「打ち合わせ=終わり」じゃない現実
「では、以上で打ち合わせを終わります」──その言葉を聞いた瞬間にホッとできる日は、正直、ほとんどありません。司法書士の仕事は、打ち合わせが終わったところからが本番。話した内容を確認し、必要書類を整理し、関係者に連絡し、細かな段取りを再確認する日々です。正直、「まだ終わってない…」という疲労感に襲われるのは日常茶飯事です。
打ち合わせが終わってもホッとできない理由
依頼者との打ち合わせ中には、なるべく多くの情報を引き出そうと神経を張り詰めていますが、それでも「これ聞き忘れたかも…」という不安は後から押し寄せてきます。一見些細な事でも、司法書士の仕事では命取りになりかねません。たとえば相続関係説明図の続柄一つ、間違えれば訂正登記が必要になる。だからこそ、打ち合わせ後も気が抜けないのです。
その場では言われない、あとから来る「確認事項」
「そういえばあの件…」と、打ち合わせが終わって数時間後、依頼者から電話やメールが来ることも珍しくありません。向こうとしても、あとから思い出すことは当然あります。でも、こちらはすでに動き始めていて、場合によっては段取りの組み直しになることも。予定が狂うたび、地味に精神的ダメージが蓄積していきます。
本当に怖いのは「言った・言わない」問題
打ち合わせ中にメモを取っていたとしても、それが全てをカバーしてくれるとは限りません。何かあれば「言いましたよね?」と言われてしまう。逆に、こちらも「お伝えしましたよ」と反論したくなる瞬間がありますが、証明する手段がない以上、水掛け論にしかなりません。
メモを取ってても防げないズレ
私は極力、手書きのメモとPC入力の両方を残すようにしています。でも、ふとした表現の違いや、依頼者のニュアンスの受け取り違いでトラブルに発展することもあります。特に高齢の方だと、同じ言葉でも意図が違うことがあるんですよね。「生前贈与の件」とだけ言われても、「相続時精算課税制度」のことなのか、「暦年贈与」なのかが分からない。そこがズレると怖いです。
依頼者とこちらの認識違いが生むトラブル
「この書類、用意してもらえると思ってました」と言われたときのあのゾワッとする感覚…。実際に必要かどうかの判断は、法律的にはこちらの領域でも、依頼者の期待とのギャップがあると一気に関係性が悪くなります。「聞いてない」「言ったつもりだった」──そんなすれ違いで信頼が揺らぐのが一番怖いです。
口頭確認だけで進めたくない本音
本当は毎回、議事録のように詳細な確認書面を作りたい。でも、現実問題としてそこまで手が回らないのが実情です。だからこそ「メールで念のため確認しますね」が口癖になってしまいました。これがまた事務員にとっては「確認メール、またですか…」となるようで、事務所内でも気を使うポイントになっています。
「もう一回聞いていいですか?」が言えない空気
打ち合わせの最中、「あれ、これ聞いたっけ?」と思っても、相手の表情を見て遠慮してしまうことがあります。自分の中で「さっき説明されたような気もするし、聞き返すと失礼かも…」という葛藤が生まれるんですよね。でも、そこを曖昧にすると後で痛い目を見るのは自分です。
忙しさと気疲れで判断力が落ちる瞬間
1日に何件も面談があると、どうしても注意力が散漫になります。特に午後遅くになると集中力も切れてきて、「まあ大丈夫だろう」と妥協してしまう場面も…。それで実際に見落として、深夜にひとりパソコンの前で「あ〜…やっちまったなぁ…」と頭を抱えること、何度もあります。
打ち合わせ後にやってくる“違和感の正体”
帰りの車の中でふと、「あれ?〇〇さん、あの件について何も言ってなかったな」と違和感に気づく。帰ってからメモを見返しても、それに関する記述がなくて、どんどん不安が膨らんでいく。結局、夜にメールを送る羽目になり、「あの件ですが…」とまた確認作業。これ、心臓に悪いんですよね。
事務員任せにできない、細かすぎる確認作業
事務員さんに任せられる仕事もありますが、細かな法的判断や文言の確認はやっぱり自分でやらなきゃダメなんです。「それ、書類に書いておきましたよ」と言われても、「いや、それじゃダメなんだよ〜」という場面が結構あります。
自分でやらないと逆に手間が増える現象
任せた内容を後で自分がチェックして訂正する時間を考えると、最初から自分でやった方が早い…そんな場面が多すぎます。でも、だからといって全部抱え込むと本当に潰れます。そのバランスが難しい。
「お願いしたはずなのに…」の行き違い
「前にお願いしたと思うんですけど…」とこちらが言うと、「そんな話は初めて聞きました」と返される。記憶の食い違いで不信感が生まれる。記録って本当に大事です。音声記録を残したくなるくらいです。
愚痴っぽくなるけど…それでもこの仕事を続けている理由
正直、もっと気楽な仕事もあるかもしれない。でも、この仕事は「ありがとう」と言ってもらえる瞬間が本当に嬉しい。自分の確認がしっかり役に立ったとき、間違いを防げたとき、やっぱり「やっててよかったな」と思うんです。
「ありがとう」のひと言に救われることもある
打ち合わせ後、依頼者から「丁寧に対応してくださって助かりました」と言われると、本当に報われた気持ちになります。どれだけ確認作業が大変でも、その一言で全部吹っ飛ぶ時もあるんですよね。
一歩引いて考えると、意外とやりがいもある
面倒なことばかりでも、ひとつひとつ片付けていく達成感は、やっぱり悪くない。愚痴も多いけど、なんだかんだ続けているというのが本音です。こんな毎日ですが、誰かの参考になればうれしいです。