誰にも言えなかった——あの日、打ち明けた小さな秘密の重さ

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誰にも言えなかった——あの日、打ち明けた小さな秘密の重さ

一人で抱えていたこと、ありませんか?

司法書士という職業は、常に冷静で、理路整然としていて、間違いを許されない——そんな印象を持たれることが多い仕事です。実際、僕自身もそうあらねばと日々気を張って業務にあたっています。でも、そんな僕でも「これは誰にも話せないな」と胸にしまい込んできたことがあります。それが積もってくると、自分の中に小さなヒビが入り、やがて何かが崩れそうになる瞬間があるのです。

「こんなこと、誰にも話せない」って思った日

ある日、登記の処理でミスをしてしまいそうになったとき、僕は咄嗟に自分を責めました。「こんな初歩的なことで…」と。結局は事務員の指摘で未然に防げたものの、その夜はずっと布団の中で反省会。こんな気持ちは、家族にも事務員にも言えませんでした。専門家としての看板を背負っている以上、弱みを見せてはいけないと思っていたのです。

司法書士だって人間です。弱音も吐きたい

依頼人からの感謝の言葉に支えられる一方で、内心では「誰かにこの疲れをわかってほしい」と感じていました。でも、愚痴をこぼすと「この人に依頼して大丈夫か」と思われるかもしれない。そう思うと、やっぱり飲み込むしかない。正直、司法書士だって人間なんです。そりゃ弱音の一つや二つ、出たっていい。でも、それすら許されない空気が、この職業にはある気がします。

実は僕にもあった、小さな“限界サイン”

「もう無理だ」と叫びたくなった日がありました。それは、一見普通の仕事の日だったのですが、ふとした瞬間に心がざわつき、「このままじゃ壊れる」と感じたのです。きっかけは些細なことで、たとえば、急ぎの仕事が3件重なったことや、電話が鳴り止まない中で登記の確認をしなければならなかったこと。でもそれが、心のコップをあふれさせる最後の一滴だったように思います。

書類ミスが怖くて眠れなくなった夜

一度だけ、どうしても「やらかしたかもしれない」と不安になって、夜中に目が覚めたことがあります。再確認してみたら間違いはなかったのですが、その間の2時間ほどは生きた心地がしませんでした。ミスひとつで信頼を失うこの仕事。だからこそ、「確認しても不安」は日常茶飯事です。眠れない夜に天井を見つめながら、「これが続いたら、いつか潰れるな」と思ったのを今でも覚えています。

完璧主義とミスの恐怖の狭間で

完璧であろうとする意識が、逆に自分を苦しめていたのかもしれません。少しでも曖昧な点があると、確認に確認を重ねてしまい、それが業務全体を遅らせる。スピードを求められる中で、正確さも要求されるこの世界では、どちらかを削る選択肢がない。その矛盾の中で、心が少しずつ削られていきました。

誰も気づかない「孤独な不安」

表面上は落ち着いて見えても、内心では常に不安と隣り合わせでした。事務員にも話せず、同業の知人とも深い話はなかなかできない。結局、僕の不安を知っているのは、自分だけ。誰にも気づかれない、気づかせたくない。でも本当は、「気づいてほしい」と思っていたのかもしれません。

事務員にすら言えなかったこと

長く一緒に働いてくれている事務員がいます。信頼もしているし、頼りにもしている。でも、ふとした瞬間に「このことは言わないほうがいいな」と線を引いてしまう。たとえば、資金繰りのことや、将来への不安の話。余計な心配をかけたくないというのが表向きの理由。でも本音は、「弱く見られたくない」という僕の意地だったと思います。

支えるはずが、頼ってしまいそうになる自分

本来なら、事務員を支える立場であるべきなのに、忙しい時やしんどい時には、つい彼女の言葉に救われてしまう瞬間があります。そのたびに「これじゃいけない」と自己嫌悪。でも、頼れる人が身近にいるというのはありがたいことなのかもしれません。問題は、それを素直に受け止められない自分の心の硬さです。

