寝落ちして朝を迎える日々、それでも締切は待ってくれない

寝落ちして朝を迎える日々、それでも締切は待ってくれない

寝落ちして朝を迎える日々、それでも締切は待ってくれない

気づけばまた机でうたた寝していた。体の右半分が変な角度で固まっていて、腕のしびれとともに目覚める朝。パソコンの画面には途中まで打ったメールの文章が、点滅するカーソルとともに残っている。これがもう日常になってしまった。司法書士という仕事は、思っているよりも「待ったなし」だ。登記の期日、裁判所の提出期限、依頼者からの急な電話。夜になっても終わらない作業に「あと少しだけやってから寝よう」と思いながら、そのまま意識が落ちる。布団に入る時間すら自分でコントロールできない。こんな生活、いつから続いてるんだろう。

気がつけば、机で朝を迎える生活

最初はたまたまの寝落ちだった。夜中に依頼人対応をして、そのまま椅子で居眠り。でもそれが癖になり、今では週の半分以上はベッド以外で朝を迎えている。目が覚めてすぐ、何をしていたのか思い出せないこともある。メールの下書きが空白だったり、ファイルが保存されていなかったり。心がざわざわして、落ち着く暇もないまま朝のルーティンが始まる。着替えて、急いでゴミを出して、事務所を開ける。朝から自分にがっかりしながら、仕事は始まってしまう。

予定していた「やることリスト」は、また翌日へ

TODOリストは埋まらないまま翌日に持ち越される。そのくせ、緊急の対応ばかりが舞い込んで、リストは膨らむ一方だ。たまに「今日は予定通り進んだな」と思う日もあるが、寝落ちしていたり、やり残しが後で発覚したりして、結果的には変わらない。ふと、「俺は何のためにTODOを書いてるんだっけ?」と虚しくなることもある。まるで終わりのない借金を返しているような気分になる。

もう慣れたはずの「寝落ちリズム」が、なぜか毎回悔しい

寝落ちするたび、「またやっちまった」と思う。でももう何度も繰り返しているのに、そのたびに情けなさと悔しさが押し寄せてくる。ベッドに入ってちゃんと眠れば、回復するのも早いことは分かっているのに、それすらできない自分。目覚ましもかけずに机で寝てしまった日は、朝の時間が壊滅する。焦りと自己嫌悪から1日が始まる。いい加減慣れてもいいのに、やっぱりこの悔しさは消えない。

疲れてるのに寝るのが下手な大人になってしまった

昔は寝るのなんて簡単だった。布団に入ればすぐ眠れて、朝はすっきり目が覚めていた。でも今は違う。疲れているのに、目と頭はギラついている。今日の依頼のこと、明日の準備のこと、終わらなかった業務のこと。ひとつひとつが眠りを邪魔してくる。だからこそ、気づいたら寝ていた――という寝落ちに、逆に安心することすらある。

「寝る」という行為すら、仕事の一部に感じてしまう夜

司法書士の仕事は、人の権利や財産に関わる分、責任が重い。ミスが許されないから、睡眠で頭をリセットすることも、もはや「業務の一部」になっている気がする。だから本当は、布団に入ってしっかり睡眠をとるべきなのに、「その時間さえ惜しい」と思ってしまう。結果的に寝落ちしてしまい、もっと非効率な状態になるのに、だ。

睡眠は休息じゃない、現実逃避だった

最近ふと思った。自分にとって睡眠は「疲れを取るための手段」ではなく、「今から逃げるための唯一の方法」になってるんじゃないかと。考えることが多すぎて、整理するのも億劫で、頭を空っぽにできる手段が寝ることしか残っていない。それが机の上だろうがソファだろうが、眠れるならそれでいい…そう思ってしまう日々は、正直つらい。

独立してわかった、眠る自由と眠れぬ責任

独立した当初、「これで自由に働ける」と思っていた。でもその自由には「すべて自分の責任で回す」という覚悟がセットでついてくる。眠る時間も、誰かが保証してくれるわけじゃない。むしろ、眠ってる間に何か問題が起きたらすべて自分の責任になる。だから眠れない、もしくは安心して眠れない。寝落ちの背景には、そんな緊張感がある。

「自由業=自由に寝られる」なんて幻想だった

独立前は、自由業に対して勝手なイメージを持っていた。好きな時間に仕事して、好きな時間に寝る。だけど現実は、「時間を自由に決められる」どころか、「誰にも決めてもらえない」という孤独との戦いだった。誰にも文句を言われない代わりに、誰も助けてはくれない。気が抜けない日々に、まともな睡眠は贅沢品だ。

顧客対応に終わりはない。眠気はあっても仕事は終わらない

依頼者からのLINEが夜10時に来る。もちろん緊急じゃない。でも「既読」がついてしまったら最後、返事を返さなきゃという義務感に駆られる。電話じゃなくても、常に何かに追われている感覚。だから仕事を切り上げるタイミングがなく、眠気に負けてそのまま寝落ち――の流れになる。

うっかり返し忘れたメールに朝から冷や汗

寝落ちした夜の翌朝、一番怖いのは未送信のメール。とくに役所や法務局に対する返信を忘れていたときなんかは、朝から冷や汗が止まらない。何か重大なトラブルになっていないかとスマホを握りしめる時間は、まさに胃が締めつけられる思いだ。寝る前の記憶が曖昧だと、余計に自分を信用できなくなる。

事務員さんに迷惑かけたくないから、自分で抱え込む癖

うちの事務所には事務員さんが一人いる。真面目で、よく気がつく方だ。でもその分、「無理させたくない」という気持ちが強くて、つい自分で抱え込みすぎる。結局、自分が遅くまで残って仕事を処理する。そして、そのまま寝落ち。効率悪いのは分かってる。でも、これが性分なんだ。

「任せるのが怖い」けど、「頼れない自分」も情けない

過去に「これお願いできますか?」と軽く頼んだだけで、思ったより重かったらしく事務員さんを疲れさせてしまったことがある。それ以来、何かを任せるたびに「大丈夫かな?」と気になってしまう。任せられない自分も不器用だし、頼らないことで自分の首を絞めてるのもわかってる。でも、「また寝落ち」する日々は、そんな弱さの積み重ねでもある。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。