気づけば午前が終わっていたという現実
今日は9時から集中して書類整理をしていたはずなのに、気づけば時計は12時をまわっていた。誰かと話していたわけでも、電話が鳴り続けたわけでもない。ただ、ひたすら申請書類の順番を確認して、ホチキスの留め方を揃えて、端をそろえて、何度も見直していただけだ。あれ?こんなに時間がかかるものだったっけ?ふと我に返った瞬間、ちょっとした絶望感が襲ってきた。誰に怒られるわけでもないけれど、自分の無力さが突き刺さる午前だった。
たったそれだけのことが終わらない
書類を揃える作業というのは、本来“サクッと終わる”はずの工程だ。でも、司法書士の仕事ではその「サクッと」が通用しない。1枚でもミスがあれば、申請が遅れたり、最悪取り下げになったりする。だから慎重にならざるを得ない。印鑑の押し方ひとつ、順番の違いひとつ、紙の向きひとつがトラブルの種になる。「たったそれだけで?」と誰かに言われたら、「そうだよ、それだけで台無しになるんだ」と叫びたい気分になる。外から見えない緊張感の中で、時間だけが静かに過ぎていく。
書類の端をそろえることに意味はあるのか
無意識に紙の端をトントンと机に当てて揃える。それを何度も繰り返してしまう。別に誰かがチェックするわけでもない。でも、これを怠ると、自分の中で「仕事した感」が出ないのだ。紙のずれが気になってしまい、次の作業に進めない。まるで試合前のルーティンのように、手を動かすことで心を整えているのかもしれない。意味なんてない。でも、これをやらないと落ち着かない。だから、意味があるような気がしてくる。
でも雑にできないのが司法書士の性
「そんなの気にしすぎだよ」と言われても、やっぱり雑にはできない。司法書士という仕事は、目立たないところの積み重ねで信頼ができていると思っている。細部に気を遣えるかどうかが、信用の差になる。だから、誰も見ていないところでも、きっちりと揃えてしまう。元野球部でいうなら、試合前のグラウンド整備を丁寧にやるようなもの。無駄に見えても、それが心の準備でもある。面倒くさい性格だなと自分でも思う。
自分の段取りの悪さに落ち込む
本当は午前中に3件分の書類を整える予定だった。でも終わったのは1件分だけ。段取りが悪いのか、それとも慎重すぎるのか。いや、そもそも「1件に時間をかけすぎた」自分にがっかりしている。ToDoリストは空白のまま。こんなペースで、午後は何とかなるんだろうか。机の上は片付いても、心の中はぐちゃぐちゃだ。達成感よりも自己嫌悪のほうが重くのしかかる。
計画通りにいかない毎日に慣れたくない
予定通りに進まないことには、もう慣れてしまった。けれど、その“慣れ”が怖い。慣れてしまうと、それを当然のように受け入れてしまう。もともとは「今日はここまでやろう」と決めていたのに、途中から「まあ仕方ないよな」と言い訳するようになる。この小さな妥協が積もっていく感覚が怖い。自分に甘くなっていくことに気づいているのに、止められない日もある。
段取りでカバーできない業務の不確定さ
どんなに段取りを立てても、予定通りにいかないのがこの仕事だ。急な相談、急な電話、急な補正依頼。何が起きるかわからない。だからこそ、自分で決めたタスクくらいは確実にこなしたいと思っている。でも、その「こなしたい」が「こなさなきゃ」に変わると、一気にプレッシャーになる。事務員さんに仕事を振るタイミングも、空気を読みすぎて遅れてしまう。どうにも不器用で、効率が悪い。
事務員さんの視線が地味に刺さる
「お疲れさまです」と何気なく声をかけてくれる事務員さんの一言が、時に刺さる。いや、優しさなのはわかっている。でも、自分が何も進んでいないときほど、その一言が「進んでなさそうですね」と言われている気がしてしまうのだ。これは完全に被害妄想。でも、そう思ってしまうくらい、心に余裕がない日もある。笑って返したふりをしながら、自分の無力さと向き合っている。
何をそんなに手間取ってるんだろうと思われてそうで怖い
たぶん、そんなふうに思っていないのはわかってる。でも、自分が焦っていると、相手の目がそう見えてしまう。「え、まだ終わってないの?」という空気が勝手に脳内再生される。昔からこういうところがあって、学生時代も、遅れてると「今笑われてるかも」と思って無駄に焦って失敗した。司法書士になってからも、そういう思考のクセはなかなか抜けない。
口には出されないけど伝わるプレッシャー
職場って、言葉じゃないプレッシャーが多い。事務所に響くキーボードの音、書類をめくる音、ため息。それだけで「ちゃんとやらなきゃ」という気持ちになる。静かな空間にいると、逆に自分のミスが響きそうで怖い。ふと手が止まったときに聞こえる沈黙が、一番つらい。誰も責めていないのに、自分を責めてしまう。
自分一人でやるよりマシだけどそれでも孤独
事務員さんがいてくれるだけで、本当に助かっている。だからこそ、余計に自分のダメさが浮き彫りになる気がする。「二人いれば少しは楽になる」と思っていたけど、「二人だからこそ比べてしまう」こともある。相手は全然悪くない。むしろありがたい。でも、孤独感というのは人数じゃなくて、自分の内側にあるものなんだと実感する。