「上司」という立場の重み

「所長」として振る舞うためには、自分の不安や迷いを表に出してはいけないと勝手に思い込んでいました。でも、完璧な人間なんていないし、むしろ不安を共有できた方が信頼される場面もある。頭ではわかっているのに、なかなかその壁を越えられない。これもまた、司法書士という仕事の“役割”に縛られた一面かもしれません。

優しさが足かせになる瞬間

事務員が少し疲れていそうなとき、仕事を振るのをためらうことがあります。その結果、自分が抱え込みすぎて潰れかける——そんな悪循環を何度繰り返したかわかりません。優しさからの遠慮が、結果的に自分の首を絞めてしまう。これは、独立して仕事をしている人なら、誰でも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

打ち明けた“きっかけ”は、思わぬ一言だった

実は、ある日ポロっとこぼしたひと言が、すべてを変えるきっかけになりました。たしか「最近ちょっと疲れてるんですよね」と漏らしただけ。それを聞いた知人が、「実は俺もさ…」と話を始めてくれたのです。そこで初めて、「ああ、自分だけじゃないんだ」と思えた瞬間でした。

「最近、大丈夫ですか?」と言われて

その一言は、僕にとっては救いでした。「大丈夫じゃないけど、大丈夫って言うしかない」と思っていたところに、真正面から声をかけてもらったことで、自分の仮面が少しだけ外れた気がしました。それから少しずつ、自分の気持ちを言葉にするように心がけています。

話すことで救われることもある

打ち明けたからといって、問題がすべて解決するわけではありません。でも、心の中の圧力が少し抜ける感じがしたのは事実です。それはまるで、パンパンに膨れた風船に小さな穴が開いたような感覚。話すことで、「あ、自分まだ大丈夫かも」と思えるようになったのです。

司法書士という仕事の“見えない負荷”

目に見える忙しさよりも、目に見えない責任やプレッシャーの方が重いことがあります。「登記が完了しないと次に進めない」「相談者の人生に影響する」——そんな状況に毎日直面していると、気づかぬうちに心が擦り減っていく。だからこそ、意識して「休むこと」「話すこと」が大事だと、最近は本当に思います。

常に「正しさ」を求められるプレッシャー

一字一句の違いが、重大な法的ミスにつながる。だからこそ、すべての書類に対して神経を尖らせてしまう。誰に褒められるわけでもないけれど、絶対に間違ってはいけない。このプレッシャーは、想像以上に強烈で、そして継続的です。

対外的な責任と、内面的な摩耗

登記や書類処理だけでなく、クライアント対応や役所とのやり取りなど、外との接点も多い司法書士業務。外では笑顔で冷静に応対しつつ、内心では「またトラブルになるかもしれない」とヒヤヒヤすることもあります。そのギャップが心の摩耗を加速させているのだと、最近ようやく気づきました。

もし今、しんどい司法書士がいたら

この記事を読んでいるあなたが、もし「最近しんどいな」と思っているなら、それはあなただけではありません。大丈夫じゃない日もあっていいし、誰かに頼ってもいい。僕がそう気づけたのは、誰かが声をかけてくれたからです。今度は、僕があなたにその言葉を贈りたい。

「誰にも話せない」が一番危ない

口に出さない秘密は、やがて心をむしばんでいきます。「こんなこと話していいのかな」と思うことほど、実は話すべきことなのかもしれません。信頼できる誰かに、少しだけでも漏らしてみてください。きっと、心が少しだけ軽くなります。

言葉にすることで、道が見えることもある

自分の気持ちや悩みを言葉にすると、不思議と「じゃあ、どうしようか」が見えてくることがあります。それは、思考が整理されるからかもしれません。まずは独り言でもいい。「しんどいな」「疲れたな」と言ってみることから、始めてみてください。

まとめ:秘密は、打ち明けてはじめて軽くなる

司法書士として、日々真面目に、真剣に仕事に向き合うことは大切です。でも、心の奥にしまい込んだ秘密や悩みは、いつか限界を迎えてしまうことがあります。そんなときは、自分を責めるのではなく、そっと誰かに話してみてください。秘密は、誰かに打ち明けた瞬間から、少しずつその重さを失っていきます。あなたの心が、少しでも軽くなりますように。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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