資格を取ったはずなのに、安心できない日々
司法書士になれば、ある程度は将来の安定が約束されている。そう信じて勉強してきたし、合格したときには自分の人生がやっと軌道に乗った気がした。でも、実際に独立してみると、思ったようにはいかない。売上の上下は激しいし、安定とはほど遠い。机に座っている時間より、将来の不安で頭を抱えている時間のほうが長いかもしれない。資格を持っているというだけでは、仕事が自然に舞い込んでくるわけではないのだ。
「食べていける」はずだったけど
開業前、先輩たちは「最初の数年が勝負だ」と言っていた。開業直後は一応、登記や相続案件がぽつぽつと入ってきた。けれど、それがいつまで続くのか、誰にもわからない。商売として成り立つレベルまで持っていくには、自分から営業しなければいけないのが現実だった。私は人と話すのが得意ではないから、飛び込み営業も懇親会も苦手。結果として、ずっと「次の依頼が来るまでの不安」と付き合い続ける日々になった。
開業初年度の売上に感じた恐怖
開業1年目の確定申告で、売上の数字を見たときの感覚は今でも忘れられない。手元に残ったお金よりも、経費の多さと税金の重さに胃がキリキリした。「こんなに働いてこれだけか？」という虚しさと、「これでどう生活していけばいいのか？」という焦り。お金がないと心も荒れるというけれど、それは本当だった。事務所を構えたことすら間違いだったのでは、と自己否定のループに入ってしまった。
ひとり事務所、電話が鳴らない不安
ある日、朝から夕方まで電話もメールも一通も来なかった。それだけで「もうこの事務所、終わりかもしれない」と不安になる。事務員に気を使って平然を装いながら、自分の心はどんどん沈んでいく。静かな時間が怖くて、意味もなくパソコンの前に座り続けていた。「今日はたまたま暇なんだよ」と自分に言い聞かせても、心の奥では「本当にたまたまなのか？」と疑ってしまう。
「このままでいいのか」と毎日問いかけてしまう
何年やっても、この問いだけは消えてくれない。「司法書士という肩書はあるけれど、今のままで本当にいいのか？」。一人で抱える業務、どこまでやっても報われない感覚、人の人生を預かるプレッシャー。周囲からは「安定してていいよね」と言われるたびに、心の中で「そんなことないよ」と呟いてしまう。働き方改革なんてどこ吹く風。結局、自分をすり減らす毎日だ。
業務量と責任が見合わない
不動産登記ひとつとっても、ひとつ間違えば損害賠償。書類の不備、期限の管理、依頼者とのやりとり…。すべてを正確にこなさなければいけないけれど、報酬がそれに見合っているとは思えない。安い報酬で過剰な責任を背負っているという感覚が常につきまとう。ミスは許されないのに、スピードも求められる。まるで綱渡りをしているような感覚で仕事をしている。
時間外の対応が当たり前になっている
営業時間が終わった後でも、携帯には連絡が来る。「ちょっと急ぎなんですが…」「今だけ対応してもらえませんか？」。断ると仕事がなくなるかもしれないという不安があるから、つい引き受けてしまう。結果として、夜10時に法務局のサイトを開いていることも珍しくない。気づけば自分の時間なんてどこにもなくなっていた。
休日のLINE通知にビクつく日常
せっかくの休日、気を抜いているとLINEが鳴る。その音が聞こえた瞬間に背筋がピンと伸びてしまう。「また何かトラブルか？」「急ぎの案件か？」。スマホを確認する手が震えることもある。結局、安心して休める日はほとんどない。LINEの通知を切ればいいと言われるけど、それができないのは、仕事を失うことへの恐怖が根底にあるからだ。
人間関係も、思ったよりしんどい
独立してからというもの、人との距離のとり方が格段に難しくなった。依頼者、関係士業、事務員。どこかで気を使いすぎたり、逆に言葉が足りなかったり…。とにかく人間関係のストレスが地味に効いてくる。ひとりで働いてるようで、実はいつも誰かと関わっている。それが余計に疲労を引き起こす原因になっているのかもしれない。
