スーツで汗だく地獄——この夏、司法書士を辞めたくなる瞬間

スーツで汗だく地獄——この夏、司法書士を辞めたくなる瞬間

朝からすでにびっしょり——駅までの道が修行

夏の朝、スーツに袖を通した瞬間から始まる戦い。家を出た途端、ムワッとした湿気が襲いかかり、駅までの徒歩10分で汗が背中を伝い落ちる。顔面はテカテカ、シャツは背中に張り付いて気持ち悪いことこの上ない。駅に着く頃には、今日も一日が始まってしまったという絶望感すら湧いてくる。正直、通勤途中で一度帰りたくなる日もある。真夏のスーツは司法書士にとって一種の拷問である。

スーツという呪い:なぜ真夏にウールを着るのか

クールビズとは言うものの、司法書士が着るスーツはそう簡単に変えられない。初対面の依頼者、銀行や法務局など、相手がどう思うかを考えてしまうと、やっぱり無難なスーツに落ち着く。だがその選択が、夏場に自分を苦しめることになる。ウール混の生地は通気性が悪く、体温を閉じ込める。なぜこんなに自分を苦しめる衣服を律儀に毎日着るのか、自問する夏である。

汗ジミとの闘い:見た目も気にする余裕なし

脇汗、背中汗、シャツの色が変わるレベルでにじみ出る。応接室でお客様に向き合う時、椅子に染みてないかが気になって集中できない。書類の説明をしていても、「この人、汗すごいな」と思われていないか不安になる。見た目を気にしていられるほど、心の余裕も冷房の恩恵もないのだ。

クールビズ?うちの事務所には来ない風

市役所や銀行ではポロシャツ姿の職員を見かけるが、司法書士の世界にはまだまだクールビズが浸透していない気がする。ネクタイを外しただけで「ラフすぎる」と思われないかと心配になる。自分の肩にかかる「信用」という名の見えない荷物が、真夏には一層重く感じる。

書類は乾いてるのに自分が濡れている不条理

真夏の午前中、事務所で冷房を入れながら黙々と書類をチェックしていると、ふと自分の額から落ちる汗に気づく。冷房が効いているはずなのに、なぜか体だけが暑い。書類はパリッとしていて問題ないのに、自分だけがびっしょり濡れているこの矛盾。司法書士という職業の不条理が、こんなところにも潜んでいる。

お客さんが涼しい顔でやってくる理不尽

午後になると、予約のお客様が続々とやってくる。冷房を強めにして待機していても、こちらは午前中の外回りの疲労と熱が抜けきっていない。そんな中、お客様は涼しい顔で「暑いですねぇ」と入ってくる。この「暑いですねぇ」が、地味に精神にくるのだ。

冷房の効いた応接室、汗だくのままの私

クライアントに書類を説明する時、自分だけが汗ばんでいると妙に恥ずかしい。相手はパリッとしたシャツに涼しげな表情。こっちはシャツが身体に張りつき、汗が額を伝って目に入ってくる。ティッシュで拭うと「すみませんねぇ、ちょっと暑くて」と言い訳しながら、内心では「この状況、毎日なんだよ」と思っている。

汗を拭くタイミングがわからない地獄

会話の途中で汗を拭くと相手の注意がそれそうで躊躇するし、放っておけば目に染みてつらい。この“拭くか、耐えるか”の判断を1日に何度も迫られる。大げさじゃなく、これは夏限定の高度なマナーゲーム。実務よりも難しい局面が、こんなところにあるのが司法書士の現実である。

午後の法務局回りはサウナ以上の負担

午後の外回りは本当に過酷だ。法務局、銀行、市役所と歩き回るたび、シャツの色が1段階濃くなる。体力も集中力も削られ、車に戻った時の車内の熱気が追い討ちをかける。

背中に滝、足元に湿気——地獄の外回り

夏の車は乗った瞬間が地獄だ。車内温度は40度近く、座席の背もたれに触れるだけで火傷しそうになる。エアコンが効くまでの数分間、背中から汗が滝のように流れる。足元には湿気がこもり、靴下が蒸れて気持ち悪い。業務用の鞄が重い日には、熱中症との境界線を歩いている感覚すらある。

