誰かに会いたいと思っても、現実はそう甘くない
人に会いたいと思う気持ちは、ふとした瞬間に胸を締めつけるように湧いてきます。でも現実は、そんな感情だけでは動けない。私は地方で司法書士をしていて、毎日が業務に追われる日々です。朝から晩まで書類、登記、電話、打ち合わせ…気づけば一日が終わっています。「あの人、元気かな」「ちょっと会いたいな」と思っても、行動に移す余裕がないのです。そしてそのうち、その気持ちすら押し込めてしまう。そんなことが、もう何年も続いています。
日常業務に追われる日々
司法書士の仕事は、見た目ほど静かじゃありません。毎日のように新しい案件が舞い込んできて、期限に追われ、クライアント対応に追われ、事務員さんに説明する時間もろくに取れず、いつも「あとでやろう」が山積みに。そんな日々の中で、誰かと会う約束なんて、まるで別世界の話です。昔の友人から「たまには会おうよ」と言われても、「ごめん、ちょっと今忙しくて…」としか返せない。それが続くと、声もかからなくなってしまいます。
スケジュールが真っ黒なカレンダー
Googleカレンダーを見ると、自分でも引くくらい予定が埋まっています。打ち合わせや役所との調整、クライアントとの面談、期日管理…。空いている時間を見つけて「ここなら会えるかも」と思っても、いざその時が来ると別の業務が割り込んでくる。空白の時間は、ただの「予備」に過ぎないのです。だからこそ、誰かに会うための時間なんて、自分で意識的に作らない限り、ずっと訪れません。
「ちょっとくらい時間あるだろ」と言われても
「そんなに忙しいわけないでしょ」「ちょっとくらい顔出せるでしょ」と言われることもあります。正直、ぐさっと刺さります。確かに、10分ならあるかもしれない。でもその10分すら、頭の中は次の案件でいっぱいなんです。話を聞き流してしまうのが怖い。だったら最初から会わない方がいい、と考えてしまう。結果的に、自分の方から距離を取ってしまうことも多いんです。
連絡ひとつ返すのも後回しになる現実
LINEが来ているのはわかってる。けど、開いて既読つけるのが怖い。返事をすぐに返せないときは、開かずに放置してしまう癖がついてしまいました。何日も後になってから「今さら返すのも…」と悩んで、結局そのままになる。自分から関係を断ち切ってるようで、自己嫌悪になります。でも、そんな自分を変える余裕すらない。それが現実です。
「また今度」が永遠に来ない感覚
「また今度ね」って、便利な言葉ですよね。断るときに罪悪感を和らげてくれる魔法の言葉。でも、その「今度」がいつ来るのか、実際には決まっていない。数ヶ月があっという間に過ぎ、気づいたら一年経ってる。もう会う理由もタイミングも見つからない。気がつけば「会いたい人リスト」がどんどん過去に置き去りになっていく感覚。自分が寂しいだけなのに、それをどう表現していいかも分からない。
忙しさにかまけた言い訳
「仕事が忙しくて」という言い訳は、ある意味で便利です。本当に忙しいから、誰にも責められない。でも、その裏には本当は会いたい気持ちが隠れている。言い訳の鎧を着ることで、自分の感情まで封じ込めてしまうんです。「今は余裕ないから仕方ない」と自分に言い聞かせているうちに、気持ちの温度も少しずつ冷めてしまう。これは自分の経験でもあります。
自分が後回しにしていることへの後悔
年末になると、「あの人、元気にしてるかな…」とふと考えることがあります。学生時代の友人、昔の職場の先輩、もう会わなくなった家族。ふと連絡しようと思っても、なぜか手が止まる。気まずさや、空白の時間への申し訳なさが邪魔をするんです。そうして連絡しないまま、年が明け、また新しい忙しさがやってきて、結局何も変わらない。この繰り返しに、後悔ばかりが積もっていきます。
孤独と向き合う静かな時間
夜、事務所にひとり残っていると、ふとした瞬間に寂しさが押し寄せてきます。昼間は仕事に追われて気づかないけど、静まり返った時間にぽっかり空いた心の穴に気づくことがある。忙しさが、寂しさを隠すための道具になっている。そんな風に感じる夜が、実は月に何度もあるんです。
事務所でひとり、ふと思い出す人の顔
誰かの誕生日や、昔の写真を見たとき、不意に思い出す顔があります。「今、どうしてるんだろうな」「ちゃんと笑ってるかな」って。でも、連絡する勇気は出ない。何を話せばいいかもわからないし、「なんで今さら?」って思われるのも怖い。そんな感情を抱えて、ただ椅子に座ったまま動けなくなる。ひとりでいるからこそ、余計に感情があふれてくるんです。
ふとした瞬間に込み上げる懐かしさ
コンビニで見かけた懐かしいお菓子、昔一緒に行った場所のテレビ番組、似た声の人を街で聞いたとき。そんな些細なことが、いきなり心を揺さぶってくる。懐かしさは温かくもあり、同時に痛みを伴う感情です。あの頃は笑ってたな、バカな話もしたな、そんなことを思い出しては、今とのギャップに胸がきゅっと締め付けられる。けれど、それを誰かと共有することもできない。結局、ひとりで消化するしかないんです。
電話一本すらためらってしまう理由
「電話してみたら?」って簡単に言われるけど、その一歩がとても遠い。自分の声が相手にどう届くか、どんな反応が返ってくるか、それを考えると怖くて動けない。昔の関係が壊れるのが嫌なんです。無視されたらどうしよう、気まずくなったらどうしよう。そんなことばかり考えてしまう自分が情けない。だけど、それが今の正直な気持ちです。