地方で司法書士をやってるということ
地方で司法書士をやっていると、都会とはまったく違う風景が広がっています。派手さはなく、地味でコツコツとした仕事が中心。地域の人との距離が近いぶん、信頼されるとやりがいもある反面、気苦労も多いです。なにしろ一度ミスれば、あっという間に「〇〇町のあの司法書士はダメだ」という噂が広がる土地柄。そんな中で、日々プレッシャーと向き合いながら仕事をしています。
都会の同業者と比べてしまう日々
たまに東京の司法書士と話すと、どうしても羨ましくなってしまいます。「月商○○万円」だとか「メディア出演」だとか。こっちは田んぼと畑に囲まれて、農地の名義変更に追われる日々。SNSでバズっている同業者の投稿を見て、自分の地味な日常が情けなくなることもあります。でも、そんな自分の仕事にも地域の役に立っている実感は確かにあるんです。
「顔が利く」のは良し悪し
この業界、というよりこの地域では「顔が利く」ことがとても大きな力になります。役所に行けば名前を覚えてもらえていて、話がスムーズに進むこともある。でもその一方で、プライベートも仕事も境目がなくなる。コンビニで買い物してたら「登記、どうなった?」と聞かれたり、休日に道端で相談を受けたり。正直、疲れます。知られすぎるって、自由がなくなりますね。
朝から晩まで、机に縛られて
一日中パソコンの前に座って、書類とにらめっこ。これが司法書士の日常です。登記申請も相続も、ミスが許されない世界。とにかく細かいチェックの連続。気づけば背中は丸まり、目はシパシパ。とても「士業」と呼ばれるような華やかさはありません。ミスひとつで大問題。寝る前に「あれ、あの添付書類…間違ってなかったか?」と不安になる日もあります。
電話対応が地味に一番きつい
事務所の電話が鳴るたびに、心がすり減っていきます。登記の流れを一から十まで説明しても「意味わかんないんだけど」と切られたり、「とにかく急いで」と無茶ぶりされたり。中には、何度も同じ質問をしてくる方もいて、こちらが混乱してしまうことも。AI時代になっても、説明するのは人間。精神的な疲労がじわじわと積もっていくんです。
お客様じゃなくて、役所が一番の敵
本当の敵は、実は役所かもしれません。提出書類の不備で補正通知が来るのは日常茶飯事ですが、その理由が理不尽なことも多い。「様式が少し違う」とか、「前はOKだったのに今回はNG」とか。こっちが確認しても「前任者とルールが違ってて」とかで済まされる。たまに、「嫌がらせかな」と思うことも。仕事のやる気を根こそぎ奪ってくる存在です。
補正通知という名の嫌がらせ?
補正通知が届くたびに、心が折れそうになります。ちゃんと調べて、丁寧に作ったはずなのに…。「補正」と言いつつ、実際はもう一度最初からやり直すレベルの修正が必要だったりして、「またか…」と机に突っ伏したくなる。しかも期限は短い。お客さんにも謝らないといけない。なんで自分が謝らなきゃいけないんだろうって、落ち込むこともしばしばです。
事務員さんがいてくれて、なんとか回ってる
たったひとりの事務員さんですが、いなかったら事務所は回りません。電話対応、郵送、ちょっとした入力作業まで、細かいことをすべてこなしてくれています。正直、頭が上がりません。でも、こちらも忙しすぎて余裕がないとき、つい言葉がきつくなってしまうこともある。後から反省して、差し入れのコーヒーを買って帰る…そんな日常です。
感謝してるけど、気も使う
感謝しているのは本当なんです。でも、同じ空間にふたりきりだからこそ、距離感が難しい。上司と部下というより、家族に近い距離感。でも家族じゃないから、ちょっとしたことも気を遣う。疲れている時に無言で過ごすと「機嫌悪いのかな」と思わせてしまうし、逆に元気すぎても「うるさい」と思われないか気になる。妙に気を遣ってしまいます。
「こんなことで悩むなんて」と思われそうで相談できない
