「また小さくなってますよ」って言われる日々〜職業病で字がどんどん細かくなる悲喜こもごも〜

「また小さくなってますよ」って言われる日々〜職業病で字がどんどん細かくなる悲喜こもごも〜

気づけば文字がどんどん小さくなっていく日常

書いているときは自分では気づかないんです。むしろ「きれいに、読みやすく」と思って集中しているつもりなんです。でも、ふと横から覗き込まれて「先生、また字が小さくなってますよ」と言われるたびに、ああ、またかと。我ながら呆れます。書類の隅、メモの余白、封筒の空いたスペース…どこでもとにかく細かく書いてしまう。司法書士という職業のせいにしたいけど、単なる老眼対策の逆をいってるだけかもしれません。

本人は丁寧に書いているつもりなのに

「字、読めますか?」と聞くと、事務員が気まずそうに笑う。それもそのはず、2ミリぐらいの小さな文字で住所をびっしり書いているわけです。特に登記簿や議事録を手書きで下書きするとき、余白がもったいなくてつい詰め込む癖が出る。本人はそのつもりはまったくないのに、「丁寧」と「小さすぎ」は隣り合わせのようで、どうしても筆が細くなるんです。

「読めないです」と言われて気づく落とし穴

何度も経験しました。自分では「完璧なメモだ」と思って書いた文書を、他人に渡した瞬間に「これ、なんて書いてあるんですか?」と聞かれるパターン。特に急いでるときに限って起こります。慌てて書く→字が細かくなる→結果読めない、の悪循環。しかも、字が小さいと誤字にも気づきにくい。後から読み返して「え、これ自分で書いたのか?」ってなると、なんとも言えない情けなさに襲われます。

事務員に渡したメモが2回戻ってくる悲しみ

「先生、これって“イ”ですか?“ニ”ですか?」という問い合わせが1回ならまだしも、2回も返ってくるとさすがに凹みます。単に自分の字が小さいせいなんですよ。読めないのは相手のせいじゃない。だから最近は太字のサインペンに替えてみたり、書く前に深呼吸して「大きく書け」と自分に言い聞かせたりしてます。…でも、たぶんまた明日も細く書いてしまうんですけどね。

なぜ司法書士は文字が細かくなっていくのか

これはもう「クセ」なんでしょうね。長年、書類を作る仕事に追われ続けていると、1枚の紙にいかに多くの情報を詰め込めるかを無意識に考えるようになります。特に手書き文化がまだ根強いこの業界では、細かく丁寧にが美徳とされる節もあり、自然と字が小さくなっていくんです。誰かに教わったわけじゃない。気づいたらそうなっていた、そんな感覚です。

書類と向き合いすぎて見えてくる“効率病”

細かい字でびっしり書くのって、効率が良いと思ってるんですよね。でも実は逆効果だったりする。結局あとで誰かに説明し直す手間が増えるし、自分で読み返して分からなくなることもある。効率を求めすぎるがあまり、結果的に非効率になる。それが司法書士にありがちな“効率病”の一面。目先の時短にとらわれて、全体で時間を無駄にしてしまうという矛盾、ありますよね。

欄外に書き込むクセがいつの間にか標準に

クライアントとの電話中、メモ用紙が足りないとき、つい欄外にちょこっと書き込む。それが日常化すると、欄外の文字のほうが本番みたいになってくるんです。枠に収まらない情報は“外に書く”という習慣が染みついている。だけど、枠外の文字ほど読みにくいし、伝わりづらい。まるで「余白を埋めないと不安」という精神状態が反映されたような、そんな文字の並びになるんですよね。

細かすぎて誰にも読まれないという非効率

「伝える」ために書いているはずの文字が、「誰にも伝わらない」ものになる。このギャップは結構つらい。自分では完璧に書けたと思っても、それが伝わらなければ意味がない。特に外部の方に送る資料やメモでは、恥ずかしさすら感じることがあります。昔ながらの職人気質が、こういうかたちで足を引っ張るとは…思ってもみませんでした。