依頼者との距離感が難しい
依頼者の中には、こちらを「なんでも聞いてくれる便利屋」だと勘違いしている人もいる。雑談混じりの相談が1時間以上続くことも。最初は親身になって聞いていたけれど、こちらの気力も有限だ。「無料相談って、こんなにも消耗するのか」と痛感した。断る勇気がない自分も悪いけれど、結局、優しさが自分の首を絞める。
「ちょっと相談が…」が1時間になる
「簡単な話なんですけど」と言いながらやってくる人ほど、話が長い。しかも、それが本題に入る前の雑談だったりする。途中で遮ると感じが悪くなるし、かといって最後まで聞いていたらこちらの予定がどんどん押していく。気づけば1日が相談だけで終わっていた、なんてことも。時間も気力も、どんどん削られていく。
事務員との関係も気を使いすぎて疲れる
事務員さんはありがたい存在だ。でも、ひとりで雇っているからこそ、気を使う部分も多い。給与や仕事の配分、急な対応を頼むときの申し訳なさ。上下関係というよりは、常に「変な気を使わせていないか」と心配してしまう自分がいる。誰かに任せるというのは、思っていた以上に神経を使うものだと実感している。
感謝されたいけど、距離も置きたい矛盾
「ありがとう」と言われたい。でも、あまり近づきすぎると、公私の境界が曖昧になる。良好な関係を保ちつつ、必要以上に踏み込まない。そのバランスが難しい。仕事だから割り切るべきと思っても、人間同士だから感情は動いてしまう。つくづく、誰かと働くというのは面倒だと感じることがある。
将来のことを考えると、眠れない夜がある
ふと布団に入ったとき、「このままの生活をあと何年続けるのか」と考えてしまう。誰にも相談できないまま、自分の中でぐるぐると不安を回し続ける夜。睡眠不足は翌日のパフォーマンスに直結するとわかっていても、頭の中が静まらない。「司法書士になっても、将来が安泰とは限らない」──そんな現実を毎日突きつけられている。
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資格を取ったはずなのに、安心できない日々
司法書士になれば、ある程度は将来の安定が約束されている。そう信じて勉強してきたし、合格したときには自分の人生がやっと軌道に乗った気がした。でも、実際に独立してみると、思ったようにはいかない。売上の上下は激しいし、安定とはほど遠い。机に座っている時間より、将来の不安で頭を抱えている時間のほうが長いかもしれない。資格を持っているというだけでは、仕事が自然に舞い込んでくるわけではないのだ。
「食べていける」はずだったけど
開業前、先輩たちは「最初の数年が勝負だ」と言っていた。開業直後は一応、登記や相続案件がぽつぽつと入ってきた。けれど、それがいつまで続くのか、誰にもわからない。商売として成り立つレベルまで持っていくには、自分から営業しなければいけないのが現実だった。私は人と話すのが得意ではないから、飛び込み営業も懇親会も苦手。結果として、ずっと「次の依頼が来るまでの不安」と付き合い続ける日々になった。
開業初年度の売上に感じた恐怖
開業1年目の確定申告で、売上の数字を見たときの感覚は今でも忘れられない。手元に残ったお金よりも、経費の多さと税金の重さに胃がキリキリした。「こんなに働いてこれだけか？」という虚しさと、「これでどう生活していけばいいのか？」という焦り。お金がないと心も荒れるというけれど、それは本当だった。事務所を構えたことすら間違いだったのでは、と自己否定のループに入ってしまった。
ひとり事務所、電話が鳴らない不安
ある日、朝から夕方まで電話もメールも一通も来なかった。それだけで「もうこの事務所、終わりかもしれない」と不安になる。事務員に気を使って平然を装いながら、自分の心はどんどん沈んでいく。静かな時間が怖くて、意味もなくパソコンの前に座り続けていた。「今日はたまたま暇なんだよ」と自分に言い聞かせても、心の奥では「本当にたまたまなのか？」と疑ってしまう。