自分が抱えている悩みって、たぶん他人からしたら「小さなこと」なのかもしれません。でも、それを吐き出せる相手がなかなかいない。事務員さんにすら言えない。「そんなこと?」って思われたらどうしようって考えると、つい自分の中でぐるぐると抱え込んでしまう。そんなふうに悩みをためて、週末にひとりで飲みに行って、誰とも話さずに帰ってくる…そんな週もあります。
独身司法書士の寂しさと自由
独身であることには、寂しさと自由の両方があります。誰にも邪魔されず、好きな時間に仕事をして、好きな時間に寝られる。でも、ふとした瞬間に感じる孤独。夕飯をコンビニで買って帰るとき、「今日一日、誰ともちゃんと話してないな」なんて気づいて、急に胸が苦しくなったりするんです。
婚活とか無理ゲーすぎる
婚活なんて、正直やってられません。まず時間がない。土日もお客さんの都合に合わせて仕事をすることが多く、予定を入れる余裕がない。かといって、平日に出会いがあるかというと、ゼロ。アプリもやってみましたが、「士業=堅苦しそう」と敬遠される。そもそも、疲れていると誰かと話す元気すら出ない。気がつけば、出会いは遠い記憶になってました。
だけど自由であることの意味もある
とはいえ、独身であることで得られる自由も大きいです。夜遅くまで仕事しても文句を言う人はいないし、事務所に泊まって作業する日もあります。誰にも気を遣わずに生きられるというのは、それはそれで大きなメリット。自分の好きなように仕事を組み立てられるから、仕事に集中できる環境は悪くないのかもしれません。
「やりがい」って、ほんとにあるの?
司法書士という仕事に「やりがい」があるのか…正直に言えば、日によります。機械的にこなしていると感じる日もあれば、「ありがとう」と言われて救われる瞬間もある。その波が激しすぎて、「向いてるのかな」と不安になることも多い。でも、辞めようと思わないのは、どこかで誇りを持っているからなのかもしれません。
感謝の言葉に救われる瞬間
「本当に助かりました」と言ってもらえるとき、それまでの苦労が報われた気がします。書類作成、役所とのやり取り、何度も確認作業を重ねてきたことが、すべて「この一言」で昇華される。人の人生の一場面に関われたという実感が、また次の仕事への力になります。だからこそ、この仕事を続けていけるんでしょうね。
でも現実は手続きマシーン
とはいえ、毎日が感謝の嵐というわけじゃありません。むしろ大半は、「書類まだ?」とか「もっと早くできないの?」と急かされる日々。気持ちはわかるけど、こちらだって人間。機械じゃない。でも相手からすれば、こっちはただの「登記屋」。「心がこもってなくても正確に処理してくれればいい」そんな雰囲気を感じることもあります。
他の司法書士さんたちに伝えたいこと
この記事を読んでくれている司法書士さん、あるいは目指している方に伝えたいのは、「悩んで当たり前」ということです。自分ひとりが辛いわけじゃないし、むしろ苦しんでる人のほうが多いと思います。SNSには「順調な成功者」ばかりが映りますが、裏で泣いてる人もいます。だから、今がしんどくても、自分を責めないでほしい。それだけです。
「辞めたい」って思っても、普通です
僕自身、月に1回は「辞めたい」と思っています。朝起きて「またあの案件やらなきゃいけないのか…」と布団から出たくなくなる日もあります。でも、そういう日は誰にでもある。むしろ、そんな気持ちを持てるからこそ、真剣に仕事に向き合ってる証拠じゃないでしょうか。無理せず、続けていける形を探していきましょう。
自分だけじゃないってことを知ってほしい
司法書士の仕事は、孤独です。事務所にひとり、責任を背負って、誰にも弱音を吐けずに過ごすこともある。でも、そんな人が他にもたくさんいるんです。僕もそのひとり。だからこそ、この記事を書きました。もし、少しでも共感してもらえたなら、それだけで救われます。そして、あなたも誰かを救える存在です。無理せず、少しずつ、進んでいきましょう。