、誰もそれを知らないし、評価もされない。「あれは自己責任だ」と言われたら、それまでです。まじめな人ほど、自分の限界を見誤るんですよね。
それでも「まじめさ」とどう付き合うか
まじめな性格を変えるのは難しい。だからこそ、どう“付き合っていくか”が大事なんだと思います。まじめさは武器にもなるけれど、時に自分を苦しめる刃にもなる。だから、力を抜くことを覚える必要があるんです。
まじめを辞めずに、柔らかく生きる方法
私は最近、「7割でいい」と自分に言い聞かせるようにしています。完璧を求めすぎると、心も時間も足りなくなる。失敗しても笑えるような“余白”を持つことで、まじめな自分も少しだけ楽になれる。無理をしないことは、手を抜くことではないんですよね。
力を抜く勇気と、断る技術を身につける
断ることに罪悪感を持ってしまうタイプこそ、練習が必要です。小さな「NO」から始めて、断る言葉のテンプレートを自分の中に持つ。私も最近では、「それは事務員に聞いてもらえますか？」と言えるようになりました。まじめであることを守りながら、壊れないために、自分を守る方法を覚えることが、これからはもっと必要になってくる気がします。
