依頼人のうっかりが引き起こした大惨事
先日、ある相続登記の件で、すでに何度もやりとりを重ね、ようやく全書類が整った…はずでした。依頼人のAさんも「これでバッチリです」と言い切っていたので安心していたのですが、登記所に提出する直前になって、印鑑証明書の期限切れが発覚。あれだけ念を押したのに、まさかの「うっかり忘れてました」とのこと。たった一枚の書類の有効期限切れで、今までのやりとりがすべて振り出しに戻る瞬間。何度経験しても、胸がズーンと重くなるあの感覚は慣れることがありません。
書類の提出ミスは誰の責任か
こういうとき、「責任は誰にあるのか」という話になりますよね。依頼人が印鑑証明書の期限を見落としていたとはいえ、こちらとしても最終チェックをしていれば防げたかもしれない。結局、どちらか一方が悪いというよりも、確認のタイミングが合わなかったということなんでしょう。だけど、外から見れば「司法書士がしっかりしていなかった」と思われるのが関の山。だからこそ、自分の気を抜いたら終わりというプレッシャーが常にまとわりついているんです。
確認不足か過信かそれとも時間のなさか
印鑑証明書の期限確認なんて、慣れてる人間なら「秒」で済む作業です。それでも、案件が重なっていて心の余裕がなかったり、依頼人から「すぐに出せる」と言われたりすると、「今回は大丈夫かな」と思ってしまうんです。これは完全に慢心ですね。昔、野球部だった頃もそうでした。ノックで簡単なゴロを油断して取ろうとしたらトンネルして、監督に死ぬほど怒られた経験があります。あの「気の緩み」は、大人になっても消えないようです。
見落としが生む想定外のトラブル
「うっかり」が原因で手続きがやり直しになると、関係する全員のスケジュールが狂います。役所の閉庁日や郵送のタイミング、他の相続人との連絡調整など、ズレた影響はとんでもなく大きい。依頼人からすれば「ちょっと待てば済むでしょ」という感覚かもしれませんが、こちらはその「ちょっと」に数時間の残業と精神的な疲労を抱えることになる。しかもそれが月に何度もあると、正直、ため息しか出なくなります。
現場に振り回される司法書士の苦悩
「先生、このまま出しておいてください」と軽く言われても、その裏には責任という名の重りがズッシリのしかかってきます。事務所で一人きりで判断を求められる場面は多く、毎回が本番、毎回がプレッシャーです。しかも、それを分かち合える相手もいない。事務員さんに話すにも限度があるし、そもそも自分自身の疲労感が強すぎて、口を開く元気すらないときもあるんですよ。
何度注意しても繰り返される失敗
実は今回のAさん、以前にも固定資産評価証明書を間違って旧住所の自治体で取ってしまったことがあったんです。そのときも「うっかりでした、すみません」と謝られたのですが、まさかまた似たようなミスをされるとは。もちろん怒ったところで意味はないし、「人間だもの」という気持ちもある。でも、そのフォローに追われるこちらの身にもなってほしい。誤字脱字ならまだしも、提出不能レベルのミスは命取りです。
他人のミスでも責任を背負う日常
何よりつらいのは、「依頼人のミス」でも、司法書士が怒られること。金融機関や役所の窓口では、「これは専門家がチェックしてるはず」と思われているから、こちらが謝るしかないんですよね。まるでキャッチャーがピッチャーの暴投を背中で受け止めるような気持ちです。「そっちのミスなんだけど、俺が謝るのか…」と心の中で何度もつぶやきながら、今日も深く頭を下げてきました。
忙しさの中で消えていく冷静さ
ここ最近、目まぐるしい日々が続いています。月末になると登記の依頼が急増し、調整していたスケジュールが一気に崩れ去る。そこに「うっかり」や「間違い」が重なると、冷静に判断する余裕なんてあっという間に失われます。気がつくと、事務所の机に書類が山積みになり、目の前の案件に追われるだけの毎日になっている。気持ちを落ち着ける暇がほしいと、切に思います。
事務員も人手不足で限界
うちの事務員さんも本当に頑張ってくれています。でも、1人だけで膨大な書類を処理し続けるのはさすがに酷です。こっちが忙しいからって、彼女も完全に余裕を失ってしまっている。ミスが続いたときは、「私のせいでしょうか…」と涙ぐまれたこともありました。いやいや、そんな責められるような話じゃないんです。問題は、構造的に無理があるんです。人手が足りなさすぎるんです。
一人事務所の現実と愚痴
地方で一人事務所を構えていると、「何でも自分でやる」が当たり前になります。営業から事務作業、依頼人対応、そして現場まで。気がつけば一日が終わっている。恋愛なんてとてもできませんよ。女性との会話なんて、コンビニの店員さんくらい。人として、何かが欠けてきている気がします。…愚痴ですね、すみません。でも、これが現実です。
「後でやろう」が後悔を生む
忙しい中でつい「この書類の確認は後でいいや」と後回しにすると、それが命取りになることもあります。たとえば、登記完了予定日に依頼人が急いでいるとき。ギリギリまで放置してしまった結果、期限切れに気づかず、手続きがストップ。あのとき、10分だけ時間を作っていれば…と何度も自分を責めることになります。こんな後悔、年に何回するんだろう。いや、年じゃなくて月かもしれません。
ミスの連鎖にどう向き合うか
ミスは、単体で起きるよりも連鎖的に起きるほうが圧倒的に多いです。一つの見落としが引き金になり、次から次へとほころびが広がっていく。ミスがミスを呼び、自分の判断力も鈍っていく。そんな流れの中で、自分を保つのは簡単じゃありません。だけど、やめるわけにもいかない。支えてくれる人が少ない分、余計に「自分がやらなきゃ」という思いが強くなるんですよね。
責任感が強い人ほど疲れていく
真面目で几帳面な人ほど、自分を追い詰めがちです。責任を感じすぎて、自分のことを後回しにする。僕自身がそうでした。周囲から「しっかりしてますね」と言われるたびに、勝手に期待を背負い込んで、限界まで走ってしまう。だけど、心も身体も無限じゃありません。もっと肩の力を抜いてもいい。そう思えるようになるまで、何年もかかりました。
結局誰も助けてはくれない
本音を言えば、誰かに助けてほしいです。でも現実は、誰も手を差し伸べてはくれません。「司法書士ってそういうもんでしょ」と言われれば、それまでなんですけどね。人の役に立ちたいと始めた仕事が、気がつけば孤独との戦いになっている。そんなとき、昔の野球部仲間が飲みに誘ってくれると、ちょっとだけ救われた気持ちになります。仕事には関係ない話ばかりだけど、それが一番の癒しです。