正直、しんどい。でも辞める勇気もない。――司法書士の本音、聞いてくれる?

正直、しんどい。でも辞める勇気もない。――司法書士の本音、聞いてくれる?

朝、目覚ましに起こされるたび「まだ生きてたか」と思う

朝が来るのが怖い、なんて思っていたのは昔の話。今は、朝になること自体に何の感情も湧かなくなった。ただ、目覚ましが鳴ると「まだ仕事の日か」とため息が出る。司法書士としての毎日は、基本的にトラブルとプレッシャーと、わずかな成功体験の繰り返し。その中で「今日もなんとかなる」と自分に言い聞かせながら、また机に向かう。

ベッドの中で繰り返す「今日こそ休もうかな」

スマホのアラームを止めてからが長い。枕に顔を埋めたまま「今日はもう無理かもしれん」と本気で思う。でも、休んだって結局気持ちは休まらない。通帳残高やら未処理の書類やらが脳裏をチラつく。誰にも会わず寝ていたい。でも、そうしてる自分を想像すると罪悪感でさらにしんどくなる。

それでも這うように出所するルーティン

結局、着替えて、歯磨きして、カバン持って車に乗っている。途中のコンビニでホットコーヒーを買うのがルーティン。レジの「温めますか?」の声に、うっかり「はい」と返すと「いやコーヒーやし…」と小さくツッコむ。たったそれだけのことで「俺まだ壊れてない」と思いたい。

たった一人の事務員に「今日もお願い」が言えない日

事務所に着くと、事務員さんが出迎えてくれる。でも「おはようございます」すら、しんどい日がある。「今日もお願いします」と言いたいけど、口が動かない。悪いのは全部自分。疲れてるだけ。でもそんな日が週に3回ある。たぶんそのうち辞められる気がして、こわい。

「先生」って呼ばれるたび、演じてる感じがする

「先生、ありがとうございます」って言われるたび、自分の中の“司法書士役”が反応する。本当の自分がそこにいない感じ。演じてる感覚。感謝の言葉はうれしい。でも、自分が本当にその言葉に値するのか?と疑ってしまう。

頼られるのは嫌じゃない、でも正直重たい

依頼者は困ってる。だからこそ頼ってくる。その気持ちはわかる。でも「これ先生にしか頼めません」なんて言われたら、「え、ほんまに俺で大丈夫?」って不安が先に来る。誰も言わないけど、司法書士だって間違う。人間やし。

専門家なのに、心はど素人

登記の知識や書類作成のノウハウはある。でも、人の人生に踏み込むと、急に素人になる。相続とか離婚とか、依頼者が抱える感情の渦に巻き込まれて、言葉を選べなくなる。専門家ってなんなんやろなって、たまに本気で考える。

強く見せてるだけの自分に、気づいてる

「大丈夫です、やっておきます」って口にするたび、自分を騙してる。強がってるのも、慣れてしまってるけど、たぶん全部バレてる。事務員にも、たまに来る業者にも、「この人、無理してるな」って思われてる気がしてならない。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。