「手続きだけお願い」の破壊力とは
「手続きだけお願いできますか？」という一言。依頼者にとっては気軽なお願いのつもりかもしれません。でも、その“だけ”という言葉の裏には、ものすごく重たい荷物が隠れていることが多々あります。こちらは専門家としての責任を負う以上、ただ書類を機械的に提出して終わりでは済みません。何かあれば責任を問われるのは私たち。にもかかわらず、見積もりも短く、準備期間も短く、「簡単でしょ？」という空気だけが漂ってくる。あの一言、意外とメンタルにきます。
一見、軽そうなその一言
依頼者は悪気なく言っているんでしょう。「手続きだけなんで」とか「申請だけお願いしたいんです」って。でも、その一言で一気にこちらの警戒モードがONになります。なぜなら、これまで何度も「“だけ”じゃ済まなかった案件」にぶち当たってきたからです。戸籍がそろっていなかったり、必要な委任状が欠けていたり、背景がまったくわからないまま提出だけ求められたり。「そんな簡単じゃないですよ」と口にすると、依頼者の表情が曇るのもまた、つらいところです。
本当に“だけ”で済む話なんですか？
手続き“だけ”というのは、例えば「ハンコ押すだけでいいでしょ？」くらいの感覚で言われているのかもしれません。でも実際は、背景事情の確認、必要書類の精査、記載ミスの修正、リスクの予見と回避、関係者の確認や意思の把握…と、膨大な工程が必要になります。これをすっ飛ばして申請だけして何か問題が起きたら、結局こちらが「なぜ確認しなかったのか」と責任を問われる。だから“だけ”が怖いんです。
依頼者とのギャップが生まれる理由
司法書士という仕事は、外から見えづらい仕事です。だからこそ、依頼者との認識のズレが生まれやすいのも事実。「手続きだけなんで」と言われる背景には、司法書士の業務がどれだけ多岐にわたっているかが、あまり知られていないという現実があります。私たちが感じる大変さが、依頼者には“ただの紙仕事”に見えている。このギャップは、思っている以上に大きくて深いのです。
司法書士の業務は見えづらい
書類を作って、法務局に出す。ただそれだけに見えてしまうのは無理もないかもしれません。たしかに、作業そのものは表面上「書いて出す」だけに見えます。でも、そこに至るまでの確認作業や判断の重さは、なかなか外からは伝わらない。たとえば不動産の相続登記ひとつとっても、遺産分割協議の成立確認、法定相続情報一覧図の作成、登記原因証明情報の整備など、細かい作業が山のようにあるんです。
説明しても「専門用語だからわからない」と返される虚無
丁寧に説明しようとすると、「いや、難しいんでお任せします」と言われる。でも、お任せされたあとで「聞いてない」と言われたり、「こんなに時間がかかるとは思わなかった」と言われたり…。専門用語だから仕方ない、という態度には、正直ちょっとやるせなさも感じます。説明を拒否しておいて、結果だけは不満を言われる。これ、意外とよくあるあるなんですよね。
「軽いノリの依頼」に潜むリスク
依頼者の“軽いノリ”に引きずられて、ついこちらも受けてしまうことがあります。でも、そういう案件に限って、のちのちトラブルになったり、時間ばかり取られて収益にならなかったり…。感覚としては、「軽いノリ＝地雷案件」になっていることが多いです。本来なら、もっと警戒すべきだったと、あとで後悔することもしばしば。
準備不足で責任だけ押し付けられる
「手続きだけ」と言われて受けた依頼が、あとで「登記できません」と返ってきたときの恐怖。書類が足りない、意思確認が不十分、添付情報に不備がある…。でも依頼者は、「ちゃんと出してくれたんじゃないんですか？」と平然と言ってくる。準備不足なのはこちらじゃないのに、責任はこちらに押し付けられるケースが後を絶ちません。
登記申請書の内容、ちゃんと見てる？
依頼者の中には、こちらが作った申請書の内容をまったく確認せず、ただ「サインすれば終わりでしょ」と考えている人もいます。でも、本人の意思や内容の正確性を確認することは、実はとても大切なプロセス。形式上サインをもらったからといって、それで問題があれば責任は私たちにのしかかる。怖い話ですが、本当にあるあるなんです。
