LINEの返信が仕事優先になってしまう

LINEの返信が仕事優先になってしまう

仕事中に届くLINE──気になっても、後回し

仕事中にスマホの通知が鳴っても、つい「今は無理」と画面を伏せてしまう。特にLINEの返信は、後回しになりがちだ。返したい気持ちはあるのに、目の前の仕事が山積みで、気づけば一日が終わっている。これが一度や二度ならいいが、繰り返すうちに「この人はもう連絡を取る気がないのかも」と思われてしまいそうで、余計に気が重くなる。だけど現実は、仕事の納期や対応の連絡で頭がいっぱいで、スマホを手に取ることすらままならないことが多いのだ。

通知は鳴るけど、画面を見る余裕がない

たとえば、役所の窓口からの電話に対応しつつ、お客様の申請書類のミスを見つけて修正しているとき、LINEの通知音が耳に入る。しかし「ちょっと後で」と思った瞬間、次の来客が現れ、電話が鳴り、また別の案件が舞い込んでくる。そうやって気づけば夜。結局返信できなかったLINEが、未読のまま残っている。ほんの一言返せばいいのに、その“一言”が頭の中から抜け落ちてしまうのだ。

目の前の書類の山に意識が吸い込まれていく

司法書士の仕事は、目に見える“物量”との戦いだ。積み上がる書類、チェックすべき契約内容、確認すべき登記簿…。一つひとつがミスできないプレッシャーの中で、頭は完全に“作業モード”に切り替わる。だから、ふとLINEが届いても「今はこの書類を仕上げなければ」という優先順位に飲まれてしまう。結局、LINEは後回し、そして心の片隅に「返してないな…」という小さな罪悪感が残る。

「既読スルー」に罪悪感を感じつつも…

意を決して返信だけはしようと既読にする。だが、そこで「ちゃんと返信を考えてから」と思ってしまうと、それが逆に罠になる。気づけばそのまま時間が経ち、結果的に既読スルーになってしまう。悪気はない。それでも相手にとっては「無視された」と感じられてしまう可能性もある。このすれ違いに、こちらの気持ちとは裏腹に傷つけてしまっているかもしれないという後悔が生まれる。

返信しようと思った頃にはタイミングを逸している

ようやく落ち着いてスマホを見たときには、すでに2日、3日が経っていることもある。「いまさら返信しても遅いかな」と思って、結局そのまま。こうしてどんどん自分の中で“返信すること自体”がハードルになっていく。相手のことは好きだし、大事に思っているのに、ただタイミングを逃してしまっただけ。それでも、それが繰り返されると、関係性そのものが遠のいてしまうのが現実だ。

「仕事が落ち着いたら返そう」の繰り返し

「ちょっとバタバタしてるから、明日になったら…」そう思って過ごすうちに、明日が来ても状況は変わらない。やることが片付いても、次の案件が待っている。結局、「仕事が落ち着いたら返す」という自分の中のルールは、永遠に訪れない“未来の約束”になってしまう。意志の問題ではなく、構造の問題。返信ができないのは、怠惰でも無関心でもなく、ただ「今」に余裕がないからなのだ。

でも“落ち着く”日はいつまで経っても来ない

実際に、「この案件が終わったら少し楽になる」と思っていても、終わる頃には別の仕事が滑り込んでくる。司法書士という仕事の性質上、予測不能な案件や急ぎの書類、突然の相談が多く、完全に“手が空く日”というのはなかなかない。だから「いつか返そう」ではなく「今返す」しかないのだと、頭ではわかっていても、体は動かない。これが“返せない日常”のループを生み出している。

事務員にも心配されるけど、正直それどころじゃない

ある日、事務員さんに「先生、昨日から同じ画面で止まってますけど、大丈夫ですか?」と心配された。実はその時、LINEの返信を書こうとスマホを開いたのに、途中で別件の電話が来て、それきりだったのだ。「いま返そうとしてたんだけどさ…」と笑って答えたが、内心では「またやってしまった」と自己嫌悪。でも、事務処理が溜まると、スマホを触る余裕すらなくなるのが現実だ。

プライベートの優先度がどんどん下がっていく現実

仕事の忙しさにかまけていると、自然とプライベートの時間は削られていく。そしてその最たる影響が、人間関係に現れる。気づけば、やりとりの多くが「登記の件ですが…」や「○○様の書類が届きました」といった仕事の連絡ばかりで、心からリラックスできる会話が遠のいている。ふとした瞬間に「自分、最近誰とも雑談してないな」と思うと、どこか寂しさがこみ上げてくる。

昔は即レスだった自分が嘘のよう

学生時代や若いころは、スマホの通知が来た瞬間に返していた。「既読ついてるのに返信まだ?」なんて言われたこともあるぐらい、即レス体質だった。それが今では、既読すらつけられずに一日が過ぎる。昔の自分を思い返すたび、「あのときの元気さと余裕はどこにいったのか」と笑ってしまう。でも、それは自分が変わったというより、環境や責任が変わっただけなのかもしれない。

LINEでのやりとりが億劫になってしまった理由

やりとりそのものが嫌になったわけではない。むしろ、返信が遅くなることで相手に申し訳なく思い、それがプレッシャーになってしまう。結果として、LINEを開くこと自体にストレスを感じてしまうようになった。まるで借金を放置してしまっているような、あの心の重み。だからこそ、「ちゃんと返さなきゃ」と思うほど、動けなくなってしまうという悪循環に陥っていた。

返信できない自分を責める夜

寝る前、ふとスマホを見ると、未読のLINEがたまっている。その一つひとつが「返さなきゃ」と心を圧迫してくる。眠い目をこすりながら返信をしようとするが、もう頭も回らず、気の利いた言葉も浮かばない。結局、「明日でいいや」と画面を閉じる。そしてまた翌日も同じことの繰り返し。そんな自分に嫌気がさして、さらに気が重くなっていく。

メッセージ一覧の未読数が心にのしかかる

未読5件、未返信3件、グループLINEの通知15件…。これだけで心がざわつく。通知の数字は、まるで「お前はちゃんと人と関われていないぞ」と指摘されているような感覚になる。けれど、実際には一つひとつに向き合う余裕がないだけ。それでも、無視しているつもりがなくても、時間が経てば経つほど、自分が冷たい人間になってしまったような気がしてしまうのだ。

少しでも“人とのつながり”を保つために

すべてに丁寧に返信できなくても、せめて「生きてるよ」「ちゃんと気にかけてるよ」ということだけでも伝えられたら、相手は安心してくれるかもしれない。仕事に追われる日々の中でも、人とのつながりは失いたくない。だからこそ、自分なりの“工夫”を取り入れることが必要だと思う。

短くても「今、手が離せない」とだけでも返す工夫

「今は返事できないけど、あとでちゃんと読むね」その一言があるだけで、相手の受け取り方は大きく変わる。たった10秒で打てるこの言葉が、どれだけの誤解を防ぎ、どれだけの関係を守ってくれるかを実感する場面もあった。忙しくても、心の余白だけは忘れずにいたい。そのためには、完璧な返信を目指すのではなく、まずは存在を示す一言が大切だ。

気遣いよりも、存在確認のひと言

「ごめんね」「あとでちゃんと返すね」という言葉に、完璧な気遣いは必要ない。むしろ、形式張った文より、素直な「いまバタバタしてるけど、気にかけてるよ」が心に届く。そういうひと言があるだけで、相手は「あ、ちゃんと自分のこと覚えててくれてるんだ」と感じられる。そして、その安心感こそが、関係を切らさずにいられる鍵なのかもしれない。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。