朝起きた瞬間から感じる「もう無理かも」の気配
目覚ましが鳴った瞬間、心の中に重たい靄が立ち込めるような感覚。身体は布団から出られるのに、心が「今日を始めたくない」とささやいてくる。司法書士という職業柄、いつ何が起こるか分からないという緊張感を常に抱えていて、どれだけ寝てもスッキリすることがない。昔は「よし、今日も頑張るぞ」と思えたのに、今は「なんとか今日を乗り切らなきゃ」と思うだけになってしまった。
身体は動くけど心が動かない
書類の確認、登記の準備、依頼者との打ち合わせ。一つひとつの仕事はこれまで何度もこなしてきたはずなのに、最近は「こなしているだけ」という感覚が拭えない。心が空っぽになっているのに、顔では「大丈夫ですよ」と笑っている。かつては仕事にやりがいを感じていた。でも、いまは惰性で動いているだけのように思える。周囲には「頑張ってますね」と言われるが、その言葉すらプレッシャーになる。
「仕事だから行かなきゃ」と繰り返すだけの朝
「今日休もうかな」とふと頭をよぎっても、結局はスーツに袖を通して事務所へ向かう。仕事は待ってくれないし、誰かが代わってくれるわけでもない。特に地方で独立していると、誰にも甘えられない。自分がやらなければ事務所が止まってしまうから、しんどくても進むしかない。そんな自分に「強いね」と言われることがあるけれど、本当は弱さをごまかしているだけなのかもしれない。
ルーティンが支えているのか、縛っているのか
毎朝のコーヒー、出勤前の散歩、机に向かう前のデスク整理。こうした日課がなければ、今頃どこかで立ち止まっていたかもしれない。でも一方で、このルーティンに縛られている気もする。自由に動いているようで、実は決められたレールの上を走っているだけ。しんどさを感じるのは、そのレールから一歩外れる勇気がないからかもしれない。心のどこかで「もう少し楽に生きてもいいのでは」と問いかけても、答えが出ない。
「しんどい」と言えない仕事の性質
司法書士という職業は、人の悩みやトラブルを扱うのが日常だ。だからこそ、こちらの「しんどさ」は後回しになる。相談者の不安を受け止め、冷静に対応することが求められる。だけど本音を言えば、こちらだっていっぱいいっぱいな時がある。「先生だから安心です」と言われるたびに、自分の内側とのギャップに苦しくなる。
誰かの問題を背負ってしまう職業
例えば相続の案件。家族間の対立や感情のもつれを目の当たりにしながら、それを整理して形にしていくのが私たちの仕事だ。でもその過程で、依頼者の悲しみや怒りがこちらにまで染み込んでくるような感覚になることがある。まるで、感情のゴミ箱になったような気分になる時もある。そんなとき、ふと「自分は誰に吐き出せばいいんだろう」と考えてしまう。
感情労働とわかっていても、逃げ場がない
誰かに頼られるのは光栄なことだ。でも、それが毎日続くと、こちらの心がすり減っていく。笑顔で話を聞き、丁寧に説明し、背中を押してあげる。そうすることで相手の不安が和らぐならと頑張るけれど、仕事が終わって一人になると、どっと疲れが押し寄せる。スマホを見ても、テレビを見ても、気持ちは晴れない。これは「職業病」と言えばそれまでだけど、やっぱりつらい。
「強そうに見えるね」と言われた日ほどしんどい
「先生はいつも落ち着いてるから、羨ましいです」そう言われた日、心の中で「いや、全然余裕なんてないんですけど」とつぶやいた。でも言葉にはできない。それを言ったところで、相手に不安を与えるだけだし、何より自分が弱音を吐いたことで関係性が崩れるのが怖い。だから今日も、強そうな顔をして一日を乗り切る。そんな日々の積み重ねが、しんどさを重たくしていく。
それでも明日も仕事に行く理由
こんなにしんどくて、もうやめたいと思うこともある。でもそれでも朝になると仕事に向かう。自分の事務所、自分の責任、そして何より待ってくれている人がいる。逃げたくなる気持ちと、続けたい気持ちがせめぎ合う中で、今日も「なんとかする」しかない日々。でもたまには、自分のしんどさに耳を傾けてあげたいと思う。
逃げていないんじゃなくて、止まれないだけ
「よく頑張ってますね」と言われても、それは褒め言葉ではなく「止まったら崩れてしまいそうで怖いから動いてるだけなんです」と言いたくなる。頑張ってるというより、頑張るしかない。ただそれだけ。地方で一人でやっていると、代わりもいない、逃げ場もない。しんどくても、手を動かし続けることでしか存在意義を感じられない自分がいる。
小さな希望を抱えることも、つらいときがある
「来週はちょっと楽になるかも」「この案件が終われば少し休める」そんな希望を持ってスケジュールを見るけれど、結局は次の案件が詰まっていて、空白は埋まっていく。希望を持ったぶんだけ、失望も大きい。それでも完全に希望を手放すわけにはいかなくて、ほんの少しの余白を探してしまう。その繰り返しが、また新たなしんどさになる。