なぜ「資料どこに送れば?」のやり取りが何度も発生するのか
忙しい日常の中で、何気ない一言に振り回されることがあります。「資料、どこに送ればいいですか?」──この質問、耳にタコができるほど聞かれました。初回ならまだしも、何度も同じ人に、同じように聞かれる。こちらは「あの時伝えたじゃないか」と思うのに、相手には届いていない。これは私だけの現象ではなく、多くの司法書士が経験している“堂々巡り”の一つなのではないでしょうか。
送付先が毎回違う…?地味な混乱の裏側
案件によって書類の送付先が変わるのは、司法書士の仕事では日常茶飯事です。法務局だったり、依頼人の自宅だったり、銀行の担当者だったり。それ自体は当然なのですが、こちらが「〇〇に送ってください」と伝えたにも関わらず、別の場所に送られてしまったり、再確認が来たりする。「え、こないだの件とは違うんですか?」と混乱されることもしばしば。送付先を一つに統一できないこの仕組み自体が、混乱の温床になっているのかもしれません。
「あの件の資料」と言われても分からない
「あの件の資料、どこに送ればいいですか?」という質問。これがまた厄介で、「あの件ってどの件だよ!」と、心の中でツッコミを入れることになります。複数案件を同時並行で進めている日など、「あの件」なんて主語が抜けた言葉で言われても、正直わかるはずがない。人は自分の記憶を中心に話すけれど、こちらにはその情報がない。そういう意味で、司法書士という職業は、いかに相手の脳内を正確に読み解けるかの戦いでもあるのです。
ループ地獄の正体:情報共有の穴
この「資料どこに送れば問題」は、一言でいえば情報共有の甘さが原因です。何度伝えても定着しない情報、聞かれるたびに検索しなおす手間。仕組みで解決できればいいのに、それがなかなか進まない。自分だけでなく、事務員との連携も絡んでくると、もうカオスです。毎回の確認がルーティンになり、気が付けば「また聞かれた」と肩を落とす自分がいるのです。
メール文化の限界とチャットの断片化
メールで一応伝えた。でも相手が見ていない。見ていたとしても、数日経てば忘れられている。だから再確認が来る。これが続くと、「もう一度送っておきますね」という無力な返答が増えるばかり。さらに最近はチャットも使うようになり、会話が断片化。どこで何を伝えたのか自分でも分からなくなり、「この情報、メールで言ったっけ?チャットだっけ?」と探し回る羽目に。連絡ツールの多様化は便利の裏で、情報迷子を量産している気がします。
事務員さんとの連携もうまくいかない日々
私の事務所では、事務員さんが一人います。彼女がとても優秀なのは間違いないんですが、それでも完璧な連携は難しい。こちらが口頭で言ったと思っていたことが、彼女には伝わっていない。逆に、彼女が把握していることを、私が完全に忘れている。そうなると、また「この資料、どこに送ればいいですか?」が始まるのです。仕事はチーム戦だというけれど、そのチームがうまく噛み合わない日は本当にしんどい。
一度説明したのに、また同じことを聞かれる
「これ、前にも言ったんだけどな…」という瞬間は、司法書士業務に限らず、誰しも経験があるはず。でも、それが1日に何度も、しかも複数の相手から来たらどうでしょうか。さすがに「自分の記憶のほうが間違っているのかも」と疑いたくなってきます。繰り返し聞かれるたびに、こちらの心がすり減っていくのです。
自分の記憶を疑いたくなる瞬間
あの資料、どこに送るって言ったっけ?あれ、ちゃんと伝えたかな?──そんな疑念が浮かび、過去のメールを必死に検索することもしばしば。送信履歴が見つかった時は安堵しますが、「送っていなかった」と分かった時のあの冷や汗。年齢のせいか、最近は記憶にも自信が持てず、余計に「言ったかもしれない」「でも言ってないかもしれない」と曖昧さに追い込まれます。
「昨日送ったはずなのに…」のモヤモヤ
「確か昨日、あの資料は送ったはずなんだよなあ…」という日が最近増えてきました。でも探しても見つからない。誤送信?下書き保存ミス?送った相手を間違えた?そのたびに小さなパニックです。しかも、そういう時に限って急ぎの資料だったりするから厄介。「送った気になってた自分」に腹が立ちます。
そもそも相手はメールを読んでいない?