「早く書いて次に進みたい」が裏目に出る瞬間

忙しい日ほど「早く書いて、早く片付けよう」と思ってしまう。それが字の小ささに直結している気がします。急いでいると、自然と筆圧も弱くなり、文字も縮こまってしまう。スピードを優先するあまり、後で誰も読めないようなメモが完成する。そうなると結局、内容を説明する時間が発生して、余計に時間がかかる。急がば回れ、とはよく言ったものです。

急ぎの書類ほど自分でも読めなくなる矛盾

急ぎの案件で作った下書きを後から見返すと、「これは何を書いたんだ?」と自分でも分からなくなることが多々あります。焦って書くと、字が小さいうえに雑にもなる。そして何より恐ろしいのは、それに気づかないこと。提出直前になって「あれ、読み違えてた」と青ざめる瞬間の冷や汗は、できればもう二度と味わいたくない。でもきっと、またやるんだろうなと分かってる自分がいるのもまた現実です。

「これは書き直しですね」から始まる二度手間地獄

「これは書き直しですね」と誰かに言われるの、地味にダメージが大きいです。最初に書くときの集中力ってすごく使うんです。それをもう一回やるのかと思うと、一気に疲れが出る。しかもその原因が“字が細かすぎて読めない”という、なんとも情けない理由。効率を求めた結果、非効率になっている。まさに悪循環です。

字が小さいことで起きるリアルなトラブル

「字が細かすぎて読めない」って、笑い話みたいに聞こえるかもしれません。でもこれ、実際に業務で支障が出るレベルになると、シャレにならない。大事な数字の読み間違い、住所の転記ミス、委任状の不備。すべて「読めない」が原因になりうるんです。書類を扱うプロとして、これは大きなリスクです。

お客さんとのやりとりで気まずくなることも

「すみません、これ読めないんですが…」とお客さんに言われたときの、あの気まずさ。こっちは仕事として真面目に書いたつもりでも、相手にとってはただの解読不能な紙切れ。信用にも関わってくる問題ですよね。これをきっかけに「この先生、ちょっと…」と思われたら大損です。丁寧に書いているつもりが逆効果、なんて悲しい現実です。

「えーと、ここなんて書いてますか?」の恐怖

複数人の前で自分が書いた書類を読み上げる場面、ありませんか?そのとき「えーと、ここ…なんて書いてあるんでしょう?」と自分でも詰まったときの空気、地獄です。相手に見られてる、信用を問われてるというプレッシャーの中での誤読は、ほんときつい。書いた自分が読めないって、どういうことなんでしょうね。悲しくなります。

直したいけど直せない、このクセとの付き合い方

字が小さくなるクセ、直そうと思ってもなかなか直りません。書くスピードや筆圧、集中しているときの癖。それらが合わさって、自然と細かくなってしまう。頭では分かっているけど、体が勝手に動いてしまう感覚です。まるで長年の相棒のように付き合い続けるしかないのかもしれません。

意識しても無意識が勝つという現実

「今日は大きめに書こう」と意識しても、気づけばまた小さくなっている。仕事に集中するほど字が小さくなるという現象は、無意識のうちに起きています。これはもう、職業病というより“生き様”に近いかもしれません。とはいえ、放置していいわけでもない。改善しようという意志だけは、持ち続けたいところです。

試した対策:ペンを太くする、マス目を使う…全部続かない

いろいろ試しました。サインペンに替えてみたり、マス目入りのノートを使ったり、PCで下書きをするようにしたり。でも、どれも長続きしない。結局、楽な方に戻ってしまうんです。アナログな作業を好む自分にとって、無理に矯正するのもストレスになる。改善したいけど、苦にならない方法を見つけるのって難しいんですよね。

それでも人に伝わる文字を目指したい理由

最終的には、やっぱり“伝えるために書く”という原点に立ち返るべきなんでしょうね。自分の満足ではなく、相手に届くことが大切。そのために少しずつでも字の大きさやクセを意識していくしかない。変わらないかもしれないけど、少しは変えようとする。その姿勢だけでも、きっと相手には伝わると思いたいです。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。