朝からぎゅうぎゅう詰めの予定表を見て絶望する
朝、事務所に着いてまず見るのが予定表。パソコンの画面に映るスケジュールには、10分単位でびっしりと打ち込まれた予定が並んでいた。相談、登記申請、電話連絡、銀行訪問…。一つでも遅れたら、あとは全部崩れる。見ただけでうんざりするこの表を、作ったのは自分だ。なぜ、ここまで詰めたのか。自分でもわからない。ただ「なんとかなる」と思っていたのかもしれない。いや、「断れなかった」のが本音だろう。
「これ誰が詰めたんだよ」って、自分しかいない現実
予定を組んでいるのは自分なのに、朝イチで思う。「誰だよこれ詰めたの」って。そして気づく、自分だ。やるべき仕事は次々とやってくるし、お客様の要望はなるべく応えたい。だから「この日、空いてますか?」と聞かれて、「ちょっと無理かも」と思っても「13時半からなら大丈夫ですよ」とつい答えてしまう。そうやって自分の首を絞めてきた。予定表は、他でもない自分自身の甘さの証だ。
隙間時間に詰めた仕事が、結局メインになってくる
「この業者への電話は10分で終わるから、9時50分に入れておこう」そんなふうに、ちょっとした隙間に雑務を入れるのが癖になっている。ところが、その“ちょっとした”が、後々メイン業務になることも多い。調べてみたら思ったより複雑だったり、相手とすぐにつながらなかったり。10分のつもりが30分、1時間と延びていく。隙間に詰め込んだものほど、爆発力がある。もう少し学習してもいいはずなのに。
急な相談電話一本で、すべてが後ろ倒しに
「ちょっとだけ相談いいですか?」その一言が、全スケジュールを崩壊させる。お客様に罪はない。でも、こちらは秒単位で動いている。予定にない相談電話が一本入るだけで、すべてがズレる。登記の締切、訪問時間、次の電話対応…ドミノ倒しのように遅れていく。その後始末は誰がするか。自分だ。しかも、誰にも文句は言えない。だって「いつでも連絡ください」と言っていたのは自分だから。
ランチを削るかトイレを削るかの選択を迫られる
午前中から予定が押し始めると、昼休みが怪しくなる。おにぎりを片手に書類を見ながら電話に出る、という昼食が日常になった。「人間らしい昼休み」なんて、ここ数年記憶にない。場合によっては、トイレに行くタイミングすらつかめず、午後に膀胱と戦いながら打ち合わせをすることもある。どうしてここまでして仕事してるんだろう、とふと我に返るけれど、次の予定が迫ってきてそれどころじゃない。
事務員さんのために休憩時間は死守したいのに
うちの事務員さんは、ほぼ唯一の仲間だ。せめてこの人にはきちんと昼休みを取ってもらいたい。だから、自分の休憩を削ってでもサポートに回る。でもそのしわ寄せは、全部自分にくる。そうなることがわかっていながらも、「ちょっとお昼行ってきてください」と言ってしまう。結局、自分だけがずっと机にかじりついて、14時過ぎに冷えたおにぎりを流し込む。それでも、誰かの余裕を守るのが少しだけ嬉しい。
「せめて水くらい飲ませてくれ」って思う
忙しすぎて、気づけば水すら飲んでいない。喉が乾いたと思った頃には、電話が鳴り、来客が来て、次の準備が始まる。席を立つ暇もない。たまにトイレに行って鏡を見ると、自分の顔色の悪さに驚く。「これはいかん」と思って水を一口飲むと、少しだけ生き返る。でも、そんな余裕すらない日が続くと、本当に心が乾いていく。仕事をこなすだけのマシーンになったような、虚しさがじわじわと押し寄せる。
予定を断ると申し訳なくなる病
「この日しか空いてなくて…」そう言われると、こちらもなんとかしたくなってしまう。無理だと思っていても、「じゃあ15時から30分だけなら」とねじ込む。でもその30分が命取りになる。わかっているのに、断れない。相手の期待を裏切りたくない気持ちと、自分の限界を天秤にかけて、毎回自分を後回しにしてしまう。これを“良心”と言うべきか、“意気地なし”と言うべきか。
「この日しか無理なんです」と言われると断れない
お客様に「他の日は全部埋まってて…」と言われると、自分の予定がどうであれ、「なんとかしないと」という気持ちになる。断って他の司法書士に行かれるのも、なんだか悔しい。まるで野球部時代、絶対打てない球に手を出して空振りしてた頃と似ている。無理なのに手を出して、後で苦しむ。でもその瞬間は、「打てるかもしれない」と思ってしまうんだ。
善意で詰めたスケジュールが自分を追い詰める
「この時間ならいけるかも」「少しのズレなら対応できるかも」…そんな“善意”の積み重ねが、今のカツカツのスケジュールを作り上げた。「断ったら可哀想かな」「次に頼ってくれなくなったら困るな」そんな気持ちで自分を削っていた。でも、それが何のためだったのか。今思うと、自分を守る勇気の方が必要だったんじゃないかと思う。
その場では「大丈夫ですよ」って言っちゃう病
相談を受けた瞬間、「その時間なら空いてますよ」と口が勝手に動いてしまう。本当は空いてない。けど、「今は余裕ある顔しとこう」と思ってしまう。そしてスケジュールに入れた後で、「あ、あの日って◯◯の件があったじゃん」と頭を抱える。もう反射的に言ってしまう「大丈夫ですよ病」は、治る気配がない。これを治す薬があるなら、処方箋が欲しい。