突然の相続、その時あなたは動けますか?

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突然の相続、その時あなたは動けますか?

ある日突然、相続はやってくる

「うちは関係ない」「まだ先の話だと思ってた」──そんな声を、何度聞いてきたか分かりません。相続というのは、ある日突然やってきます。そして来たその日から、手続きは待ってくれません。感情の整理もつかないまま、次々と書類や連絡、確認事項に追われる。依頼者が混乱するのも当然です。けれど、私たち司法書士のところに来た時点で、すでに“時計の針”は動き出しているのです。

準備なんてできている人はいない

本当に相続に万全の準備ができている人なんて、まずいません。財産が多かろうが少なかろうが、「何をすればいいのか分からない」というのが現実。親族間での温度差や認識の違いが浮き彫りになり、そこに感情の摩擦まで加わると、収拾がつかなくなることもあります。

「うちは関係ない」が一番危ない

特に怖いのが、「うちは財産ないから関係ないです」という思い込みです。実家の土地一筆だけでも立派な相続財産。登記簿に名前が残っていれば、手続きは発生します。過去に「何もない」と言っていた方の案件で、固定資産の評価証明を見た瞬間、顔色が変わったのを今でも覚えています。

現場でよくある混乱のパターン

よくあるのは、相続人の数が思ったより多くて収拾がつかないケース。疎遠だった兄弟姉妹が突然登場し、話し合いが膠着。必要書類の収集だけで数ヶ月かかることもあります。最初に軽く見積もっていた依頼が、気づけば膨大な案件に変貌していることも珍しくありません。

プレッシャーは家族にも専門家にも容赦なく

依頼者もそうですが、実はこちら(司法書士)も、かなりのプレッシャーを背負っています。遺族が抱える感情に寄り添いながら、冷静に手続きを進める。ミスは許されず、期限は迫る。感情の渦のなかで、正確性を保たなければならない仕事です。

感情の処理と書類の処理は別問題

涙ながらに語られる亡き親への想い。その気持ちに耳を傾けながらも、こちらは「印鑑証明の期限が切れる前に…」「戸籍を急がないと…」と、頭の中では事務処理のスケジュールを組んでいます。つらいけど、それが仕事。わかってはいるけれど、割り切れないことも多いのです。

依頼が来るのは、たいてい“最悪のタイミング”

「なぜ今…」というタイミングで依頼が重なるのが、この仕事の特徴です。特に月末、年末年始、ゴールデンウィークなど、世間がバタバタしている時に限って、相続の依頼が増えるような気がしてなりません。休もうと思っても休めない、そんな連続です。

月末、年度末、盆暮れ正月……なぜかかぶる

これ、経験ある司法書士さんなら「あるある」と頷いてもらえるはずです。しかも、役所や金融機関の休業日が絡むと、一気にスケジュールがタイトに。慌てて駆け込まれ、こっちも必死。そんな時ほど、うっかりミスが怖いんです。

余裕なんて、どこにも残っていない

「もうちょっと余裕をもって…」とお願いしたくても、依頼者からすれば初めての経験。事情も分かるし、責められない。でもその間に、事務所は時間との闘い。結局、日をまたいで作業したり、事務員さんにも残業をお願いする羽目に。内心、「せめてあと1日早ければ…」と毎回つぶやいています。

司法書士も人間、抱えるプレッシャー

「司法書士だからできて当然」と思われることもあります。でも、こちらも人間。仕事量が増え、責任が増えれば、精神的に追い詰められることも。プレッシャーに押しつぶされそうになる夜も、正直何度もあります。

泣いてる時間もなければ、間違いも許されない

誰も泣いてる自分なんて見たくないでしょうから、黙って机に向かって作業します。けれど、戸籍一通間違えたらやり直し。名前の表記ひとつ見落としたら、補正の通知が来る。完璧じゃないといけないって、本当にしんどいです。

責任だけがずっしり残る

手続きを終えた後、「ありがとう」と言われることもあれば、「こんなにお金がかかるのか」と文句を言われることも。どちらにしても、こちらには“結果”しか残りません。時に「やりがいって何だっけ」と、自分に問いかける夜もあります。

「プロなんだから」がプレッシャーになる

「プロなんだから間違えるな」と言われると、そりゃそうだと思います。でも、心が疲れているときにその言葉を受け止めるのは、なかなかに堪えます。「人としての許し」が欲しいけど、それが許されない世界。そんなふうに思うこともあります。

事務員一人、でも心の支え

うちの事務所には、頼りになる事務員さんが一人います。たった一人だけど、その存在があるからまだ持ちこたえているというのが本音です。小さなミスも指摘してくれて、忙しいときには「今日は弁当持ってきましたよ」と笑ってくれる。その一言に救われるんです。

ミスの許されない世界で、どう踏ん張るか

プレッシャーに潰されそうな時でも、業務は待ってくれません。だからこそ、日々どうやって自分のメンタルを保つか、工夫するしかありません。体力だけじゃなく、気力も問われる仕事です。

チェック、確認、再確認…それでも不安

業務の大半は確認作業。それも1回や2回では足りません。何度も見直して、それでも間違っていたらと思うと眠れない夜もあります。でも、信じるしかないんです。自分の目、自分の判断、そして経験を。

書類の山と神経のすり減り

机の上に積まれた相続関係図、戸籍謄本、委任状。どれか一つでも抜けていたら全てがストップ。そんな中で進める日々は、正直、神経が削られていきます。終わっても達成感より、ただの疲労感が残ることもあります。

それでも司法書士を続けている理由

愚痴も多いし、心が折れそうになることもたくさん。でも、続けている理由がないわけじゃありません。むしろ、それがあるからギリギリのところで持ちこたえているのだと思います。

感謝の言葉が、救いになる瞬間

「本当に助かりました」「あなたにお願いしてよかった」──そんな一言で、すべてが報われるわけではないけれど、救われることはあります。ああ、自分のやってることにも意味があるんだと、再確認する瞬間です。

「役に立てた」実感は、何にも代えがたい

相続で混乱していたご家族が、最後に笑顔で帰っていく。それを見るたびに、「まだもう少し、頑張れるかもな」と思えます。完璧じゃなくても、寄り添いながら一歩ずつ進む。そんな司法書士でいたいと思っています。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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