後から「聞いてなかった」が一番怖い
「え、それって最初に言ってくれてましたっけ？」という一言ほど、ゾッとするものはありません。説明したつもりでも、相手が理解していなければ「なかったこと」になる。そしてそれが、責任問題に発展する。だから、どれだけ忙しくても、書面での確認や説明記録を残すようにしています。でも、そんなの本当は、信頼のある関係であれば不要なはずなんですけどね…。
「やってもらって当然」の空気
最近増えてきた気がします。「やってもらって当然」という態度の依頼者。依頼というより“命令”のように感じることすらあります。こちらがやることを“サービス”と考えていない。司法書士としての知識や労力を“無料の付属品”のように扱われると、さすがに心が折れます。
どこかで甘く見られている気がする
「司法書士って、何する人でしたっけ？」と聞かれることもあります。それぐらい認知が低い。だからこそ、何となく軽んじられている感覚がずっと付きまとう。弁護士や税理士とはまた違う、グレーな立ち位置で仕事をしている私たちは、「とりあえず安く早く」の対象にされやすいのかもしれません。
“手続き屋”扱いされる苦しみ
何でも「書類だけ出してくれればいい」という扱いを受けると、自分の仕事の価値に疑問を持ちそうになります。自分では「法的リスクを回避するプロ」としての意識を持っているのに、依頼者からは「便利な書類作成屋」程度にしか見られていない。そんな扱いをされるたびに、ちょっとした無力感を覚えます。
正直者がバカを見る構図
リスクや注意点を誠実に伝えると、逆に依頼者から嫌がられることがあるのは本当に悲しいです。説明を簡略化して欲しいというのは理解できますが、こちらとしては説明しないわけにはいかない。結局、正直に話せば話すほど敬遠され、軽く答える人の方が依頼を取れる。そんな構図に、たまに嫌気がさします。
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「手続きだけお願い」の破壊力とは
「手続きだけお願いできますか？」という一言。依頼者にとっては気軽なお願いのつもりかもしれません。でも、その“だけ”という言葉の裏には、ものすごく重たい荷物が隠れていることが多々あります。こちらは専門家としての責任を負う以上、ただ書類を機械的に提出して終わりでは済みません。何かあれば責任を問われるのは私たち。にもかかわらず、見積もりも短く、準備期間も短く、「簡単でしょ？」という空気だけが漂ってくる。あの一言、意外とメンタルにきます。
一見、軽そうなその一言
依頼者は悪気なく言っているんでしょう。「手続きだけなんで」とか「申請だけお願いしたいんです」って。でも、その一言で一気にこちらの警戒モードがONになります。なぜなら、これまで何度も「“だけ”じゃ済まなかった案件」にぶち当たってきたからです。戸籍がそろっていなかったり、必要な委任状が欠けていたり、背景がまったくわからないまま提出だけ求められたり。「そんな簡単じゃないですよ」と口にすると、依頼者の表情が曇るのもまた、つらいところです。
本当に“だけ”で済む話なんですか？
手続き“だけ”というのは、例えば「ハンコ押すだけでいいでしょ？」くらいの感覚で言われているのかもしれません。でも実際は、背景事情の確認、必要書類の精査、記載ミスの修正、リスクの予見と回避、関係者の確認や意思の把握…と、膨大な工程が必要になります。これをすっ飛ばして申請だけして何か問題が起きたら、結局こちらが「なぜ確認しなかったのか」と責任を問われる。だから“だけ”が怖いんです。
依頼者とのギャップが生まれる理由
司法書士という仕事は、外から見えづらい仕事です。だからこそ、依頼者との認識のズレが生まれやすいのも事実。「手続きだけなんで」と言われる背景には、司法書士の業務がどれだけ多岐にわたっているかが、あまり知られていないという現実があります。私たちが感じる大変さが、依頼者には“ただの紙仕事”に見えている。このギャップは、思っている以上に大きくて深いのです。
