眠気と戦いながら進む日常の現場

眠気と戦いながら進む日常の現場

朝の目覚めからすでに負けている感覚

目覚ましの音が聞こえた瞬間、反射的に「無理」と思ってしまう。布団の中にいるのが悪だとわかっていても、体がまるで鉛のように重く、まぶたは開こうとしない。司法書士という職業柄、時間にルーズではいけないのは重々承知しているが、それでも朝の戦いは年々激しさを増している。自分との小さな戦争が、まだ始まってもいない一日に影を落とす。

アラームは鳴るけど体が動かない

スマホのアラームは毎日6時半にセットしている。が、鳴っていることは分かっているのに、どうしても手が伸びない。「あと5分…」という囁きが脳内に鳴り響き、結局30分が経過していることが多い。ひどい日は7時になっても布団の中。元野球部だった自分が、こんなにも朝に弱くなったとは信じがたいが、事実だ。歳を取るというのはこういうことなのだろうか。

スヌーズ地獄のはじまり

スヌーズ機能というのは、便利なのか残酷なのか分からない。5分ごとに鳴り響くアラームが、少しずつ心を削ってくる。「さっき止めたはずだろ」と自分にツッコミを入れながらも、また止める。これを4〜5回繰り返す頃にはようやく意識がはっきりしてくるが、すでに心はぐったり。スヌーズは「もう限界です」のサインでもあるのかもしれない。

もう少しだけ寝たいという誘惑との闘い

「あと10分寝れば、逆にスッキリ起きられるかも」などという希望的観測が頭に浮かぶのもこの時間帯。だが実際には、10分寝たところで体調が劇的に回復するわけでもないし、起きられる保証もない。むしろ寝過ごして焦って飛び起きる未来の方が濃厚だ。そうと分かっていながらも、布団の温もりがすべてを上書きしてくる。戦っているのは眠気ではなく、自分自身なのだ。

仕事は山積みなのに集中力がゼロ

ようやく事務所に到着し、コーヒー片手にPCの前に座る。だが思考が働かない。書類の文字がぼやけて見え、入力ミスをしては修正しての繰り返し。しかもこんな日に限って、依頼が重なる。目の前の山を登る気力が湧かない中、どんどんメールが届き、電話が鳴る。集中力がゼロの状態で業務をこなすのは、まるで水の中を歩くような感覚だ。

眠気がパフォーマンスを奪っていく

人間は眠気に勝てない生き物だと、身をもって実感する。眠いと、思考は鈍るし、手元は狂う。たとえば登記の間違いなど致命的だ。なのに、「とりあえず目を開けてる」状態で仕事を続けると、逆にミスが増えて処理時間も伸びてしまう。前日の疲れを持ち越したまま、「とにかく終わらせなきゃ」とだけ思いながら机にしがみつく。無理をしている自覚はあるのに、止まれないのが現実だ。

思考が止まるときの恐怖

ふとした瞬間、目の前の画面を見て「え、さっき何をしてたっけ?」と記憶が飛ぶことがある。マウスを動かしていたはずなのに、カーソルが止まり、時間だけが流れている。恐ろしいのは、それが数分単位で起きていることに気づかないことだ。眠気がピークを越えたとき、思考が完全にシャットダウンされる。司法書士として、これは本当に危険な兆候だと思う。

それでも間違えられない書類とのにらめっこ

登記申請書や委任状、添付書類など、どれも一つ間違えば手戻りが発生する。眠いからといって、ミスが許される仕事ではない。目を見開き、指差し確認をしても、うっかりは起きてしまう。それを防ぐには、「集中力が落ちてる」と気づいたら、潔く休むしかないのかもしれない。だが、現実にはそんな余裕もなく、時間だけが流れていく。

午後一番の眠気はどうしようもない

昼食後の眠気は、朝の眠気よりも質が悪い。理由ははっきりしている。満腹感と静寂、そして程よい室温。すべてが眠気を誘ってくる。12時45分、事務所に戻って椅子に座った瞬間、体が沈み込むような感覚になる。そして午後の山場がここから始まるという絶望感。エンジンをかけなおすどころか、エンスト寸前の心身にムチを打つ時間だ。

昼食後の沈黙が怖い

事務所は静かで、物音ひとつしない。事務員のキーボードを打つ音だけが響く。そんな中、自分は眠気と格闘している。目を開けていても、思考が空転しているような状態。会話がないことも拍車をかける。眠気が「今だ」とばかりに隙間に入り込んでくるのだ。だから、午後の最初の30分は、自分との闘いとしては最も過酷な時間帯となる。

事務員さんのタイピング音だけが頼り

唯一の救いは、事務員さんの存在かもしれない。淡々と業務をこなすその音に、「自分も動かなきゃ」と気づかされる。人がいるだけで、何とか人間らしくいられる。それがいなかったら、きっと私は机に突っ伏していただろう。音のある安心感、それが意外にも眠気を遠ざけてくれる。

椅子に座ったまま意識が飛ぶ瞬間

一度だけ、気づいたらマウスを握ったまま5分間意識を失っていたことがある。いびきこそかいていなかったが、体は完全に電源オフ。ふと我に返り、急いで姿勢を正したものの、誰かに見られていたらと思うと背筋が凍る。これが現実だ。決してかっこいい話ではないが、真実だ。眠気は敵だが、同時に無理のサインでもある。

自分だけ眠いんじゃないと思いたい

「他の司法書士もきっとこうだろう」と思うことで、なんとか自尊心を保っている。SNSで「今日も疲れた」と投稿している同業者を見ては、勝手に仲間意識を持つ。眠気と戦いながらも頑張っているのは自分だけじゃない、そう信じたい。そしてこの日々のしんどさが、いずれ誰かの役に立つことを願って、今日も眠気と戦う。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。