駐車場までの移動で全エネルギー消費

都市部では車がすぐに停められる場所ばかりではない。真夏の昼過ぎ、コインパーキングから役所まで歩くだけで、体力の半分は持っていかれる。仕事の半分が“徒歩”による疲弊で構成されていることに、夏になるとあらためて気づかされる。

シャツの替えを忘れた日=詰み

予備のシャツを持たずに外出してしまった日は、もう詰みだ。午後からの訪問予定がある日なら、なおさら。汗の臭い、シミ、湿った布地——全てが自信を奪ってくる。自分のにおいが気になって会話に集中できないという本末転倒な事態も起こる。

汗で滑る朱肉、にじむ印鑑証明

汗ばんだ手で書類を扱うと、印鑑がうまく押せないことがある。朱肉に指が滑って、せっかく整えた書類が台無しに。夏は単純作業のはずの押印が、まるで難易度の高いパズルのように感じる。

紙と汗は相性が悪い:実務に潜む夏の罠

印刷したばかりの書類に、額の汗が一滴落ちた瞬間、それはもう使い物にならなくなる。とくに公的書類の場合は再発行の手間がえぐい。そんな些細な失敗が積み重なり、「夏は嫌いだ」と毎年心の中で唱える羽目になる。

「暑いですねぇ」では済まされない職業のリアル

誰もが言う「暑いですねぇ」に、内心では「いや、あなたの比じゃないんですよ」と叫びたくなる。司法書士は動く仕事でもあり、気を遣う仕事でもある。暑さとプレッシャーのダブルパンチは、体だけでなく心にもくる。

どれだけ暑くても〆切は待ってくれない

「暑さでちょっと遅れます」が通用しない世界。登記の期限、契約の締結、納税の猶予手続き……どれも時間との勝負だ。暑さにやられても、ボーッとしても、仕事だけは容赦なく押し寄せる。そうして自分を責めながら、また一日が終わっていく。

「倒れたら休めばいい」は無責任な言葉

周りは「無理しないで」と言ってくれる。でも実際には、倒れる前に仕事を終わらせなきゃいけない現実がある。休む=仕事が滞る=信用が落ちる。この図式が頭から離れず、結局無理を重ねてしまう。優しさがむしろ負担になるという、夏のジレンマだ。

モテないのは汗のせいか性格か

ふと鏡を見て、汗まみれの自分に苦笑する。「これじゃ誰にも好かれないよなぁ」と、つぶやいてみるが誰にも聞かれやしない。外見も中身も、夏は自信を奪っていく。

「結婚してないんですか?」地味に刺さる質問

依頼者との何気ない会話で「ご家族は?」と聞かれると、ちょっと固まる。「ああ、独身でして…」と言うたびに、自分の人生の空白に直面する。夏の暑さは、その孤独感をよりリアルに際立たせるのだ。

たまには逃げたっていい——司法書士の夏休み

毎年、夏になると「仕事辞めたいなぁ」と思う。でも、それでも続けているのは、誰かの役に立っているという感覚がどこかにあるからかもしれない。だからこそ、意図的に“休む勇気”を持つことも大切だ。

“休む勇気”が自分を救うかもしれない

「今日は何もしない」と決める日を作るだけで、翌日の自分が少しラクになる。倒れる前に休むのではなく、倒れないために休む。それができるようになると、ちょっとだけ心が軽くなる。汗まみれの毎日にも、小さな救いが見えてくる。

リフレッシュが業務効率を上げるって本当?

実際、きちんと休んだ日の方が、頭も冴えて作業がはかどる。クーラーの効いた部屋で好きな本を読むだけでもいい。「休む=さぼり」じゃないと、自分に言い聞かせている。

ひとり旅という現実逃避のススメ

独身であることを逆手にとって、ふらっと旅に出る。誰にも気を使わず、気ままに温泉に浸かる。そんな時間が、自分を少しずつ回復させてくれる。たった一泊でも、「また頑張るか」と思えるようになる。夏の疲れをリセットする手段として、旅は侮れない。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。