司法書士の業務は見えづらい
書類を作って、法務局に出す。ただそれだけに見えてしまうのは無理もないかもしれません。たしかに、作業そのものは表面上「書いて出す」だけに見えます。でも、そこに至るまでの確認作業や判断の重さは、なかなか外からは伝わらない。たとえば不動産の相続登記ひとつとっても、遺産分割協議の成立確認、法定相続情報一覧図の作成、登記原因証明情報の整備など、細かい作業が山のようにあるんです。
説明しても「専門用語だからわからない」と返される虚無
丁寧に説明しようとすると、「いや、難しいんでお任せします」と言われる。でも、お任せされたあとで「聞いてない」と言われたり、「こんなに時間がかかるとは思わなかった」と言われたり…。専門用語だから仕方ない、という態度には、正直ちょっとやるせなさも感じます。説明を拒否しておいて、結果だけは不満を言われる。これ、意外とよくあるあるなんですよね。
「軽いノリの依頼」に潜むリスク
依頼者の“軽いノリ”に引きずられて、ついこちらも受けてしまうことがあります。でも、そういう案件に限って、のちのちトラブルになったり、時間ばかり取られて収益にならなかったり…。感覚としては、「軽いノリ＝地雷案件」になっていることが多いです。本来なら、もっと警戒すべきだったと、あとで後悔することもしばしば。
準備不足で責任だけ押し付けられる
「手続きだけ」と言われて受けた依頼が、あとで「登記できません」と返ってきたときの恐怖。書類が足りない、意思確認が不十分、添付情報に不備がある…。でも依頼者は、「ちゃんと出してくれたんじゃないんですか？」と平然と言ってくる。準備不足なのはこちらじゃないのに、責任はこちらに押し付けられるケースが後を絶ちません。
登記申請書の内容、ちゃんと見てる？
依頼者の中には、こちらが作った申請書の内容をまったく確認せず、ただ「サインすれば終わりでしょ」と考えている人もいます。でも、本人の意思や内容の正確性を確認することは、実はとても大切なプロセス。形式上サインをもらったからといって、それで問題があれば責任は私たちにのしかかる。怖い話ですが、本当にあるあるなんです。
後から「聞いてなかった」が一番怖い
「え、それって最初に言ってくれてましたっけ？」という一言ほど、ゾッとするものはありません。説明したつもりでも、相手が理解していなければ「なかったこと」になる。そしてそれが、責任問題に発展する。だから、どれだけ忙しくても、書面での確認や説明記録を残すようにしています。でも、そんなの本当は、信頼のある関係であれば不要なはずなんですけどね…。
「やってもらって当然」の空気
最近増えてきた気がします。「やってもらって当然」という態度の依頼者。依頼というより“命令”のように感じることすらあります。こちらがやることを“サービス”と考えていない。司法書士としての知識や労力を“無料の付属品”のように扱われると、さすがに心が折れます。
どこかで甘く見られている気がする
「司法書士って、何する人でしたっけ？」と聞かれることもあります。それぐらい認知が低い。だからこそ、何となく軽んじられている感覚がずっと付きまとう。弁護士や税理士とはまた違う、グレーな立ち位置で仕事をしている私たちは、「とりあえず安く早く」の対象にされやすいのかもしれません。
“手続き屋”扱いされる苦しみ
何でも「書類だけ出してくれればいい」という扱いを受けると、自分の仕事の価値に疑問を持ちそうになります。自分では「法的リスクを回避するプロ」としての意識を持っているのに、依頼者からは「便利な書類作成屋」程度にしか見られていない。そんな扱いをされるたびに、ちょっとした無力感を覚えます。
正直者がバカを見る構図
リスクや注意点を誠実に伝えると、逆に依頼者から嫌がられることがあるのは本当に悲しいです。説明を簡略化して欲しいというのは理解できますが、こちらとしては説明しないわけにはいかない。結局、正直に話せば話すほど敬遠され、軽く答える人の方が依頼を取れる。そんな構図に、たまに嫌気がさします。