こちらが時間をかけて丁寧に説明したメール。それが開封されていないと知った時の虚しさといったら。最近は既読確認できるツールもありますが、そういうのを導入しても意味がない相手もいます。読まれていなければ、伝わったことにならない。つまり、最初から伝えてないのと同じ。そうなると「もう一度説明する」しかなくなってしまいます。
解決策を試したけれど…うまくいかない
問題を放置するわけにもいかず、いろいろと改善策は試してきました。送付先一覧を作ったり、共通フォルダを用意したり。でも、それが機能するとは限らないのが現実。むしろ、新しいルールを作ることで、混乱が増すことすらあるのです。「また聞かれた…」というため息は、いつまでも止まりません。
送付先一覧表、誰も見ない問題
「これを見てくれれば分かる」という資料を作っても、見てくれない。結局また直接聞かれる。そんなことが続くと、正直「もう作らなくていいか」と思ってしまいます。特に関係者が多い案件では、誰がどこまで読んでいるか分からず、情報伝達の非対称性が常につきまとうのです。
「フォルダを作っただけで仕事した気になる」罠
共有フォルダを整備して、「これで安心」と思った瞬間が何度もありました。でも、蓋を開けてみると、ファイル名が曖昧だったり、どこに何があるのか分からなかったりして、誰も使ってくれない。「整理しただけで自己満足してたな」と気づくまで、少し時間がかかりました。作ることと、使いやすいことは別問題です。
司法書士だからこその“共有のむずかしさ”
司法書士の仕事は、案件ごとに状況が異なり、テンプレートが通用しにくい業務が多いです。そのため、「いつも通り」では進まない場面が多く、書類の扱いも複雑になります。毎回微妙に変わる条件の中で、同じように情報を伝える難しさに直面する日々。これがループの根源なのだと思います。
案件ごとの微妙な違いに振り回される
例えば、同じ相続登記でも、相続人の人数や関係性、預金の有無によって対応が大きく異なります。だから「前回と同じでいいですよね?」が通じない。書類の送付先も、同じようで実は違う。こういった「細かい違い」を把握し続けるのは、本当に疲れる作業です。
「同じようで違う」登記と書類の地雷原
毎回似たような案件なのに、書類の内容や送付先だけが微妙に違う。その「微妙な違い」が原因で、トラブルになる。たった1通の郵送ミスで信頼が揺らぐ業界だからこそ、細かい確認が欠かせない。でも、確認すればするほど、「また聞かれる」ループにはまっていく。正直、気が滅入ります。
顧客ごとにルールが違う地獄
同じ書類でも、顧客の要望によって扱いが異なることもあります。「PDFで送ってください」「原本は郵送で」「スキャンしたら即シュレッダーで」など、ルールは千差万別。一覧表を作ったところで対応しきれない。毎回マニュアルをアップデートするわけにもいかず、また個別対応が増える。まさに地獄です。
どうすればこのループを断ち切れるのか
いまのところ、完璧な答えはありません。でも、自分自身の中でルールを明確にすること、そして「伝える努力」を止めないことが大事だと感じています。相手任せにせず、自分から発信し続ける。それが少しでもループを減らす第一歩だと、信じたいところです。
まずは自分のストレス構造を把握する
なぜこのやり取りがこんなにしんどいのか。それは「前にも言ったのに」という期待と、「また説明しなきゃ」というストレスが重なるからです。自分がどこにストレスを感じているのかを客観的に理解するだけでも、少し心が軽くなります。相手を責める前に、自分の負担を言語化してみることが第一歩かもしれません。
次に「誰のための共有か」を見直す
共有は「伝えること」ではなく「伝わること」が目的。つい、自分が分かりやすい形で満足してしまいがちですが、本当に相手のためになっているかを問い直す必要があります。形式より中身。相手の立場で考えた共有の仕組みを考え直すことで、無限ループから抜け出せるかもしれません。