「司法書士って楽そうですね」って言われた日

また言われた、「楽そうですね」のひと言に

司法書士という肩書だけで「ラクそう」だと思われることが多い。でも実際は、深夜に一人で登記ミスのチェックをしているとき、何度も「誰がこの仕事を“楽”って言った？」と呟いてしまう。事務員一人と回す地方の事務所では、全方位からのプレッシャーが日常。外からは見えない“目に見えない忙しさ”があるんだ。

依頼者の期待と「間違えられない仕事」

期待されているのはわかる。でもそれと同時に、少しの記載ミスが裁判沙汰にもつながるという緊張感。司法書士の仕事って、思った以上に繊細で、孤独な戦いなんです。

誰にも相談できないミスの重さ

「あ、これやっちゃったかも…」って時、深夜に独り机に突っ伏す。事務員には話せない。友達もいない。ミスと向き合うのは、いつだって自分しかいない。

地方事務所のリアル、都会とは違う

大きなビルの一角じゃなくて、うちの事務所は田んぼの隣。毎日おばあちゃんの相続と、農地の名義変更と、銀行からの電話に追われている。都会のスマートなイメージとは正反対。

事務員さんは神。でも限界もある

ありがたいことに優秀な事務員が一人。でも彼女だって人間。全部を任せきるわけにもいかない。気を抜くと、自分の確認ミスで全てが台無しになることもある。

猫の手も借りたい。でも雇えない

正直、もう一人欲しい。けど地方の事務所じゃ給料も限られる。求人出しても来ない。だったら俺が全部やるしかない、ってなって…また疲れる。

missing valueという言葉が刺さる理由

司法書士の仕事において、missing value（抜け漏れ）は命取り。でも最近、自分の生活や心にも「欠け」があると感じる。何か大事なものを置いてきたような気がしてならない。

書類は完璧、でも心はボロボロ

完璧な書類を作るために、何度も何度も見直す。でも、自分の心や体にはそんなに丁寧に向き合ってない。だからか、ふとした瞬間に涙が出そうになるんですよね。

missingなのは「話せる相手」

恋人もいないし、同業者の友人も少ない。SNSも疲れた。誰かと「わかるよ」と言い合いたいけど、その誰かが見つからないまま、今日も夜が来る。

「楽そうですね」に返せなかった言葉

あのとき、「いや、結構大変なんですよ」って言えたらよかった。でも笑ってごまかすしかできなかった自分に、後で情けなさがこみ上げた。

共感されにくい「地味な大変さ」

派手じゃない。感動もない。毎日書類と戦うだけの地味な仕事。でも、そこに命を削っている人間がいるってこと、少しでも伝わればと思っている。

それでも辞めなかった理由

何度も「辞めよう」と思った。独身で、モテなくて、孤独で。でもこの仕事がなかったら、自分には何も残らない気がする。だから、今日も机に向かっている。

今、この記事を読んでるあなたへ

司法書士に限らず、どんな仕事も「楽そう」に見えることはある。でも、ほんとはみんなギリギリで頑張ってる。だから、疲れてるのは自分だけじゃないと信じて、今日もやっていこう。