それでも明日も仕事です

それでも明日も仕事です

それでも明日も仕事です

朝起きた瞬間から、すでに心が「もう帰りたい」と言っている。そんな日が続いています。仕事が嫌いなわけじゃない。むしろ、司法書士という職業にはそれなりの誇りを持っているつもりです。それでも、です。体は正直で、心はもっと正直で、ため息をつきながら今日を始め、そしてまた明日も仕事が待っているという現実に、どうしても気持ちが沈むのです。逃げ出すほどの勇気もなければ、立ち向かうだけの元気も残っていない。そんな曖昧な場所に立ち尽くしながら、それでも明日も仕事です。

忙しさに慣れても心は慣れない

司法書士という仕事に就いて20年以上、スケジュールがパンパンなのは慣れたものです。でも、慣れたというのは体の話で、心はいつまでたっても慣れません。忙しい日々のなかで、ほんの少しの空白があるだけで心が崩れてしまいそうになる。それくらい、今の働き方はギリギリです。昔は、忙しいのがかっこいいと思っていました。人に頼られるのが嬉しくて、頼られるほどに自分を追い込んでしまっていた。今思えば、それが慢性的な心の疲れの原因だったのかもしれません。

書類の山と電話の音が作る無限ループ

一つ片付けても、また一つ増える書類。そして電話が鳴れば、作業は中断され、頭の中の段取りもすべて崩れていく。そんな毎日です。誰かに頼れればいいのだけれど、事務所には私と事務員さんだけ。電話に出るタイミング一つ間違えるだけで、一日が崩壊してしまうこともあります。とくに登記の期限が迫っているときなどは、集中力を切らすのが命取り。だけど、集中なんてできるはずがないんですよ。現実の業務は、理想の「段取り」とは程遠いです。

一人で回す事務所の限界点

東京の事務所みたいに人が多ければ、分担もできるし、余裕も生まれるのでしょう。でも、田舎ではそうもいかない。人を増やしたくても、仕事量と報酬のバランスを考えると、それも難しい。結果的に、私と事務員さんだけで回す日々が続きます。誰かが風邪をひいたらアウト。私が休むわけにもいかない。代わりがいない世界で、どれだけ自分をすり減らしているか、わかってくれる人がどれほどいるだろうか。

今日もどこかで誰かが待っている

依頼者からの相談は、こちらの都合なんておかまいなしです。土曜日だろうが日曜だろうが、電話は鳴ります。「急ぎなんですけど…」と言われれば、断りきれず引き受けてしまうこともしばしば。でも、困っている人を放っておけない性分なんです。そういう意味では、向いていないのかもしれません。ビジネスライクに割り切れる人なら、もっと要領よくやれるのでしょうが、私はどうしても人情に引っ張られてしまうんです。

依頼者の期待とこちらの現実

「先生にお願いすれば大丈夫と思って」と言われるたびに、プレッシャーがのしかかってきます。確かに期待されるのはありがたい。でも、その言葉の裏には、結果を出す責任があるわけで、自分の体調や精神状態に関係なく、完璧を求められてしまう現実があります。最近では、電話のコール音にすらビクッとしてしまう。休んでいても、スマホが鳴るだけで現実に引き戻される。期待に応えるのは、決して楽なことじゃありません。

できることとできないことの狭間で

登記の期限、書類の不備、相手方とのやりとり…どれも一つ間違えればトラブルに発展します。自分としては全力で取り組んでも、相手の事情や制度の壁にぶつかって「できないこと」がどうしても出てくる。そのたびに自己嫌悪です。「もっと早く対応していれば」「こう言えばよかったかもしれない」と、反省のループに入って眠れない夜もあります。司法書士の仕事は、完璧じゃない自分を受け入れられない人には、本当に辛い仕事です。

元野球部の体力でなんとかなると思っていた

高校時代は野球部で、真夏の炎天下でも平気でグラウンドを走り回っていました。その頃の「体力の貯金」でなんとかなると思っていたんです。でも、45歳を過ぎると、さすがに無理がきかなくなってきます。肩こり、腰痛、目の疲れ…一つ一つは大したことがなくても、積み重なると集中力にも響いてきます。若い頃のように、「疲れたら寝れば回復する」なんて時代は、もう過ぎたんですね。

気力よりも根性が尽きてくる年齢

「あと一踏ん張り!」が効かなくなってきました。昔なら終電まで仕事しても平気だったのに、今は夜の9時を過ぎると頭がまわりません。気力を振り絞るのではなく、どう無理せず続けるかを考えるようになりました。だけど、それは甘えなんじゃないかと自分を責めてしまうこともあります。司法書士としての責任感と、衰えていく体力。そのギャップに悩む日々です。

肩は壊れても心までは壊したくない

部活のときに肩を壊して以来、左肩にはずっと違和感があります。でも、それ以上に壊れたくないのが心のほうです。メンタルが折れたら、この仕事は続けられません。だから最近は、できるだけ小さな「楽しいこと」を見つけるようにしています。コンビニスイーツを買って帰るとか、好きなラジオを流しながら仕事をするとか、ほんの少しでも自分を甘やかすことで、なんとか持ちこたえています。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。