「このままでいいのか」と毎日問いかけてしまう
何年やっても、この問いだけは消えてくれない。「司法書士という肩書はあるけれど、今のままで本当にいいのか？」。一人で抱える業務、どこまでやっても報われない感覚、人の人生を預かるプレッシャー。周囲からは「安定してていいよね」と言われるたびに、心の中で「そんなことないよ」と呟いてしまう。働き方改革なんてどこ吹く風。結局、自分をすり減らす毎日だ。
業務量と責任が見合わない
不動産登記ひとつとっても、ひとつ間違えば損害賠償。書類の不備、期限の管理、依頼者とのやりとり…。すべてを正確にこなさなければいけないけれど、報酬がそれに見合っているとは思えない。安い報酬で過剰な責任を背負っているという感覚が常につきまとう。ミスは許されないのに、スピードも求められる。まるで綱渡りをしているような感覚で仕事をしている。
時間外の対応が当たり前になっている
営業時間が終わった後でも、携帯には連絡が来る。「ちょっと急ぎなんですが…」「今だけ対応してもらえませんか？」。断ると仕事がなくなるかもしれないという不安があるから、つい引き受けてしまう。結果として、夜10時に法務局のサイトを開いていることも珍しくない。気づけば自分の時間なんてどこにもなくなっていた。
休日のLINE通知にビクつく日常
せっかくの休日、気を抜いているとLINEが鳴る。その音が聞こえた瞬間に背筋がピンと伸びてしまう。「また何かトラブルか？」「急ぎの案件か？」。スマホを確認する手が震えることもある。結局、安心して休める日はほとんどない。LINEの通知を切ればいいと言われるけど、それができないのは、仕事を失うことへの恐怖が根底にあるからだ。
人間関係も、思ったよりしんどい
独立してからというもの、人との距離のとり方が格段に難しくなった。依頼者、関係士業、事務員。どこかで気を使いすぎたり、逆に言葉が足りなかったり…。とにかく人間関係のストレスが地味に効いてくる。ひとりで働いてるようで、実はいつも誰かと関わっている。それが余計に疲労を引き起こす原因になっているのかもしれない。
依頼者との距離感が難しい
依頼者の中には、こちらを「なんでも聞いてくれる便利屋」だと勘違いしている人もいる。雑談混じりの相談が1時間以上続くことも。最初は親身になって聞いていたけれど、こちらの気力も有限だ。「無料相談って、こんなにも消耗するのか」と痛感した。断る勇気がない自分も悪いけれど、結局、優しさが自分の首を絞める。
「ちょっと相談が…」が1時間になる
「簡単な話なんですけど」と言いながらやってくる人ほど、話が長い。しかも、それが本題に入る前の雑談だったりする。途中で遮ると感じが悪くなるし、かといって最後まで聞いていたらこちらの予定がどんどん押していく。気づけば1日が相談だけで終わっていた、なんてことも。時間も気力も、どんどん削られていく。
事務員との関係も気を使いすぎて疲れる
事務員さんはありがたい存在だ。でも、ひとりで雇っているからこそ、気を使う部分も多い。給与や仕事の配分、急な対応を頼むときの申し訳なさ。上下関係というよりは、常に「変な気を使わせていないか」と心配してしまう自分がいる。誰かに任せるというのは、思っていた以上に神経を使うものだと実感している。
感謝されたいけど、距離も置きたい矛盾
「ありがとう」と言われたい。でも、あまり近づきすぎると、公私の境界が曖昧になる。良好な関係を保ちつつ、必要以上に踏み込まない。そのバランスが難しい。仕事だから割り切るべきと思っても、人間同士だから感情は動いてしまう。つくづく、誰かと働くというのは面倒だと感じることがある。
将来のことを考えると、眠れない夜がある
ふと布団に入ったとき、「このままの生活をあと何年続けるのか」と考えてしまう。誰にも相談できないまま、自分の中でぐるぐると不安を回し続ける夜。睡眠不足は翌日のパフォーマンスに直結するとわかっていても、頭の中が静まらない。「司法書士になっても、将来が安泰とは限らない」──そんな現実を毎日突きつけられている。
