またひとつ、学びました(しんどい)

またひとつ、学びました(しんどい)

またやってしまった…小さな失敗が心に刺さる

司法書士という仕事は、一つひとつの判断が結果に直結します。だからこそ、小さなミスも心に重くのしかかります。先日も、依頼者との打ち合わせの中で重要な確認事項を聞き漏らしてしまい、後日大きな手戻りが発生しました。たった一言を聞き返していれば…と思っても、時すでに遅し。事務所に戻ってからその場面を何度も思い出しては、自分を責める日々。そんなことの繰り返しです。

依頼者とのすれ違いから学んだ「聞き返す勇気」

そのときの依頼者は高齢の方で、口調もゆっくり、話し方も独特でした。聞き取りにくい部分もありましたが、「まあ大丈夫だろう」とスルーしたのが運の尽き。結果的に、本来相続人に含まれない人を含めたまま申請準備を進めてしまい、全部やり直しになりました。申し訳なさと情けなさでいっぱいに。あのとき、「もう一度伺ってもいいですか?」と一言さえ言えていれば…。勇気を出して聞き返すこと、それがどれほど大事か、身をもって痛感しました。

あいまいな返事が命取りになる現場

この仕事、曖昧なままで進めると必ずどこかで破綻します。依頼者が「たしか◯◯だったと思う」と言えば、「そうなんですね」とそのまま受け取ってしまいたくなるのが人情。でも、それではダメだというのが司法書士の世界。ひとつの不確かな情報が、登記全体の根拠を崩壊させる危険を孕んでいます。なのに、つい「はい」と返事をしてしまう自分。優しさと曖昧さは紙一重だと、つくづく思い知らされます。

「わかったつもり」が積もると大事故になる

「なんとなく理解したつもり」で進めることの怖さを、身にしみて感じています。最初は小さなボタンの掛け違いが、最後には大きな事故になる。過去に、一度の「うっかり」で管轄の法務局に大迷惑をかけてしまったこともありました。電話越しに「何度も同じこと言ってますよね?」と冷たく言われたあの日。思い出すだけで胃が痛みます。だからこそ、「つもり」で進めない、これが今の自分の戒めになっています。

書類の不備に気づくのはいつもギリギリ

なんでいつも、最後の最後に気づくんでしょうか。「あれ?」と思って見返した瞬間、背筋が凍る。封筒に詰める前にもう一度見直して本当によかった…そんな経験が、数え切れないほどあります。なのに、繰り返す。毎回「次はちゃんと確認しよう」と思うのに、バタバタした日常に埋もれて忘れる。自分が嫌になる瞬間です。

完璧を目指すからこそ、見落としが怖い

司法書士って、どこかで完璧主義なところがあります。いや、完璧を求められる仕事とも言えるでしょう。でも、完璧を求めれば求めるほど、ひとつのミスが致命傷になります。矛盾してますよね。完璧にやろうとすればするほど、神経がすり減って、かえって見落とす。それでも、完璧を目指さないわけにもいかない。そんな板挟みの毎日です。

確認しても不安になる、それが現場のリアル

何度確認しても、「本当に大丈夫か?」という不安が残ります。朝に見直してOKだった書類を、夕方もう一度見て「やっぱり変だ」と気づくこともあります。それって結局、集中できていない証拠かもしれません。けれど、集中できないほどの案件数が机の上に並んでいるのもまた現実。安心できる日は、年に何日あるでしょうか。

「もう限界かも」ってつぶやく昼下がり

毎日、黙って仕事をしていると、ふと「もう無理かも…」とつぶやいてしまう瞬間があります。誰に聞かれるでもない、独り言。でも、それが本音。疲れと焦りと孤独が重なった昼下がり、コーヒーを飲みながら呆然としたまま時間が過ぎていく。そんな日が、月に何度かはあります。

1人しかいない事務員との連携ミス

事務員は1人。彼女も精一杯頑張ってくれてるのはわかってます。でも、忙しさに追われると、連携がうまくいかなくなることもあります。ちょっとした伝達ミスが原因で、登記内容に食い違いが出たことも。お互い悪気がないのに、なぜかギクシャクしてしまう。それがまたしんどいんです。信頼関係って、こういう日々の積み重ねがあってこそだなと、身にしみて感じています。

任せたいけど任せきれない自分との葛藤

正直、もっと任せたいと思ってるんです。でも、これまでの失敗がトラウマになっていて、つい手を出してしまう。結果、余計に自分の負担が増えて、イライラしてしまう。そんな自分にまた自己嫌悪。任せることと、責任を持つこと。そのバランスが、いつまで経っても掴めないままです。

それでも、またひとつ学んだと思いたい

失敗するたびに、「またひとつ学んだ」と言い聞かせています。本当は、そんなにポジティブじゃないんですけどね。でも、そう思わなきゃやってられない。今日の失敗が、明日の安心につながれば。それだけを支えに、明日もまた机に向かう自分がいます。しんどいけど、それが今の自分の生き方なのかもしれません。

失敗に意味を見出すことでしか救われない

たとえ誰にも褒められなくても、どこかで「この失敗にも意味があった」と思えれば、少しだけ心が軽くなります。成功の裏には、数えきれない失敗がある。誰かが言ってたその言葉に、すがるような気持ちで今日も働いています。しんどいけれど、またひとつ、学びました。

同じことを繰り返さないために

この仕事を続けていくためには、同じ失敗を繰り返さないよう努力するしかありません。でも、疲れているとどうしても油断してしまう。だからこそ、自分のルールや仕組みを作ることにしています。チェックリストやダブルチェック。面倒だけど、それが自分を守る唯一の手段だと信じて。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。