やること多すぎて動けない病──真面目な人ほどハマる落とし穴

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やること多すぎて動けない病──真面目な人ほどハマる落とし穴

「全部自分でやらなきゃ」と思った瞬間から、地獄は始まる

「やらなきゃいけないことが多すぎて、結局何も手をつけられない」。そんな日が月に何回あるだろうか。司法書士として独立して15年以上が経つが、未だにこの「やること多すぎて動けない病」にかかることがある。特に、真面目で責任感の強い人ほど、この病に深くハマりやすい。全部きちんとやろうとするからこそ、かえって身動きが取れなくなる。しかも、それが一度じゃなく、繰り返されるのだ。気づけば、今日もパソコンの前で30分、手も動かさずに唸っている自分がいる。

真面目な人ほど「優先順位」がつけられない

「どれも大事」「後回しにしたら相手に迷惑がかかるかも」——そんな思いが頭をぐるぐる回る。結果、優先順位がつけられず、何一つ前に進まない。たとえば、相続登記の依頼が3件、商業登記の修正依頼が1件、さらに電話で「遺言書について相談したい」という新規の問い合わせ。どれも重要で緊急度も高い。でも、どれからやればいい?悩んでいる間に時間だけが過ぎていく。

「全部大事」って思っちゃうんですよね

自分でもわかってるんです、「すべてはできない」って。でも、依頼人の顔が浮かぶと、「この人のために早く処理しなきゃ」と思ってしまう。結局、書類に手をつけようとしても気が散ってしまい、どの案件も中途半端。タスクが見えすぎると、逆に何もできなくなるという、皮肉な現象に陥る。

タスク管理アプリがむしろ自分を追い込む罠

一時期、タスク管理アプリを導入したこともある。ToDoリスト、期限設定、進捗状況の色分け。最初は「おお、これで業務効率が上がるかも」と思った。が、数日後にはそのリスト自体がプレッシャーに変わっていた。毎日通知される「やってないこと」たちが、まるで責めてくるようで、スマホを見るのが嫌になった。

「見えてるのに動けない」って、ただの怠けではない

周囲からは「動けばいいのに」「やる気の問題じゃない?」と見られがちだ。でもこれは、単なる怠けでも、気合いの問題でもない。むしろ脳内が情報過多でフリーズしている状態に近い。よく「マルチタスクは効率的」と言うが、司法書士の仕事は慎重さが求められるため、下手な並行処理は命取りになる。

頭の中が渋滞してる感じ、ありませんか?

車で言えば、信号待ちの交差点で全方向から車が突っ込んできて動けなくなってる状態に近い。それぞれの案件が赤信号で止まっていても、誰かが「青になったよ」と言えば動き出さなきゃいけない。でも、結局どれにも進めない。そんなジレンマに毎日のように襲われる。

やるべきことの一覧が、もう壁にしか見えない

タスクを書き出してみると、20項目くらい平気で並ぶ。でもそれを見た瞬間、「多すぎて無理」と心がシャットダウンしてしまう。まるで登れそうにない崖を見上げているような気分。かえって、何も書かないほうが楽なんじゃないかとさえ思えてくる。

司法書士の仕事って、見えすぎるからつらい

この仕事の厄介なところは、「やること」が目に見えやすいことだ。案件の書類、登記簿、依頼者の顔、それぞれがはっきりと浮かぶ。そのくせ、進行状況は数字では測れないから、終わりが見えない。しかも、ひとつひとつにミスが許されないというプレッシャーがのしかかる。

案件は山積み。でも優先順位はつけづらい

今日やるべきことを5つ選ぶ。それだけで午前中が終わってしまう日もある。電話が鳴れば計画は崩れ、郵便で新しい案件が届けば、さらに混乱。優先順位をつけたとしても、外部からの「割り込み」が日常茶飯事なのだ。しかも、それに対応しないと信用に関わる。

どれも急ぎ、どれも重要。そして誰かの人生がかかってる

登記漏れで引き渡しが遅れたら大問題。遺言書の対応を先延ばしにすれば、相談者は不安を抱えたままになる。それぞれの案件の裏に「人の人生」があるから、雑には扱えない。だからこそ、手が止まり、判断が遅れ、進められなくなる。

「今やるべきこと」が5つ同時に存在する矛盾

本来、優先順位は一つに絞るべき。でも、司法書士の実務では「今すぐやるべきこと」が平気で5つ並ぶ。どれかを後回しにすればクレームになる可能性がある。だから、どれも手をつけづらくなり、結果的に全てが遅れてしまうという悪循環に陥る。

「頼れる人がいない」という現実

地方で一人事務所をやっていると、ほんとに頼れる人がいない。電話を取るのも、書類を作るのも、自分。事務員さんがいても、任せられる範囲は限られている。孤独な戦いに近い。

一人事務所の孤独と限界

事務員さんがいてくれるのは本当にありがたい。でも、複雑な登記や相談対応まで任せるわけにはいかない。結局、自分が対応すべき業務は減らない。気軽に「これお願い」と言えない環境だから、どんどん自分に負荷が溜まっていく。

事務員さんには頼めない“絶妙に面倒な業務”

たとえば「法務局への微妙な問い合わせ」や「取引先へのややこしい調整電話」。こういう“言葉のニュアンスが重要なやりとり”って、任せづらいんです。結果、自分でやるしかなくなる。そして、気づけば夕方になってる。

どう乗り越えたか……という話をしたいけど、正直まだ迷走中

「こうすれば全部解決します!」なんて話ができたら楽なんですが、正直、僕自身まだ迷っている。ただ、少しずつ実感していることもある。それは「完璧を目指さないこと」と「動けない時間を否定しないこと」。少しでも、それが誰かの参考になれば嬉しい。

自分にしかできないことを減らしていく工夫

最近は「自分じゃなくてもいいこと」を洗い出して、事務員さんにお願いするようにしている。最初は不安だったけど、きちんと手順を教えれば意外とスムーズに回る。全部自分で抱え込まないだけで、気持ちがだいぶ軽くなった。

「割り切り」と「諦め」も、実は戦略かもしれない

仕事って「全部やり切る」ことだけが正義じゃない。たまには「今日はもう無理」「これは後回し」と割り切ることも必要。それを「諦め」とネガティブに捉えず、「戦略的撤退」と思うことで、気がラクになる。

「動けない時間」も必要だったと気づいた日

何もしない時間があると、自分を責めてしまう。でも、振り返ってみると、その“空白の時間”に気づけたこともあった。自分の限界や、働き方の見直し。動けないことで、ようやく見えたものもある。

動かないことで気づけることも、確かにある

「あれもこれも」と詰め込む生活の中で、立ち止まることが悪だと思っていた。でも、その止まった時間が、自分の考えを整理するチャンスだったりする。今はまだ手探りだけど、ちょっとずつ、自分のペースを作っていこうと思っている。

でもまあ、できればスムーズに動きたいですよね……

とはいえ、できれば「止まらずに動けたら」それが一番。そのために、自分なりのペース配分、優先順位のつけ方、そして他人を信頼する勇気を持つことが、今後の課題だと思っている。今日もまた、壁のようなToDoを前にしながら、それでも一歩だけ動けたら、自分を褒めてあげたい。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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